■ユーロクロスは下げ渋りの展開
みなさん、こんにちは。
このコラムで毎回取り上げているユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)ですが、今週(2012年7月23日~)は久しぶりに調整色の濃い相場展開となりました。
7月20日(金)からスペイン情勢が悪化し、スペイン10年国債の利回りは一時7.751% と急騰。
スペインの資金調達能力はさらに低下し、スペイン株は急落しました。
しかし今週(7月23日~)のユーロ/豪ドルはこの環境下、上値は重いものの、下げ渋っている状態です。
7月23日(月)に安値の1.1684ドルに到達して以降、スペイン情勢の悪化にも関わらず下値が限定的となり、現在1.1760ドルで推移。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
ユーロ/英ポンドも0.7755ポンドの安値に到達した後は、7月25日(水)に発表された英第2四半期GDPが悪化したことから、反発に転じ、一時0.7857ポンドまで上昇しました。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 4時間足)
8月の夏期休暇を控えた市場参加者の買い戻しもあり、6月より急落していたユーロクロスは徐々に下落幅を縮小。
スペイン情勢の悪化にも関わらず、ユーロクロスに関してはユーロは下げ渋りの展開となっています。
■ユーロ/米ドルは巨大なバリア1.2000ドルの手前まで下落
ようやくユーロクロスは下げ幅を狭めてきましたが、続落したのがユーロ/米ドル。
7月19日(木)までは、ユーロの負債問題はユーロクロスを押し下げるのみで、株の下落には結びつきませんでした。
しかし、7月20日(金)から始まったスペイン情勢の悪化を株式市場は嫌い、同日からS&P500指数は下落を開始。
スペイン情勢の悪化がリスクオフ相場を誘因することになり、総じてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が下落しました。
S&P500指数と相関性の高い豪ドル/円は一時79.53円、ユーロ/円は94.11円まで急落。
ユーロ/円の下落はユーロ/米ドルの売り圧力となり、加えてSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が外貨の調整でユーロ/米ドルを売り始めたとの噂もあり、ユーロ/米ドルは一時1.2042ドルと巨大なバリアがある1.2000ドルの手前まで下落しました。

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■QE3の内容によってはユーロ/米ドル反発の可能性も
しかし、米国経済指標の悪化に加え、米国株が下落に転じると、マーケットでは前コラムでご紹介した米QE3(量的緩和第3弾)に対する期待感が高まります。
【参考記事】
●なぜ、米ドルはユーロより弱くなった? 根強い「9月13日QE3決定説」が影響か(7月19日、西原宏一)
7月25日(水)の米主要紙は、いっせいにFRB(米連邦準備制度理事会)による金融緩和が近づいたことを報道。
ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルは、来週、7月31日~8月1日もしくは9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加緩和が行われるのではないかという記事を掲載しました。
記事の内容は金融緩和が行われることが前提となっており、問題はいつ、どのように追加緩和が行われるのかが焦点になっています。
FRBの追加緩和期待で、下げ足を速めていたS&P500指数は下げ止まり。
1.20ドル台半ばまで下落していたユーロ/米ドルも、1.21ドル台半ばまで反発しています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
スペイン情勢を筆頭にユーロ負債問題は一向に改善を見せず、中長期のユーロ下落トレンドは変わらないのでしょうが、米QE3の内容によっては、いったんユーロ/米ドルは調整で反発する可能性も。
ユーロ/米ドルは、先行して下落していたユーロクロスの動向と米QE3の行方に注目です。
■米ドル/円76円台は実弾介入の可能性が高まる
QE3予測の高まりを受けて、上値が重くなってきたのが米ドル/円。
今週(7月23日~)、米ドル/円が78.00円を割り込むと、市場の予測どおり、本邦当局者からの口先介入が飛び出し、米ドル/円は一時78円台ミドルまで反発。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ただ、実弾を伴っていない介入であるため、QE3期待の高まりとともに、米/ドル円は依然じり安に推移。
サポートは6月1日(金)の77.65円ですが、仮にその水準を割り込むと介入警戒感が高まります。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
76円台に入ると実弾が出る可能性がさらに高まり、仮にBOJ(日本銀行)が介入を決行したとすると、少なくとも80.00円までは押し上げると想定されるので、当面、米ドル/円のマーケットは米QE3の行方と本邦の介入に警戒しながらの神経質な相場展開になりそうです。
米ドル/円の基調は米金利の低下により、米ドル下落。
76円台は実弾介入の可能性が高まり、介入により80円台を回復すれば、本邦輸出勢の大量の米ドル売りが持ち込まれることが予想されます。
当面、米ドル/円は76.00~80.00円のレンジを乱高下する展開が濃厚です。
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