昨日はユーロにやや見直し買いが入った。それは欧州序盤で国債入札が無事に通過したことによる安心感や、いよいよ欧州の要人がバカンスから戻ってきて何か政策を出してくれるのではないかという期待からでもあったようだ。
私は朝の日本のGDPが悪かったこともあって、これから海外時間にかけてはリスク回避になるのではないかと思って、ユーロドルを1.2290で売り込んでいたのだが、なかなか1.23台には乗せきれずの状態が続きながらも、そうした欧州序盤の動きであっさりお陀仏になってしまった。夏バテというわけでもないが、上方向に勢いづきそうだからといって、ド転してユーロロングに構えるほどブルでもない。
ニューヨークのランチタイム前に、懸案のドイツの憲法裁判所でのESMに関する判決がかなり遅れるのではないかとの観測が立った。9月初旬にでも出されるのではないかという見込みだったのだが、それがさらに後ずれするという。ドイツの見解が相対的に力を持ち始めているので、このニュースはユーロ売り材料と取られ、ユーロドルは50ポイントほど下落した。しかし1.22台を売り込んでいた私にとってみれば、まだまだ安くない~。
米国株も値動きは乏しいものの、5月の株価急落からの戻し高値圏をキープしている。今年の最高値、すなわち金融危機からの最大の戻しまであと1%もないところまで接近している。こうした株価を支えているのは金融緩和への期待が高まっているからに他ならないが、昨日はそれに水を差すかもしれない事態が出来した。
独仏の相談で、食糧供給に関するG20を開くというのだ。これはアメリカの干ばつによるのはもちろんだが、世界的に穀物価格の上昇を招いている。供給量を増やせない以上は、価格の高騰を抑えつけないといけないわけだが、第一次大戦中のような配給制にして食を平等を測るわけにもいかない。平等の代わりに、お金を持っている人はどんなものでも手に入れられるという自由を放棄するのはアメリカには耐えられないからだ。
そう考えると価格上昇に対する手段は限られてきて、伝統的だと言われようが市場金利を上げなくてはいけなくなるのだ。これは金融市場が期待していることとは真逆である。G20が利上げを提唱するとは想定されていないだけになんとも始末が悪い。
ここ最近はドルもユーロも金利の上昇が目立ってきているので、金利の動向にはさらなる注意を要する。しばらくは乱高下もしそうだ。金利が上昇に向かう局面ではドル買い、ユーロ買いになりそうだとの意見もあるが、私はそうは思わない。金利上昇で緩和期待が吹っ飛んでリスク回避になると考えている。すなわちドル円やユーロ円が落ちるのだ。
金利上昇の話が出れば、株価が安くなり、債券価格も下がる。そして為替相場ではドル円やユーロ円などがいっせいに下がり、円の独歩高となる。そういうわけでインフレに対する発言にも要注意の1週間となりそうだと気を引き締めている。
今晩の経済指標で重要なのは、小売売上高である。ここ数カ月間はマイナスが続いていたが、今回はプラスが見込まれている。これがプラス転することも手伝って、緩和期待がますますはがれやすくなる展開も考えられる。
日本時間 17時50分
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