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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

マーケットを興奮させるインパクトなし!?
QE3実施決定の為替相場への影響は?

2012年09月14日(金)16:14公開 (2012年09月14日(金)16:14更新)
陳満咲杜

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■FRBがQE3実施を決定!

 FRB(米連邦準備制度理事会)はQE3(量的緩和政策第3弾)に踏み切った

 ドルインデックスは79の節目に迫り、ユーロ/米ドルは1.3000ドルの節目を上回っている。

ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

 一方、米ドル/円も一時77円の節目に迫っていた。

米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 もっとも、「ヘリコプター・ベン(※)」というあだなを持つバーナンキFRB議長による量的緩和策の推進は、ほぼマーケットの予想範囲内であるが、QE3と呼ばれる今回の政策の中身は、前2回と違った特徴も多い。

(※編集部注:「ヘリコプター・ベン」とは、「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけばよい」というバーナンキ氏の発言からついたあだな)

■今回のQE3の特徴とは

 まとめてみると、筆者は以下の3つポイントに注目すべきではないかと思う。

1、無制限QE
 従来の大規模資産買い入れプログラム(LSAP)には最大規模と時間軸がコミットされていたが、今回は無制限であることが明確に示された。

 FRBは景気改善と判断する前は、これをずっとやり続けることを宣言しているだけでなく、さらなる政策と実行ツールの追加も示唆している。

2、雇用創出に焦点
 FRBは雇用状況の改善を目的として取り上げ、無制限QEのターゲットをはっきり示した。雇用状況の改善は常にFRBの任務であるが、量的緩和策と明白にリンクすることは過去になかった。

 その上、たとえば「失業率が何%に改善すれば目的達成」という具体的な数字を示していないので、FRBは長期戦に備えている印象が強い。

3、アウトルックに楽観
 声明文では、FRBは景気見通しに楽観的であることが読み取れる。雇用状況の厳しさと一見矛盾しているように見えるが、いわゆるQEの副作用をできるだけ消しておきたいといったバーナンキ氏の苦心が読み取れる。

 というのは、「再三の量的緩和は景気衰退のサインである」とマーケットは解釈しがちであり、それによって企業や消費者が財布の紐をさらに締めていくと、量的緩和策本来の意義がなくなってしまうからだ。

 ゆえに、バーナンキ氏にとって楽観的なアウトルックはポーズではなく、必要なスタンスである。

■QE3実施も為替相場にとっては効果は限定的か

 さらに、来たるべき米「財政の崖」に備え、FRBは先手を打ちたいという本音も読み取れる。この意味でも、今回の無制限QEはバーナンキ氏最後の「賭け」とも読み取れる。

 議長さんの「賭け」がこれから成功するかどうかは定かではないか、目先の効果として、株高、原油高、金高やドル安は鮮明である。

 しかし、為替相場に限定してみれば、その効果は限定的ではないかと思う。少なくとも短期スパンでは。

 前述のように、QE3自体はもはやサプライズではないし、無制限QEさえ、一部市場関係者たちは事前に予測していたから、驚くほどの出来事ではない。

 言ってみれば、マーケットを興奮させるほどのインパクトはなさそうだ。

 実際、QE3の実施で一番心配される米ドル/円の…

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