■FRBがQE3実施を決定!
FRB(米連邦準備制度理事会)はQE3(量的緩和政策第3弾)に踏み切った。
ドルインデックスは79の節目に迫り、ユーロ/米ドルは1.3000ドルの節目を上回っている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
一方、米ドル/円も一時77円の節目に迫っていた。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
もっとも、「ヘリコプター・ベン(※)」というあだなを持つバーナンキFRB議長による量的緩和策の推進は、ほぼマーケットの予想範囲内であるが、QE3と呼ばれる今回の政策の中身は、前2回と違った特徴も多い。
(※編集部注:「ヘリコプター・ベン」とは、「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけばよい」というバーナンキ氏の発言からついたあだな)
■今回のQE3の特徴とは
まとめてみると、筆者は以下の3つポイントに注目すべきではないかと思う。
1、無制限QE
従来の大規模資産買い入れプログラム(LSAP)には最大規模と時間軸がコミットされていたが、今回は無制限であることが明確に示された。
FRBは景気改善と判断する前は、これをずっとやり続けることを宣言しているだけでなく、さらなる政策と実行ツールの追加も示唆している。
2、雇用創出に焦点
FRBは雇用状況の改善を目的として取り上げ、無制限QEのターゲットをはっきり示した。雇用状況の改善は常にFRBの任務であるが、量的緩和策と明白にリンクすることは過去になかった。
その上、たとえば「失業率が何%に改善すれば目的達成」という具体的な数字を示していないので、FRBは長期戦に備えている印象が強い。
3、アウトルックに楽観
声明文では、FRBは景気見通しに楽観的であることが読み取れる。雇用状況の厳しさと一見矛盾しているように見えるが、いわゆるQEの副作用をできるだけ消しておきたいといったバーナンキ氏の苦心が読み取れる。
というのは、「再三の量的緩和は景気衰退のサインである」とマーケットは解釈しがちであり、それによって企業や消費者が財布の紐をさらに締めていくと、量的緩和策本来の意義がなくなってしまうからだ。
ゆえに、バーナンキ氏にとって楽観的なアウトルックはポーズではなく、必要なスタンスである。
■QE3実施も為替相場にとっては効果は限定的か
さらに、来たるべき米「財政の崖」に備え、FRBは先手を打ちたいという本音も読み取れる。この意味でも、今回の無制限QEはバーナンキ氏最後の「賭け」とも読み取れる。
議長さんの「賭け」がこれから成功するかどうかは定かではないか、目先の効果として、株高、原油高、金高やドル安は鮮明である。
しかし、為替相場に限定してみれば、その効果は限定的ではないかと思う。少なくとも短期スパンでは。
前述のように、QE3自体はもはやサプライズではないし、無制限QEさえ、一部市場関係者たちは事前に予測していたから、驚くほどの出来事ではない。
言ってみれば、マーケットを興奮させるほどのインパクトはなさそうだ。
実際、QE3の実施で一番心配される米ドル/円の…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)