■サイクルのトランスレーションとは?
サイクルのトランスレーションについて、下の図をもって説明したい。同概念を理解できてこそ、次の検証に入れるわけだ。
(出所:『相場の宿命』(陳満咲杜著、扶桑社))
サイクルのボトムから次のボトムまでの距離を測り、その中心点をもってサイクルのトップの位置と比べる。
その際、中間点より早くトップアウトした場合はレフト・トランスレーションとなる。これは、上昇期間に比べ下落期間が長いことを意味するので、弱気サイクルを示す。
反対に、中間点より遅れてトップアウトした場合、上昇期間に比べ下落期間の期間が短いというものになり、強気サイクルを示唆。
さらに、上昇や下落期間だけではなく、それぞれの値幅を加味すると、より正確な測定ができる。
つまり、レフト・トランスレーションにおいて、上昇幅に比べ下落幅が大きければ大きいほどいっそう弱気な弱気サイクルとなり、反対にライト・トランスレーションの場合、下落幅に比べ、上昇幅が大きければ大きいほど、強烈な強気サイクルになるわけだ。
その上、レフト・トランスレーションにおいて、下落幅が上昇幅より小さければ小さいほど、同サイクルの性質(弱気)は否定されることになる。また、ライト・トランスレーションにおいて、上昇幅が下落幅より小さければ小さいほど、サイクルの性質(強気)は否定される傾向にあるとされる。
さらに、サイクルのトランスレーションは、そのサイクル自体だけではなく、次のサイクルの形成にも強い影響を与えるのが普通であるため、強烈なサイクルであればあるほど、次のサイクルの形と性質を決定してしまう傾向にある。
言い換えれば、強気サイクルの後には強気サイクル、弱気サイクルの後には弱気サイクルが出る、という傾向が強い。
■次は861pips以上の値幅の強気サイクルになると予測
こういった基礎知識をもって、再掲載した下のチャートを見てみると、2011年10月31日(月)安値前の3つのサイクルは、ともに弱気サイクルであり、また連続していたことが理解できるだろう。
弱気サイクルが続くのであれば、本来2011年10月安値から2012年9月安値までのサイクルも、弱気サイクルのままであったはずだ。
(出所:米国FXCM)
しかし、2011年10月安値からのサイクルには、強気サイクルの兆しが出てきた。サイクルの上昇期間に比べ、下落期間は依然長かったものの、値幅は明らかに上昇幅が大きかった。これは弱気サイクルの性質を否定するシグナルで、強気サイクルへの転換を強く示唆しているサインと読み取れる。
2011年10月安値まで長く続いていたベア(下落)トレンドが強力だっただけに、最初のサイクルでは典型的な強気サイクルの形にはなっていないものの、強気傾向への転換が示されている。そしてその影響で、次のサイクルは完全陽転となる。
以上のような見方が正しければ、2012年9月安値を起点とした足元の10/11ヶ月サイクルは典型的な強気サイクルになるはずだ。
この線に沿って推測すれば、次の主要ボトムは2013年9月、10月に出現し、サイクルのトップは早くも2013年2月中旬以降に出現するだろう。典型的な強気サイクルの公算が大きく、前のサイクルより上昇幅も大きくなると思われるので、最低でも861pipsより大きな値幅になるとみられる。
したがって、米ドル/円の上昇トレンドはまだ開始したばかりで、値幅、期間ともに大きいと期待できる。
それどころか、より大きな視点では、米ドル/円は2011年安値をもって歴史的な転換を遂げた可能性さえあるので、円安時代の幕開けといった視点で考える必要がある。このあたりの話はまた次回。
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