■豪ドル/円、米ドル円が堅調
為替マーケットでは保ち合い状況が続く中、豪ドル/円と米ドル/円の堅調ぶりが目立つ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
米ドル/円 4時間足
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当然のように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)である豪ドル/円は、米ドル/円の上昇傾向なしでは高値トライができない。
一方、豪ドル/米ドルの値動きも重要になってくるから、少なくとも現在、豪ドル/米ドルの中段保ち合いが続き、ベア(下降)トレンドになっていないことが、豪ドル/円の下支えとなっている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
豪ドルに関しては、最近本コラムで再三強調してきたように、ウォール街をはじめとして弱気な見方が大勢になりつつあるが、性急な判断をしてはいけなかった。
【参考記事】
●スペイン国債格下げがユーロに好材料!? 「悪材料のユーロ買い」になる理由とは?(10月12日、陳満咲杜)
●ユーロ/円の高値更新はなぜ当然なのか? 豪ドルの安値追いは短中期では危険!(10月19日、陳満咲杜)
足元の状況から考えて、このような判断は少なくとも目下のところは正しいと思う。
■中国のハードランディングが避けられる理由とは?
もっとも、豪ドルに対する弱気な見方の根拠は、商品相場や中国景気減速といったマクロ要因に依存しているだけに、今後条件が揃うかどうかだけではなく、前提条件自体の不確実性も高い。
商品相場に関する弱気は、おもに強気プライマリーサイクルの終了を根拠にしているが、最近では同サイクルの延長を指摘する声が多い。
中国に関しては、一時の景気減速をハードランディングとみなすのはナンセンスだ。
中国経済は問題山積であるが、1つ判断材料にできることがある。それはほかでもない、今年は指導部交代の年に当たるということだ。それを踏まえると、仮に代償が大きく後遺症が重いとしても、中国政府は全力でハードランディングを阻止するはずだ。
何しろ一党独裁の中国では、「党は国家なり」で、党益より大事なものはない。だから、ハードランディングをさせないため、あるいは先伸ばしにするために、いくらでも手を打つ。
また、忘れてはいけないのは、中国財政、金融とも「のりしろ」が大きいことだ。政策発動の余地と手段も有しているのである。
したがって、当面チャイナリスクを過剰に見積もるべきではなく、それにリンクした形の商品相場暴落論は明らかに性急な判断だ。
■豪ドルはもはや、単なる資源国通貨ではない
その上、豪ドルを資源国通貨とみなすこと自体が「時代遅れ」になるリスクさえある。
資源国通貨の特徴として、前述の商品相場の動向に左右されがちであること以外に、一般的には高金利という点が魅力だ。
2012年の年初来、豪ドルの利下げや今後の利下げの可能性からすると、確かに昔ほど高金利ではなくなっている。
しかし、忘れてはいけないのが、豪ドルはいまだ相当の優位性を保っているということだ。このあたりの評価は、これから鮮明になってくるのではないかと思う。
というのは、金利面でも、いくら利下げ余地があるとしても、事実上ゼロ金利の日米、そして低金利の欧州などといった主要国家、地域に比べると、豪州はなお相対的な高金利を保てるだろう。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
より重要なのは、豪州の財政健全度から得られる最高格付けは、当面揺らぐ余地がないので、特に財政規律を失ってきた欧米日とは比べられないほどの優位性を持つ。
ゆえに、豪州国債、公債はリスク回避先と見なされており、豪ドルもかつてのように、単純な資源国通貨からリスク回避先へと、役割の変化がみられる。
実際、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のたび重なる…
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