■米大統領選挙後の反応は米株安
みなさん、こんにちは。
注目の米大統領選後のマーケットの反応は米株安。
今回の米国株の下落は、新大統領が決まった後の一時的な動きなのかどうかが注目されていましたが、結果は大統領選以降も続落しました。
S&P500指数は5.1%も下落。
オバマ大統領が演説で、富裕層に対する増税方針を維持し、「財政の断崖」回避に対する懸念が拡大したことが米株安につながりました。
アジア株の動きも不安定で、多くのマーケット参加者は大統領選後のリスクオフの動きに警戒感を高めています。
■新手の金融緩和を行なった英国
リスクオフの展開では、まず「株安、米ドル高」になる傾向があります。
今回のリスクオフ局面で、じわじわと米ドル高が進行しているのが英ポンド/米ドル。
英ポンド/米ドルは、先週(11月5日~)、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])が金融緩和につながる政策をとったことから下落が続いています。
英国債:上昇、10年債利回り5週ぶり低水準-新手の緩和で
9日の英国債相場は上昇し、10年債利回りが5週ぶり低水準に下がった。イングランド銀行(英中央銀行)が、資産購入プログラムの下で保有する英国債から生じる利息収入を財務省に移管する計画が公表され、これによる債務圧縮が期待された。
(出所:ブルームバーグ)
BOEのキング総裁は「これは金融状況の緩和を意味する」と説明。
英ポンド/米ドルは本稿執筆時点で1.5838ドルまで下落しています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
BOEが新手の金融緩和を行なったことで、グローバルにはリスクオフの展開の中、対米ドル、対クロス(米ドル以外の通貨)で英ポンドは続落する可能性が濃厚。
■衆議院解散と「大胆な金融緩和」発言で円安が加速
さて、米国株が大幅に下落し、リスクオフ展開の中、通常であれば「株安、米ドル高、円高」の展開となり、値を崩す傾向にあるのが米ドル/円です。
ただし今回は、日本政局の急展開から米ドル/円は反発。
本稿執筆時点では、前回のレジスタンスである80.70円を上抜け、一時80.81円まで急騰しています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
円安に弾みがついたのは、野田佳彦首相が11月16日(金)に衆議院を解散し、12月に総選挙を実施する意向を示したことが原因。
この報道で米ドル/円は80円台を回復しました。
そして本日11月15日(木)は、自民党・安倍総裁の下記の報道で相場に加速がつき、レジスタンスであった80.70円を突破。
安倍総裁は「物価目標達成のため、無制限な金融緩和を行ってもらう」などと述べたほか、政策金利については「ゼロかマイナス金利にするぐらいにして、貸し出しを高めてもらいたい」と話した。
また、同総裁は講演で、
「デフレ脱却と円高対応、かつての自民党政権とは次元の違う政策をやるべきと考える」
「日銀と政策協調し、大胆な金融緩和を行う」
「物価目標達成のため、無制限な金融緩和を行ってもらう」などと述べた。
(出所:ロイター)
この安倍総裁の大胆な発言により、おもに米系ファンドからの米ドル/円の買いが断続的に持ち込まれ、米ドル/円は急騰。
米ドル/円に関しては10月25日、11月1日のコラムでご紹介したとおり、円安基調です。
【参考記事】
●日本の貿易収支悪化をきっかけに円安へ。米ドル/円は反落を繰り返しながら上昇か(10月25日、西原宏一)
●パナソニックの巨額赤字が円安を後押し!米大統領選挙の結果で米ドル/円上昇も!(11月1日、西原宏一)
■米ドル/円は50銭ごとのバリアに阻まれながら上昇
以前のコラムで、米ドル/円は80.50円、81.00円、81.50円と50銭ごとに置かれているバリアに阻まれ、反落、反騰を繰り返しながら上昇すると述べたように、これまで実際に反落、反騰を繰り返す展開となっています。
ただ、今回の政局の急展開と安倍総裁の上記コメントにより、米ドル/円の上昇が加速する可能性が高まってきました。
レジスタンスはこれまで同様、81.00円、81.50円と、50銭ごとに置かれているバリアオプション。

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
当面、英ポンド/米ドルと米ドル/円の動向に注目です。
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