■衆議院解散と「大胆な金融緩和」発言で円安が加速
さて、米国株が大幅に下落し、リスクオフ展開の中、通常であれば「株安、米ドル高、円高」の展開となり、値を崩す傾向にあるのが米ドル/円です。
ただし今回は、日本政局の急展開から米ドル/円は反発。
本稿執筆時点では、前回のレジスタンスである80.70円を上抜け、一時80.81円まで急騰しています。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
円安に弾みがついたのは、野田佳彦首相が11月16日(金)に衆議院を解散し、12月に総選挙を実施する意向を示したことが原因。
この報道で米ドル/円は80円台を回復しました。
そして本日11月15日(木)は、自民党・安倍総裁の下記の報道で相場に加速がつき、レジスタンスであった80.70円を突破。
安倍総裁は「物価目標達成のため、無制限な金融緩和を行ってもらう」などと述べたほか、政策金利については「ゼロかマイナス金利にするぐらいにして、貸し出しを高めてもらいたい」と話した。
また、同総裁は講演で、
「デフレ脱却と円高対応、かつての自民党政権とは次元の違う政策をやるべきと考える」
「日銀と政策協調し、大胆な金融緩和を行う」
「物価目標達成のため、無制限な金融緩和を行ってもらう」などと述べた。
(出所:ロイター)
この安倍総裁の大胆な発言により、おもに米系ファンドからの米ドル/円の買いが断続的に持ち込まれ、米ドル/円は急騰。
米ドル/円に関しては10月25日、11月1日のコラムでご紹介したとおり、円安基調です。
【参考記事】
●日本の貿易収支悪化をきっかけに円安へ。米ドル/円は反落を繰り返しながら上昇か(10月25日、西原宏一)
●パナソニックの巨額赤字が円安を後押し!米大統領選挙の結果で米ドル/円上昇も!(11月1日、西原宏一)
■米ドル/円は50銭ごとのバリアに阻まれながら上昇
以前のコラムで、米ドル/円は80.50円、81.00円、81.50円と50銭ごとに置かれているバリアに阻まれ、反落、反騰を繰り返しながら上昇すると述べたように、これまで実際に反落、反騰を繰り返す展開となっています。
ただ、今回の政局の急展開と安倍総裁の上記コメントにより、米ドル/円の上昇が加速する可能性が高まってきました。
レジスタンスはこれまで同様、81.00円、81.50円と、50銭ごとに置かれているバリアオプション。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
当面、英ポンド/米ドルと米ドル/円の動向に注目です。
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