■米国の「財政の崖」とはいったい何か?
オバマ大統領が再選された直後から、米国の株式市場が大きく崩れています。

(出所:米国FXCM)
【参考記事】
●米大統領選後の株安は一時的。引き続き、タイミングを見て円売りを仕掛けたい!(11月8日、今井雅人)
オバマ大統領が再選されたことにより、ねじれの状態が継続し、「財政の崖」問題が解決できないのではないかという懸念によるものと言われています。
今回は、この「財政の崖」とは何か? ということをもう一度確認してみたいと思います。具体的には、2つの側面があります。
■3つの減税措置の終了で実質的には増税に
1つ目は、減税措置の終了です。
2012年で期限を迎える一連の減税措置があり、
(1)ブッシュ前政権下で決まった2001年6月の所得税率の引き下げ等
(2)2003年5月のキャピタルゲイン・配当に対する軽減措置
(3)2010年末、妥協の産物である社会保障税の軽減
この3つの期限が、2012年末までにやってくることです。
つまり、一連の減税政策が終了するということは、実質的な増税になるということです。
■歳出カットが2013年1月から自動的に開始!?
2点目は、2012年まで総額1.2兆ドルの歳出カット(国防とそれ以外で各々547億ドルずつ、毎年1093億ドル削減)が、2013年1月から自動的に開始される予定であるということです。
これも、元をたどってみるとブッシュ減税が一因です。1兆ドル超に膨らんだ財政赤字をどのように中長期的に削減していくかという問題があって、債務上限引き上げの合意が難航し、米国はテクニカルデフォルト寸前の事態にまで発展しました。
その際の妥協案の一環として、歳出の自動削減措置が予算管理法に盛り込まれたのです。
同法では、債務上限をただちに4000億ドル、さらに2回、あわせて2.1兆~2.4兆ドル分、引き上げる一方、まず、2012年~2021年で計9170億ドルの裁量的支出を削減。
さらに今後、超党派の特別委員会で税制改革や社会保障制度改正を含む1.5兆ドルの追加削減策を11月23日(金)までに作成し、12月23日(日)までに採決することとなっていました。
しかし、結局、共和党と民主党の折り合いがつかなかったために、あらかじめ同法に盛り込まれていた強制的な歳出カットが実施されることとなっています。
つまり、増税と歳出カットが同時にやってくるリスクがあるということです。このことを、金融市場が懸念しているのです。

(出所:米国FXCM)
■「財政の崖」が米国経済に与える影響は?
そこで気になるのは、実際に「財政の崖」が現実のものとなった場合、米国経済はどの程度の悪影響を受けるのか? です。
CBO(米議会予算局)の予想によると、2013年Q1(第1四半期)の経済成長率は、前期比年率3.9%減少と、2013年全体では0.3%の減少が見込まれています。
2011年8月に予算管理法が成立したとき、ギリギリまで議会がもめていたことを理由にS&Pは、米国債の格付けを最上位から引下げました。
今回も展開はまったく不透明であり、さらなる格下げのリスクもあります。今後の米国での共和党・民主党の議論をよく見極めたいと思います。
最後にニュースなどでご存じの方も多いと思いますが、明日11月16日(金)に衆議院が解散、12月16日(日)に総選挙ということで固まりました。もしかすると、当コラムを何回かお休みすることになるかもしれません。そのときは、改めてご案内したいと思います。
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