■RSIの分析ではこれ以上の大幅上昇はイメージできない
状況を測る手法としてはいろいろあるが、ここではシンプルな見方を挙げてみたい。
まずは200日移動平均線(200日線)との乖離から見てみよう。
米ドル/円の過去の相場は、少なくとも2007年からのデータを見る限り、200日線から10円前後離れると必ず修正が入ってきていた。一方通行にしても限度があるのだ。
(出所:米国FXCM)
今朝(1月18日)の高値から200日線との距離を測ると、すでに973pipsに達していることから考えて、さらに3円、5円といった値幅で上乗せしていくイメージは湧かない。
が、前述の日銀の過激政策が本当であれば、3円、5円程度の値幅は簡単であろう。そこに矛盾が生じるわけだ。
次に、オシレーター系指標を見てみよう。まずは下の週足をご覧いただきたい。
RSIを表示しているが、週足で見る限り、RSIは現在84.36という非常に高い数値を示しており、1997年2月に記録した83.22よりも高いことが確認できる。
(出所:米国FXCM)
確かに1997年2月以降も米ドル/円は上昇し、その年の8月まで高値を更新していたが、その間、4月安値まで最大16円超、調整の下落が起こったことも見逃せない。
この意味では、日足におけるRSIのシグナルを過少評価すべきではないだろう。RSIが上昇ウェッジのフォーメーションを示し、反落しやすい状況を暗示、そして直近では弱気ダイバージェンス(※)の度合いが増している。
(※編集部注:「ダイバージェンス」とは、
(出所:米国FXCM)
弱気ダイバージェンスと言えば、ごく短期の4時間足でも確認できているが、こちらのほうはより煮詰まりつつある状況であることを確認できる。
(出所:米国FXCM)
■現状は「やはりウワサであったの売り」前夜か
ということで、テクニカルアナリシス上の視点では、短期スパンに限って言うと、米ドル/円の高値があっても限定的で、インパクトの強い材料が出てこないことを示唆しているか、あるいはこういった材料の大半を消化するかのどちらかを暗示しているように思う。
米ドル/円相場で、米ドルが現在置かれている状況は「ウワサの買い、事実の売り」、いや「ウワサの買い、やはりウワサであったの売り」の前夜なのではないかとみる。
ちなみに、もう1つの要素も見逃せない。それは前回提起した「法人様踏み上げ」相場の終焉である。
【参考記事】
●急激な円安は投機筋によるものではない。では、誰が円をガンガン売っているのか?(2013年1月11日、陳満咲杜)
結論から申し上げると、いわゆる実需筋の損切りや将来に対する布石が一段落したからこそ、円安も一服しやすいのではないかと思う。このあたりの話は、また次回に続けたい。
最後に、日銀政策に関する筆者の見方は、あくまで「無責任トーク」であることに注意していただきたい。
そして、仮に筆者が間違っていた場合は、悪いことは言わない。FXをやる証拠金があるくらいなら、早めにローンの返済をすることを、みなさんにはお勧めしたい。はい、それだけは確かである。
(1月18日 PM1:30)
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