■バーナンキショックに冷静な米ドル/円と日経平均
バーナンキショックが、再びマーケットを直撃してきた。
日本時間で、昨日(6月20日)未明のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明において、2014年中のQE(量的緩和策)の終焉が示唆され、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の口からも同じことがはっきりと語られた。
米株安をはじめ、世界中が同材料に反応。そのパニック的な市場心理を語るのに、金の暴落と安値更新がもっとも良い例となっている。
(出所:米国FXCM)
ところで、本日(6月21日)の米ドル/円と日経平均の反応は、今のところ極めて冷静で限定的だ。
米ドル/円は97円台をキープしている。昨日(6月20日)、98円前半まで続伸したことから考えて、目先の反落は容認できる範囲だ。
日経平均にしても、昨日(6月20日)の下落に続き、本日(6月21日)200円超安で寄り付いたものの、執筆中の現時点では切り返しを見せ、一時1万2900円を回復していた。
言ってみれば、今回のバーナンキショックに米ドル/円と日本株が共に冷静でいられるのは、これまでの調整が大きかったからだ。
前回のコラムで指摘したように、短期スパンにおける売られすぎに対する反動で、米ドル/円と日本株はともに戻りの余地があり、米ドル/円の98円台、日経平均の1万3300円手前の打診はその一環であると思う。
【参考記事】
●ユーロプチバブルは最終段階で崩壊寸前!一方、「陰の極」にある豪ドルは反発必至!(2013年6月14日、陳満咲杜)
■米ドル/円や日本株の戻りはまだ続くのか?
問題は、こういった戻りがこれから継続されるか、それとも戻り自体がすでに終了し、これからベア(下落)トレンドへ復帰するかどうかである。
ここまで書くと、筆者の意図も明らかになるであろう。つまり、筆者としては、先週のコラムで米ドル/円と株の下げ一服やリバウンドを予想していたが、それは、あくまでベアトレンドに対する調整であり、米ドル/円も日本株もなお底打ちしていないと思っていたのだ。
【参考記事】
●ユーロプチバブルは最終段階で崩壊寸前!一方、「陰の極」にある豪ドルは反発必至!(2013年6月14日、陳満咲杜)
そうでないと、戻りの余地云々ではなく、いつブル(上昇)トレンドへ復帰するかを検討しなければならないが、残念ながら現時点では時期尚早だ。
もっとも、FRBの出口政策は、景気動向を確認してから実施されるとバーナンキ氏は強調している。それでも今回のFOMCが、より明確な言い方で出口政策を表明していること自体、議長を始め、FRBが景気の見通しに自信を持っていることを表している。
したがって、QE終焉が示唆されたことは、資金の引き揚げが懸念される新興国と違い、米国景気自体にはむしろプラスのサインとして受け止められる。
それでも米株の大幅安が懸念されているのであれば、それは他ならぬ、米株の買われすぎと米金利の下がりすぎが問題であることを露呈している。
言い換えれば、度重なる量的緩和の結果として、米株の上昇と米金利の低下がともに「異常」なレベルまで進んでいた以上、その反動も避けられないだろうと、市場関係者らが疑心暗鬼でピリピリしているからだ。
■問題は米株の調整や米金利上昇のスピードだ
となると、日経平均と米ドル/円のこれからのパフォーマンスに影響を与えるのは、米株の調整や米金利の上昇そのものではなく、それぞれのスピードが重要になってくる。
出口政策の実施で米株の調整と米金利の上昇が避けられないなら、激しく進むか、それとも漸進的に進むかによって、ずいぶん違う結果がもたらされるはずだ。
米ドル/円に限っていえば、米金利の上昇は本来プラス要素だが、米株の調整とともに、早すぎるスピードはマーケットの波乱をもたらし、リスク回避の動きを強める。
その結果、円がまた買われて、米ドル/円の調整が一段と下値を拡大する可能性を無視できない。要するに、ピリピリしているマーケットはパニックになりやすいから、米ドル/円や日経平均がこれからも冷静にいられるかどうかは不透明なのだ。
テクニカル的な視点では、今回もGMMAチャートを…
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