■日銀の量的緩和効果表れず、レンジ相場続く
さて、為替市場に目を向けてみたいと思います。ここのところ、方向感のないレンジ相場が続いています。日銀は相変わらず、量的緩和を継続しているのに、その効果が市場に表れてこないという状態に陥っています。
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それを裏付けるような発表が1つありました。
主要生保4社は昨日10月30日(水)までに、2013年度後半の資産運用計画を発表しました。ひと言でいえば、「安全運転」です。
超長期国債を中心とした国内債を明治安田生命保険は、最大で7000億円強、日本生命は6000億円規模で積み増す可能性を示唆しています。第一生命保険と住友生命保険も国内の債券を積み増す計画となっています。
外貨投資に関しては、為替ヘッジつきでの購入を今度も検討するという方針。ここで確認しておきますが、外国債券などを購入する場合は、通常は円を外貨に交換して債券を購入するため、円安要因となります。ところが、ヘッジつきは、それと同時に外貨売り・円買いの為替予約を締結するため、為替市場への影響はニュートラルとなってしまいます。
つまり、今後日本の大手機関投資家による円売りはあまり期待できないということになります。
■2012年からの円安・株高は外国人投資家が演出したが…
もちろん、他にも投資家はいるものの、2012年からの円安・株高は外国人投資家が演出してきたことを考えると、これからは日本の機関投資家の動向が重要になってくる可能性が高いです。
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(出所:株マップ.com)
生命保険協会の統計によると、生保43社の運用資産は2013年8月末で約328兆円ですが、そのうち日本国債での運用は約半分を占めており、外国証券も53兆円ほどあるものの、多くはヘッジつきの投資であるために、円安要因とはならない性格のものです。
こうしたことを考慮すると、これから2013年末にかけても、金融市場に大きなトレンドができるのは難しそうな気がしてなりません。むしろ、年末にかけてはヘッジファンドなどのポジションの手仕舞いが起きてくるので、そちらを注目しておく必要が出てくるのではないでしょうか。
トレード方針は、これまでの方針を維持しておきたいと思います。
【参考記事】
●年内緩和継続へ。FOMCサプライズなしか。突如株価が急落し円高が進んだ理由は?(10月24日、今井雅人)
●台風一過で米国デフォルトひとまず回避。レンジは逆張り。豪ドルは押し目買いを!(10月17日、今井雅人)
●米FRB初女性議長は雇用重視のハト派!大きく株高・円安が進まない理由とは?(10月10日、今井雅人)
●自由の女神閉鎖で観光客の怒り買う米国。米ドル/円97円台は買い方針だけど…(10月3日、今井雅人)
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