■ドル/円がこれから5月高値を更新すると考える理由とは?
一方、本格的な調整が来る前に、この2つのクロス円(=ユーロ/円と英ポンド/円)の上値余地が、なお残されている可能性も完全には排除できない。
最大のカギは、米ドル/円の値動きだ。
前回のコラムで指摘したとおり、米ドル/円もスピード調整を果たしているが、まだ5月高値を更新していないだけに、トップアウトは時期尚早だろう。
【参考記事】
●ドル/円は100円台後半までの反落警戒も、いずれ高値更新し、105円台が射程圏に!(2013年11月29日、陳満咲杜)
下のチャートに記しているように、米ドル/円は10月25日(金)安値96.93円から上昇波を展開してきたが、まだ5月高値を更新していないため、RSIとの相違からのシグナルを読み取れずにいる。
一方、同上昇波は2010年10月安値75.56円を起点とした5波構造上昇波の最終波に当たるだけに、これから高値更新をしていく宿命にある。
(出所:米国FXCM)
エリオット波動論では、5月高値(3波のトップ)を更新しないうちに第5波がトップアウトすることは稀である。もし、それがあれば、「5波の失敗」という位置付けとなり、どちらかというと、大きなトレンドを転換させる前兆と受け止める場合が多い。
【エリオット波動に関する参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(2012年-1) 米ドル/円は新たな長期米ドル高・円安時代に入った!
2010年安値は戦後の米ドル/円最安値だから、そこからの反騰は、一区切りとしてどこかでトップアウトする可能性が大きいものの、それをもって大きなトレンドが転換されるとは考えにくい。
言い換えれば、2010年安値をもって戦後一貫した米ドル安・円高に終止符を打ったのならば、同安値からは息の長い米ドル高・円安トレンドが想定されるため、反落があっても調整波という位置付けとなり、トレンド自体は続く公算が大きい。ゆえに、「5波の失敗」は考えにくい。
こういったロジックに基づき、米ドル/円のスピード調整は比較的浅く済み、これから高値更新を狙う公算が大きいと結論づけられるだろう。
■米ドル/円の次のターゲットは105.55円前後か
問題は、次の上値ターゲットをどこに置くかである。もっともポビュラーな計算では、96.93円を起点とした第5波の値幅が第1波(75.56~84.17円、約860pips)と等しいと想定した場合、105.55円前後のターゲットが得られる。これを当面の上値として意識しておきたい。
米ドル/円の高値更新がむしろこれからであれば、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の頭打ちや反落も後ズレになる可能性を否定できない。
前述のように、確かにユーロ/円とポンド/円の週足では、反落の兆しが濃厚になってきたとはいえ、再度高値打診なしといった判断も性急かもしれない。
なにしろ、ドルインデックスの急伸、すなわち米ドルに対する外貨の急落なしなら、クロス円はなおブル基調を保てるからである。
要するに、ユーロ/円、英ポンド/円の当面の上値余地は限定的だが、本格的なトップアウトは、ユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルの反落を持たなければならないので、目先一段と慎重に考えたい。
■ドルインデックスは上昇フラッグ形成でブルトレンド加速へ
肝心のドルインデックスは、11月に入って、7月高値から構築された下落ウェッジの上放れを果たしたが、昨日(12月5日)までダラダラと反落し続け、一見弱い値動きに留まっている。
(出所:米国FXCM)
しかし、上のチャートに記しているように、11月8日(金)高値を起点とした反落は、10月安値から始まった「上昇フラッグ」というフォーメーションの「フラッグ」部分に当たるから、そろそろ底打ちを果たし、上放れをもってブルトレンドを加速する公算が大きい。
早ければ、本日(12月5日)の米雇用統計リリース後にでもそういった値動きが観察されるのでは。
ちなみに、本日の米雇用統計、年内QE(量的緩和策)縮小の有無や来年(2014年)の政策に多大な影響を与えるから、指標次第で本日また一反乱も。市況はいかに。
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