■GPIFの見直しが市場に与える影響
前回のコラムの中で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオの変更が市場に与える影響について説明しました。
【参考記事】
●安倍政権が作る政治主導のミニバブル!?株高・円安進む! ドル/円年初来高値へ!(11月28日、今井雅人)
その後、さらに調べてみると、新たなことがわかってきたので、今回はそれを中心にお話したいと思います。
まず、おさらいをしておくと、今後GPIFは以下のようなポートフォリオの見直しをする可能性があります。
1.国内債券(国債を含む)を現行の60%から、即時52%に、将来的には35%程度にする
2.国内株式を現行の12%から即時17%に、将来的には20%程度に
3.外国債券を現行の11%から即時13%に、将来的には20%程度に
4.外国株式を現行の12%から即時13%に、将来的には20%程度に
5.短期資産は現行の5%を維持
■外国債券の比率が低いため、円安期待は持てるか
そこで、足元の状況を確認してみると、発表されている直近のデータは2013年9月末のものであり、その時点の残高は国内債券58.03%、国内株式16.29%、外国債券10.13%、外国株式13.49%となっています。
つまり、国内株式に関してはすでに17%に近づいているということで、もう買ってしまっている状態だということになります。そうであれば、今後、早い段階で日本株の比率を引き上げるという可能性は、それほど高くないということになります。
為替に関して言えば、外国債券の比率が低いことから見れば、円売りによる円安という期待は、まだ日本株よりは持てるかもしれません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■詳しい分析なく、日本株買い・円売りを仕掛けた可能性
もう1点問題があります。
それは、今後のスケジュールに関してです。政府は、5年に1度、公的年金の財政検証を実施していますが、2014年がその5年目に当たり、今のところ、2014年2~3月に結果が発表される予定です。
また、2015年10月に予定されている厚生年金と各共済年金の統合を視野に、別の有識者会議が2014年3~4月に、積立金の運用指針をまとめる予定となっています。
その運用方針を受けて、初めてGPIFなどが資産配分の標準的なモデルを作り、各年金基金が独自の運用方針を決めるというプロセスが想定されています。
この2つのスケジュールと合わせると、多少、途中段階でのすり合わせが前倒しすることもできるかもしれませんが、急に大きな変更を行うのはかなり難しい状況であることがわかります。
GPIFに関する情報は以上のとおりですが、市場関係者はこうした詳細を分析しないまま、このネタを手がかりに日本株買い・円売りを仕掛けた可能性があります。
(出所:株マップ.com)
市場環境は、今のところ…
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