米ドル/円が長期円高トレンドの「最終局面の最終局面の最終局面」にあるということなのだ!!
V波の(5)波のc波。
我々は今、「円高5波動」の最果ての地に立っている。
エリオット波動で見ると、米ドル/円は今まさに、とてつもなく重大な歴史的局面を迎えようとしていることがわかるだろう。
──以上のようにザイFX!の当コーナーで記者が書いたのは1年ちょっと前のこと。記事の公開日は2011年10月15日だった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・テクニカルアナリスト、宮田直彦さんへの取材記事である。
【参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある
そして、この記事公開から半月後の2011年10月31日、米ドル/円は政府・日銀による為替介入の直前に75.3円台の安値をつけた。これが戦後の変動相場制以降で米ドル/円相場の歴史的最安値となっている。
まさしく、宮田さんが指摘したとおり、米ドル/円は2011年10月に長期円高トレンドの「最終局面の最終局面の最終局面」にあったようなのである。
ではその後、米ドル高・円安が進み、直近では一時、82.8円台をつけるところまで上昇している米ドル/円相場は今、どういう局面にあるのだろうか?
さらに今後の米ドル/円相場はどう動いていくのだろうか? ユーロ/円などの相場はどう動いていくのだろうか? 米ドル安・円高の最終局面をズバリ当てた宮田さんの見解をザイFX!は今、再び聞きに行った。

■米ドル/円相場に出現していたダイアゴナル・トライアングル
宮田さんが重視しているのはテクニカル分析の中でも、エリオット波動とサイクル論。
エリオット波動について詳しくは、2011年に公開した以下の記事を参照してほしいが、非常にざっくり説明すると、以下の図のように、エリオット波動は「1~5波の5波構成の強気相場」と「A~C波の3波構成の弱気波動」で形成される。
【参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(1) 為替相場は歴史的な大転換点を迎えている!

そして、宮田さんによると1970年代からの米ドル/円相場では長期に渡って「円高5波動」が展開されていた。前回、宮田さんに取材した2011年10月はその5波目の「最終局面の最終局面の最終局面」だったのだ。
「最終局面の最終局面の最終局面」という表現の詳しい意味は2011年10月の記事に譲るが、重要なことはそのときの米ドル/円相場にダイアゴナル・トライアングル(斜行三角形)というチャートパターンが現れていたことである。
【参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある
ダイアゴナル・トライアングルとは三角保ち合いの一種。全体が下向きのダイアゴナル・トライアングルであれば、安値を結んだ三角形の下辺よりも、高値を結んだ三角形の上辺のほうが、傾きがきついのが特徴だ。
■ダイアゴナル・トライアングルの終了確認でトレンド転換
「米ドル/円では2007年6月の高値124円から、ダイアゴナル・トライアングルができていました。このパターンはエリオット波動で強気相場であれば最後の5波目、弱気相場なら最後のC波にしか現れません。
つまり、ダイアゴナル・トライアングルは『次はトレンド転換するぞ』というパターンなんです。だから、米ドル/円はこのダイアゴナル・トライアングルが完成したら、今までの円高とは逆の方向、つまり円安方向へ相当動くだろうということを、前回2011年のときはお話ししました」
【参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある
●宮田直彦氏に聞く(4) 40年に渡る長期の米ドル安・円高局面がついに終わる!
「そして、2012年の2月に米ドル/円はダイアゴナル・トライアングルの上辺を上抜けたのです。これでダイアゴナル・トライアングルが終わったことの確認が取れました」
2012年2月14日には日銀による“バレンタイン緩和”があり、米ドル/円は一気に上昇した(ただ、今振り返ると、上昇の起点は日銀の金融政策発表よりも少し前の2月上旬だった)。
このときの急激な上昇は2012年3月15日まで続き、84円台の高値をつけるに至った。この上昇で、米ドル/円はダイアゴナル・トライアングルの上辺を上抜けたというわけである。

そして、それはすなわち、米ドル安・円高トレンドから米ドル高・円安トレンドへの転換を示唆するということだ。
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