■市場は典型的な「バブル相場」の心理状態に!
もっとも、FOMCの決定を受けたリスクオンの動きは、いつからQE縮小か、それに縮小の規模はどれぐらいかといった不安感やモヤモヤ感が晴れてきたからというところもある。一部投機筋がもっぱら「低金利の長期化」をとらえ、バブルに乗って「最後」のひと儲けをしようとしている側面も強い。
こういった市場の雰囲気自体、典型的な「バブル相場」の心理なので、警戒すべきである。
こういった心理を、筆者は「最後の1枚(金貨)を噛ませて」と呼んでいる。この心理は警戒すべきであるものの、しばらくマーケットを支配するのではないかと思う。
なぜなら、最後の1枚であるがゆえに、もっとも噛みたい人が多く、また噛まないとアホっぽく見えるからだ。こういった感覚も実にバブル相場の末期症状となるが、問題は症状が出たからといって、いつ崩壊するかはなかなか測れないところにある。
したがって、こういう心理状態が全盛期を迎え、この年末年始に株高・円安が一段と進む可能性を否定できない。米ドル/円はといえば、やはり、たびたび指摘してきた上値ターゲットの105.50円~105.55円が視野に入ってこよう。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
■「最後の1枚を噛みたい症候群」が多ければ多いほど…
それにしても、警戒すべきなのはやはり来週(12月23日~)のクリスマスを控え、海外投資家の多くは休暇前にいったんポジション調整に動くといった可能性だ。
その上、前述のように、「最後の1枚を噛みたい症候群」の方が多ければ多いほど、ウォール街の連中にとって絶好のカモになるから、ポジション調整には苦労しないだろう。
実際、筆者のところにも、米ドルを買いたいとか、株を買いたいといった相談が連日絶えず来ている。このような状況が「最後の1枚」の魅力を如実に物語っているから、彼らと距離を置くことも重要であろう。
要するに、年末年始はリスクオンの相場が一段と進む公算が大きいものの、予想外にして、また予想内の調整があってもおかしくない。
米ドル/円が、一直線に105.50円~105.55円のターゲットにいくか、それともいったん調整して、ロングポジションの振り落としを起こしてからそれを達成するかは、年末年始相場の見どころだ。
■品のない口先介入で売られすぎの豪ドルはいったん反転か
最後に、調整があれば、円以外で注目すべき通貨をもう1つを挙げてみたい。それは他ならぬ、豪ドルだ。
円に関してたびたび指摘してきたが、円は売りポジションの積み上げが過大であり、それがいずれ転換されるリスクが高い。そして、実は豪ドルも同様に、売られすぎのオーバーシュートの状況にあり、いったん反転されやすいのではないかとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
もっとも、豪ドル売りのオーバーシュートは豪中銀総裁による「不快なほど」の口先介入によって醸成されている側面が強く、また同総裁による露骨というか、品のない為替誘導自体、政策出尽くしの裏返しでもある。
すでに最低金利に落ち込んでいる豪ドルにさらなる利下げを期待するマーケットは、いずれ裏切られることになろう。
この話は、また次回にて詳説したい。
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