■悪材料に事欠かないことが逆にユーロ急落を抑制
そして、現在、ユーロ売り材料には事欠きません。
たとえば、ロシアのプーチン大統領はウクライナ情勢の悪化に伴う対ロシア制裁への報復措置として、食料輸入を制限すると発表。加えて、「ロシアによるウクライナ侵攻の脅威は現実」と、ヘーゲル米国防長官がコメントしています。
ロシアとの経済関係が深いユーロ圏にとって、こうした事態は景気の足かせとなります。
さらには、イタリアのGDP(国内総生産)が2四半期連続でマイナス成長となり、イタリア経済が再びリセッション(景気後退)入りしたとの懸念が拡大。
ユーロ圏の悪材料がこれだけ揃っているにも関わらず、ユーロ/米ドルの下落が緩慢なのは、マーケットがすでにユーロショートになっていること。ユーロの悪材料が揃いすぎていることが、マーケットのユーロショートを誘因し、それが逆にユーロ急落の抑制となっています。
(出所:米国FXCM)
■ユーロ/米ドルは1.30ドルへ向けて静かに下落中
加えて、ユーロ/米ドルは要所要所にオプションのバリアが控えており、それが下落のスピードを抑制しています。
今週(8月4日~)、やっと1.3350ドルのバリアが崩され、一時1.3333ドルまで下落。
次は、1.3300ドルのバリアがサポートとなっていますが、上記のようにマーケットのユーロショートの利益確定を消化しながら流れは米ドル高へ。
欧米主要銀行の今年、2014年年末のユーロ/米ドルの予測は1.30ドルというのが多いのですが、そちらに向かってユーロ/米ドルは静かに下落中。
(出所:米国FXCM)
NZドル/米ドルのような急落はありませんが、静かに値を下げているユーロ/米ドルにも注目です。
来週は休暇のため、「ヘッジファンドの思惑」は休載させていただきます。よろしくお願いします。
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