■お盆明けのマーケットが注目された理由とは?
そして、マーケットのコンセンサスどおり、お盆明けの今週(8月18日~)から米ドル/円は急速に値を上げ、一時103.97円と104.00円回復目前のところまで上昇しました。
なぜ、お盆明けからのマーケットが注目されていたのかというと、それはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革の報道が控えているためです。
今現在のマーケットの関心事は、9月-10月に公表されるGPIF改革の中身。約126兆円の運用資産を抱える世界最大の機関投資家の動向にはヘッジファンドの注目度も高いわけです。
現時点での報道によれば、
(1)日本株への比率は20%超に引き上げられる
(2)外国債券への投資配分は現行の11%から16%程度に引き上げられる
(3)外国株式への投資比率は現行の12%から17%に引き上げられる
ということになります。こうしたマーケットの見方が正しければ、約12.6兆円の円売りが発生することになり、これは米ドル/円の上昇を後押しするには十分な金額。
(出所:米国FXCM)
もちろん、外貨は米ドルだけではないため、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場全般にもかなりの買い圧力が加わると考えられます。
GPIF改革の中身が公表される9月相場が目前となり、それを見越して円売りが再開されるのではないかというのがマーケットのコンセンサス。そのタイミングは多くのトレーダーが夏期休暇からマーケットに戻ってくる今週(8月18日~)というのが大勢でしたので、日本の「お盆明け」からのマーケットが注目されていたわけです。
■文藝春秋に安倍総理の記事が掲載されたのは偶然?
加えて、偶然なのかもしれませんが、今月、8月に発売された『文藝春秋』9月号には「アベノミクス第2幕へ」という特集が組まれています。この特集の中で、安倍総理が「最近の安倍さんは経済を忘れているのではないか?という意見があることは承知しています」と、経済再生への意気込みを改めて宣言しています。
そうした環境のもと、今週(8月18日~)はコンセンサスどおり、米ドル/円が急騰。まず、週明けには信託勘定から突然、巨大な米ドル買いが持ち込まれます。そして8月20日(水)には、大手ヘッジファンドが103円台前半に設定されていたオプションからの巨大な売り指値を一気に買い上げ、米ドル/円はあっという間に104.00円近辺まで急騰。
(出所:米国FXCM)
■米ドル/円は105円台回復が濃厚
本稿執筆時点の米ドル/円は103.90円付近で推移。
現在、2014年4月4日(金)の高値である104.12円がレジスタンスとなっていますが、9月に向けて、欧米勢の円売り圧力は衰えず、米ドル/円はまず105円台回復が濃厚になってきました。
【参考記事】
●ドル/円は105円に向け上昇の可能性大。NZドル相場のカギは乳製品入札にあり!(7月31日、西原宏一)
欧米勢は3カ月物で105.00円というオプションをキープしている参加者も多いため、105.00円台は上げ渋るのでしょうが、流れは円安に傾斜しており、ヘッジファンド勢は、108~110円レベルのオプションも物色している模様です。
9月を目前にして、再び動き出した米ドル/円。日経平均も変わらず堅調で8月20日(水)は8日続伸。アベノミクス第2幕が始まり、再び「米ドル/円と日経平均」の動向に注目。
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