■GPIFなどの公的年金が「日本株高・円安」を演出か
その「日本株高・円安」を演出する対策として、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を筆頭とした公的年金による「日本株買い・円売り」が持ち込まれる可能性が濃厚。
加えて、日本株や米ドル/円は国内要因のみで動いているわけではなく、欧州を筆頭とした景気減速による欧州株や米国株の急落につれた、「日本株下落・円高進行」というシナリオにも備えなければなりません。
その対策としては、日銀による追加緩和の発動というカードも残しています。
実際に、10月15日(水)に米国株が崩れ、米ドル/円が105円台に突入した翌週(10月20日~)には、GPIFを筆頭とした公的な資金が、日本株と米ドル/円のマーケットに参入して相場を押し上げたと言われています。
この公的な買いにより、2閣僚同時辞任という悪材料の中でも、10月20日(月)の日経平均は下落するどころか578円の暴騰を演じました。
(出所:株マップ.com)
この相場展開が、「仮に米国株が急落して、米ドル/円が反落すれば、公的年金が出てきて、相場を支える」というイメージを欧米勢に持たせることになります。
こうした背景により、11月からは、米ドル/円、日本株は再び上昇トレンドに入るというのが、欧米勢を含めたマーケット参加者のコンセンサスになりつつあります。
■米ドル/円上昇も、穏やかな「円安」なら問題なし
本稿執筆時点での米ドル/円は110円に迫る高値圏で推移しています。
米ドル/円の上昇過程におけるマーケットの懸念は、10月1日(水)に110.00円に乗せたとき、頻繁に出てきた「過度の円安懸念」。
しかし、10月中旬から、この円安懸念というのはかなり後退してきています。その背景にあるのが、10月15日(水)に発表された米財務省による為替報告書。
半期に一度発表される米財務省による議会への為替報告書によると、中国や韓国の為替操作あるいは異常な通貨安に関しては名指しで批判していますが、110円に向けて進行している、米ドル/円での円安については一切言及されていません。
つまり、9月のような一方的で急速な円安についてはマーケットで懸念の声が上がりますが、穏やかに進行する「株高・円安」については問題ないということになります。
日本株高・円安が進めば、米ドル/円は112円へ向けて上昇してくる可能性があります。
(出所:米国FXCM)
2014年4月の3%増税の影響は、過去の消費税増税と比べても日本経済の足を引っ張っていると言われています。
消費増税が予定どおり決定されるのか? 決定されるのであれば、景気の腰を折らないために政府はどのような対策をとってくるのか?
来月、11月からの日本株と米ドル/円の動向に注目です。
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