(「ザイFX!で2014年を振り返ろう!(3)【業界:前編】BO再燃と熱いスプレッド競争」からつづく)
ここまでバイナリーオプションブームの再燃や熾烈を極めたスプレッド競争について振り返ってきましたが、2014年のFX業界はそれだけではありません。
■これもレンジ相場の影響? シストレのスタンダードに変化!
たとえば、シストレ(システムトレード)関連の話題も忘れてはいけませんね。2013年までは、インヴァスト証券[シストレ24]やFXプライム byGMO[選べるミラートレーダー]などに代表されるトレーデンシー社の「ミラートレーダー」、ひまわり証券の[エコトレFX]などを利用する、「選択型シストレ」がFX業界のシストレのスタンダードでしたが、2014年は少し様子が違いました。
【参考記事】
●ザイFX!で2013年を振り返ろう!(5)【業界:後編】シストレ活況、BOに新規制
2014年は、「ミラートレーダー」に関する新しい話題はほとんどなく、むしろ最低取引量が1000通貨から5000通貨に引上げられるという、ちょっと残念なニュースがあったくらい…。
【参考記事】
●ミラートレーダーの最低取引数量が1000通貨から5000通貨へ引き上げ。各社の対応は?
「選択型シストレ」の新サービスでは、トレイダーズ証券から[みんなのシストレ]が2014年5月にリリースされたくらいです。
【参考記事】
●優秀なトレーダーの取引をコピーする100通貨で始められるシストレがあった!
「選択型シストレ」でないなら、2014年はFX業界のシストレでは何が話題になったのか?
あらためて振り返ってみたところ、2014年は、あらかじめ搭載されたストラテジーを選ぶだけというこれまでの「選択型シストレ」よりも、シストレに裁量トレードの要素が加わった新しいタイプのシストレサービスが話題になったようでした。
一般的に、「選択型シストレ」で用いるストラテジーは、大きなトレンドが発生している時には好成績を上げますが、レンジ相場は苦手とするケースが多いと言われています。2014年、「選択型シストレ」の人気がやや低迷気味だったのも、夏まで続いたレンジ相場が影響しているのかもしれませんね…。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■自分の相場観でストラテジーを作成するツールが登場!
ということで、ここからは、2014年に登場した新しいタイプのシストレサービスをチェックしていきましょう。
まず紹介したいのが、[シストレ24]で「ミラートレーダー」を提供しているインヴァスト証券から2014年3月に登場した[トライオート]。
【参考記事】
●【最大3万円】シストレと裁量のハーフ?インヴァスト証券で[トライオート]始動!
[トライオート]は、オートパイロット(AP)注文と呼ばれる注文を自分の相場観を元に作成し、これを稼働すると、あとは注文作成時に自分が設定したルールに従って、自動でトレードを継続してくれるという便利なツール。
ご覧のとおり、オートパイロット注文作成画面もシンプルで使いやすそうですね。
ちょっと似た系統のサービスとして、2014年8月には、FXプライム byGMOから[ちょいトレFX]も登場しました。こちらも、ストラテジーの作成画面はシンプルで使いやすそうですよ。
[ちょいトレFX]には、使い方が2通りあります。
1つは自分でテクニカル指標の設定を行って、オリジナルストラテジーを作るやり方。比較的簡単にオリジナルストラテジーは作ることができ、作ったストラテジーに対しては過去のデータに基づいた「バックテスト」ができますし、リアル資金を使わないで行う「テスト運用」もできます。
そして、もう1つの使い方はあらかじめ搭載されたストラテジーを選ぶだけという「選択型シストレ」のようなやり方。同じツールで2通りの使い方ができるのは、なんだかお得な感じがしますね。
【参考記事】
●自分で簡単にストラテジーが作成できる新しいシストレ口座[ちょいトレFX]とは?
紹介した[トライオート]や[ちょいトレFX]のように、純粋に「選択型シストレ」には分類できないシストレサービスを、ザイFX!では、「システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!」のなかで、「ユーザー設定型シストレ」と分類しています。
「ユーザー設定型シストレ」提供各社のサービス内容詳細は、【参考コンテンツ】でチェックしてくださいね。
【参考コンテンツ】
●システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!:(3)ユーザー設定型シストレ
「ユーザー設定型シストレ」の中には、[トライオート]のように、裁量トレードの要素である個人の相場観と、感情や睡眠、仕事などに左右されず、24時間トレードし続けることができるシストレならではの要素を合体させた新しいスタイルのシストレサービスもあります。
各社提供の専用ツールを使えば、プログラミング知識がなくても、オリジナルストラテジーを作れるという点も、うれしいポイントですね。興味のある方は、ご自身のトレードに「ユーザー設定型シストレ」を加えてみるのも良いのではないでしょうか?
■トラリピ包囲網拡大中!? リピート系発注機能とは?
このほか、正確にはシストレではないかもしれないけれど、シストレ的な役割を果たすサービスとして、2014年に数多く登場したのが「リピート系発注機能」。
これは、新規注文と決済注文がセットになり、自動でイフダン注文を繰り返すマネースクウェア・ジャパン[M2JFX]のトラップリピート・イフダン(通称トラリピ)に代表される発注機能で、2014年はこの「トラリピ」に似ている!? サービスがたくさん登場しました。
一気に「トラリピ包囲網」が拡大した印象です…。
【参考記事】
●新サービスが続々登場! トラリピみたいな「リピート系発注機能」を大特集!
なお、「リピート系発注機能」も、ザイFX!が「システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!」のなかで、他のシストレサービスと区別するために、独自でつけた名称です。
【参考コンテンツ】
●システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!:(4)リピート系発注機能【トラリピなど】
■外為オンラインの「iサイクル注文」も!
2014年に新たに登場した「リピート系発注機能」といえば、外為オンラインから登場したイフダン・オーシーオー注文を自動的に繰り返す「iサイクル注文」とイフダン注文を繰り返す「サイクル注文」が挙げられます。
イフダン注文を繰り返すという点では、「サイクル注文」の方が、より「トラリピ」に近いと言えそうですね。
【参考記事】
●トラリピ似の注文方法が新たに登場!コスト半額でトレンド相場も自動追尾!
ちなみに、「iサイクル注文」と同じ発注機能は、FXトレーディングシステムズでも、外為オンラインからライセンセンス供与を受け、「トラッキングレコード」という名称で2014年10月から提供されています。
【参考記事】
●また登場した相場追従型のリピート系発注機能。こちらの方がおトクな理由とは?
■YJFX![外貨ex]の「リピートトレール注文」も!
また、2013年12月のリリースではありますが、YJFX![外貨ex]の「リピートトレール注文(リピトレ)」も、「トラリピ」と似た発注機能。
機能面を見ると、「リピートトレール注文」は、「新規リアルタイム注文」と「決済トレール注文」を組合わせたもの。注文を繰り返すという点では「トラリピ」とよく似ていますが、その他はちょっとずつ違う様子…。詳しくは、以下の記事でチェックしてくださいね。
【参考記事】
●FX業界の新たな流行は連続注文機能?「リピトレ」、「連続IFDOCO注文」とは?
●リピートトレール注文(リピトレ)ってナニ?リピトレとトラリピってどう違うの?
■ひまわり証券の「エコトレFX」でも似たようなストラテジーが
2014年7月にリリースされたひまわり証券の[エコトレFX]の新ストラテジー(ひまわり証券では売買システムと言う)、「ループ・イフダン」も「トラリピ」と似た機能を持つもの。
ひまわり証券の[エコトレFX]は「選択型シストレ」であり、「ループ・イフダン」は「リピート系発注機能」ではなく、「選択型シストレ」で提供されている1つのストラテジーという位置づけです。
「ループ・イフダン」は、あらかじめ設定された売買方向のエントリーと利食いのpips幅に沿って、自動でイフダン注文を繰り返してくれるストラテジー。結局、そのしくみは、「トラリピ」とよく似ています…。
【参考記事】
●トラリピと似ている? エコトレFXに利益2854pipsの「ループ・イフダン」登場!
●トラリピに似た「ループ・イフダン」がドル/円以外の通貨ペアでも使えるように!
もっとも「リピート系発注機能」の元祖と言えるマネースクウェア・ジャパン[M2JFX]の「トラリピ」は、すでに特許を取得済み。各社とも、さすがにまったく同じ発注機能をリリースするワケにはいかず、少しづつスペックには違いがあります。
しかし、基本的なしくみはかなり似ているものが多数…。2015年も「トラリピ包囲網」は広がり続けるのでしょうか!?
2015年1月6日(火)には、ライブスター証券[ライブスターFX]が、外為オンラインのライセンス供与を受けて「iサイクル注文」をリリースするとのニュースも出ています。2015年、さらに「リピート系発注機能」を導入するFX会社が増えそうな予感も…。引き続き、各社の動向に注目したいですね。
【参考コンテンツ】
●システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!:(4)リピート系発注機能【トラリピなど】
(「ザイFX!で2014年を振り返ろう!(5) 【業界:後編】ローラと新垣結衣のバトル!?」へつづく)
(ザイFX!編集部・向井友代)
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