2014年も残すところあとわずか。年末恒例となった、ザイFX!ならではの視点から振り返る2014年ということで、今回は【相場編】。前半と後半に分けて激動の2014年のマーケットを振り返りたい。
■2014年は円安・株高! 米ドル/円は122円へ上昇!
2014年の相場を振り返ると、ものすごく株高・円安が進んだイメージを持っている人が多いのでは?
それもそのはず、2013年末には105円程度だった米ドル/円は、2014年12月5日(金)には、122円近辺まで上昇。日経平均は12月8日(月)に2007年7月以来の1万8000円の大台に乗せたのだ。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

(出所:株マップ.com)
では、相場を動かしたテーマは何だったのだろうか? ここからは、そうした観点から2014年の相場を振り返りたい。
■2014年は金融政策の方向性の違いがテーマ
2014年は、日銀やECB(欧州中央銀行)が追加緩和に動く一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)は緩和縮小を進めるといったように、金融政策の方向性の違いが明確になってきたことが大きなテーマとして挙げられる。
以下の表は、2014年の日本・欧州・米国の金融政策の動きと、それによる、円・ユーロ・米ドルの動きをまとめたものだ。

■「黒田バズーカ2」炸裂! 日銀が追加緩和を実施!
まず日本では、10月31日(金)に開催された日銀金融政策決定会合で追加緩和が決定された。
それまでの黒田総裁の言動などから、市場では10月の日銀政策決定会合では追加緩和に動くことはないとの見方が優勢な中での、サプライズな決定だった。
それだけに、2013年4月の異次元の金融緩和が発表された時の「黒田バズーカ」に続き、「黒田バズーカ2」と呼ばれるほどのインパクトを市場に与えた。
【参考記事】
●日銀とGPIFのダブルバズーカ炸裂で、ドル/円は120円へ向け上昇の可能性濃厚(11月6日、西原宏一)
この日銀の追加緩和をきっかけに、「日本株高・円安」が一気に加速し、この日だけで日経平均は755円の上昇。米ドル/円も3円以上急騰し、110円の大台に乗せると、112円台まで買われた。
【参考記事】
●サプライズの日銀追加緩和決定で円全面安。ドル/円は111円台へ、日経平均755円高!
■ドラギ総裁は「口先介入」を繰り返す!
日本と同様に金融緩和に動いたのが欧州。
こちらは、6月5日(木)に開催されたECB理事会で主要政策金利の引き下げを決定すると同時に、中銀預金金利をマイナスに引き下げるなどの追加緩和を実施したほか、9月4日(木)のECB理事会では、市場の予想に反して追加緩和を決定した。
【参考記事】
●異例の低ボラティリティが続くドル/円より、注目は250pipsも急落したユーロ/豪ドル!(6月12日、西原宏一)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
ただ、ドラギECB総裁はQE(量的緩和)については、その可能性こそ示したものの踏み込むことはなく、「口先介入」を繰り返した。市場関係者の間では、積極的な金融緩和に動いた日銀の「有言実行」に対して、口先介入を繰り返したECBは「有言不実行」と呼ばることも…。
【参考記事】
●終わりなき金融緩和の中、円安の旅は継続。120円急接近のドル/円は年明け124円へ!(11月20日、西原宏一)
また、ドラギECB総裁は「口だけドラギ」などと、揶揄されたこともあった。
【参考記事】
●今回は「口だけドラギ」でなさそう!? 仏当局の言動怪しく、ユーロ下落に注意!(5月15日、西原宏一)
このように、ECBが金融緩和に動いた背景には、ウクライナ情勢の緊迫化に伴うロシアとの関係悪化などによる欧州経済の低迷が挙げられるのだが、こちらについてはのちほど詳しく取り上げたい。
一方、日本や欧州が金融緩和に…
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