木曜日にスイス中銀の無制限介入の撤廃があって、為替相場は大いに混乱した。ユーロスイスの買い支えを停止するのだから、ユーロが下がってスイスフランが上昇する方向で圧力が強まる。ユーロは全面安となって、ユーロドルを筆頭にユーロ円、ユーロポンドなども売りの対象にされる。短期的に大きく下げてもいたので反動のユーロのショートカバーも激しかったが、それでも発射地点を超えてくるほどのユーロ買いにはならない。あくまでもコストを重視した動きとなっている。
ドル円はリスクの側面からはリスクオフとなって、下げる方向で反応。115円台まで見るに及んでいる。ユーロ円が下げたのだから仕方がないといえばそれまでだが、買いの対象になっているスイスフランの上昇がきつかったので、スイス円は20円ほども上昇しているのが面白い。クロス円の中でのマタ裂きである。
これだけパニックに陥って、金曜日はFX業者の資金難が取りざたされた。スイス円やドルスイスなどで損失をこうむった顧客からの追証の回収ができないかもしれないというものだった。マーケットが短時間で大きく動くと、いつも同様の問題が浮上してくる。ともかくもマージンコールであれば、2日間の余地があるはずだ。本格的な資金回収のタイムリミットは月曜日に訪れるはずだ。
むしろ結果が出て強制的にポジションカットを含む清算は、翌日の火曜日に判明するだろう。そういうわけで今週の序盤は警戒を怠ってはいけないことになる。そもそも人の出した損失を減らす方向に相場が動くと考えるほうが不自然である。いちばんコストの悪いところで損切りさせられて、その後にようやく相場がもとに戻ると考えるほうが無難だろう。
先週の金曜日はそうしたマーケットの混乱もあって、海外市場では早いうちからリスク回避が進んだ。グローベックスセッションでは米国株が大きく値下がりし、昨年末の原油安によるロシア危機のレベルまで米国株は落ち込んだ。
しばらく資本市場のスランプが続いたが、ニューヨークオープンまでには混乱も一巡したようだ。徐々にリスク回避の流れは弱まり、米国株は前日の終値近辺まで完全に戻してきた。ドル円も117円台に乗せてきて、リスク許容度の回復が見られた。
そしてミシガン大学の景況調査が予想よりも良かったことを契機に、ドルはさらに上昇。特にユーロドルは1.14台にまで突っ込んだ。安全志向で買い進まれていた米国債も下落に向かい、マーケットに安心が広がってきた。そしてFX業者の資金繰りを支援するスポンサーも現れたようで、一応の平静を取り戻し、最終的にはクロス円が全面高となってニューヨーククローズを迎えた。
さて本日はキング牧師の日で米国が祝日。米国勢の参加者は少なそうだが、FX業者の資金繰りがどうなるかに要注意である。原油価格については、安いは安いなりに、安値トライをしていないので市場の関心からは外れている。
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