■ユーロ/米ドルは0.8ドル台も視野に入ってくる形か
また、こうした動きは、チャートからも確認できます。
ユーロが発足した1999年からの長期のチャートを見ると、2009年からレンジ相場に入っていたユーロ/米ドルでありましたが、2015年に入って、2010年6月の直近安値1.1876ドルを下抜けし、さらには2005年11月の安値である1.1640ドルを突き抜けた後は、チャートポイントらしきものがなくなってしまいました。
(出所:米国FXCM なお、ユーロが発足した1999年より前のチャートはECU(欧州通貨単位)を代わりに使ったチャートになっている模様(ザイFX!編集部))
チャートだけを見れば、0.8ドル台までも視野に入ってくるような形となっています。
■調整局面はあっても、ユーロはまだ下落するだろう
ユーロを取り巻く環境が非常に厳しいということは、以前から指摘しているので、ここではあまり詳しくは語りませんが、最大の問題点は、ユーロ圏がディスインフレ(※)ではなく、明らかにデフレ状態に陥っていることです。
(※編集部注:「ディスインフレ」とは、ディスインフレーションの略で、インフレが収束し、物価上昇率が低下している状況を指す)
最近の消費者物価指数も、マイナスが続いている状態であるため、ECBは量的緩和の手綱を緩めることができません。
さらには、政治的な環境も厳しい状態が続いています。ギリシャの問題とウクライナの混乱が、ユーロへの信頼を低下させているということです。
ここまでも下落のスピードがあまりにも激しいので、調整局面もあるとは思いますが、まだまだユーロは下がっていくのではないでしょうか?
■米ドル/円は、2007年6月の高値124.14円を目指す動きに
一方の米ドル/円ですが、こちらも120円を越えて121円台になってきていますが、米ドル上昇のスピードは、対ユーロに比べれば遥かに鈍いです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
その結果、ユーロ/円は大きく下落する結果となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
米ドル/円の上昇スピードが遅いのは、前回のコラムで指摘したような政治的背景があるからだと考えています。
【参考記事】
●ユーロ/ドルは1.0000ドルへ向けて下落!ドル/円膠着の背景にある政治的変化とは?(3月5日、今井雅人)
ただ、政治的なことだけで、市場を止めることはできません。米ドル/円も、2007年6月22日の高値124.14円を、まずは目指す動きとなってくると考えています。
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