■米ドル加速のきっかけは、強い米雇用統計
前回のコラムを書いて以降、為替市場では、米ドル高の流れが加速しています。
【参考記事】
●ユーロ/ドルは1.0000ドルへ向けて下落!ドル/円膠着の背景にある政治的変化とは?(3月5日、今井雅人)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
そのきっかけとなったのは、先週末(3月6日)に発表された米国の雇用統計2月分でした。
失業率は、市場予想5.6%に対して、5.5%。非農業部門就業者数は、前月比23.5万人の増加という市場予想に対して、29.5万人の増加と、いずれも予想値を上回る強い結果でした。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
最近注目が集まっている平均時給は、前月比0.1%と、市場予想の0.2%を下回ってはいましたが、着実にプラスを続けているということで、材料視されることはありませんでした。
■ECB国債購入開始。大がかりなユーロの毀損が始まった…
特に激しい動きを見せているのは、ユーロ/米ドルです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
当コラムでは、継続的にユーロ/米ドルの下落予想をしてきたので、予想どおりの動きをしているということです。
【参考記事】
●FOMC議事録公表で6月利上げ説に暗雲。猫の目みたいなユーロも最終的には下落(2月19日、今井雅人)
●原油の一方的な下落傾向に変化あり。ドル/円もユーロ/ドルも最後はドル高に!(2月5日、今井雅人)
●スイス中銀決断の背景にECBの緩和策。ドル/円下落局面終了。ユーロ売り継続!(1月22日、今井雅人)
●2015年の最有望戦略はユーロ/ドル売り!パリティ(1ユーロ=1ドル)まで下落もあり!(1月8日、今井雅人)
今週3月9日(月)より、いよいよECB(欧州中央銀行)の量的緩和政策として、国債の購入が開始されました。
購入対象の国債では、ドイツをはじめ、フランス、オランダ、フィンランド、ベルギー、スロバキアなどが揃ってネガティブ金利となっているわけで、いよいよ大がかりなユーロの毀損が始まったことになります。
■ユーロ圏の投資家もユーロ圏外に資金をシフト…
ユーロ圏の国債利回りは、軒並み最低を記録。
3月11日(水)の欧州市場では、独10年債利回りが、なんと0.192%まで急激な低下に見舞われました。

(出所:CQG)
こうした動きを受けて、ユーロ圏内の投資家ですら、ユーロ圏内での投資を回避して、ユーロ圏外に資金をシフトする動きが出てきています。これがユーロの下落を加速させているようです。
■ユーロ/米ドルは0.8ドル台も視野に入ってくる形か
また、こうした動きは、チャートからも確認できます。
ユーロが発足した1999年からの長期のチャートを見ると、2009年からレンジ相場に入っていたユーロ/米ドルでありましたが、2015年に入って、2010年6月の直近安値1.1876ドルを下抜けし、さらには2005年11月の安値である1.1640ドルを突き抜けた後は、チャートポイントらしきものがなくなってしまいました。

(出所:米国FXCM なお、ユーロが発足した1999年より前のチャートはECU(欧州通貨単位)を代わりに使ったチャートになっている模様(ザイFX!編集部))
チャートだけを見れば、0.8ドル台までも視野に入ってくるような形となっています。
■調整局面はあっても、ユーロはまだ下落するだろう
ユーロを取り巻く環境が非常に厳しいということは、以前から指摘しているので、ここではあまり詳しくは語りませんが、最大の問題点は、ユーロ圏がディスインフレ(※)ではなく、明らかにデフレ状態に陥っていることです。
(※編集部注:「ディスインフレ」とは、ディスインフレーションの略で、インフレが収束し、物価上昇率が低下している状況を指す)
最近の消費者物価指数も、マイナスが続いている状態であるため、ECBは量的緩和の手綱を緩めることができません。
さらには、政治的な環境も厳しい状態が続いています。ギリシャの問題とウクライナの混乱が、ユーロへの信頼を低下させているということです。
ここまでも下落のスピードがあまりにも激しいので、調整局面もあるとは思いますが、まだまだユーロは下がっていくのではないでしょうか?
■米ドル/円は、2007年6月の高値124.14円を目指す動きに
一方の米ドル/円ですが、こちらも120円を越えて121円台になってきていますが、米ドル上昇のスピードは、対ユーロに比べれば遥かに鈍いです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
その結果、ユーロ/円は大きく下落する結果となっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
米ドル/円の上昇スピードが遅いのは、前回のコラムで指摘したような政治的背景があるからだと考えています。
【参考記事】
●ユーロ/ドルは1.0000ドルへ向けて下落!ドル/円膠着の背景にある政治的変化とは?(3月5日、今井雅人)
ただ、政治的なことだけで、市場を止めることはできません。米ドル/円も、2007年6月22日の高値124.14円を、まずは目指す動きとなってくると考えています。
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