■米ドル/円の足踏みが目立つ
米ドル高が続く中、米ドル/円の足踏みが目立ってきた。ドルインデックスは一時、100.17まで上昇、4月高値を再度ブレイクしたが、米ドル/円は先週(11月16日~)、高値123.75円を突破できず、やや軟調に推移している。
(出所:CQG)
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このような「背離」は、ユーロ/円をみれば一目瞭然であろう。ユーロ/円は一時130円の節目割れを果たし、ベア(下落)トレンドを加速しているように見え、必然的に米ドル/円にも円高圧力を与えている。
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たびたび指摘してきたように、米ドル高の受け皿として、主にユーロがその役割を果たしているならば、対米ドルのみでなく、対円でも結局、ユーロ安が進行しやすい。よって結果的に、円の買戻しが促進されたからだ。
来週、12月3日(木)にECB(欧州中央銀行)の重要決定を控え、ウォール街はさらにECBの利下げ余地拡大を予想している。ドラギECB総裁がどのような政策を打ち出すか、市場関係者が固唾をのんで見守っている中、ユーロ売りポジションの買戻し(利益確定)はあっても、ユーロロングまでには動けないだろう。
したがって、ユーロ/円も130円の節目割れをもってベアトレンドの底打ちとみるのではなく、むしろ本格的なベアトレンドはこれからだと認識しておいた無難だろう。
■円売りより、ユーロ売りの方が安心感がある
ファンダメンタルズにおいても、円よりユーロのほうが売られやすいかと思われる。何しろ、QE(量的緩和策)拡大やマイナス金利のさらなる拡大の可能性がもっとも確実視されるのがECBだからだ。対照的に日銀のスタンスは比較的曖昧になってきた。
政策の確実性、また、政策の中身に照らして考えると、円売りより、ユーロ売りの方が安心感がある。
ちなみに、日本はマイナス金利を導入できないだろう。こういった政策は、日本では「政治判断」の範疇になるから、いくら強気の黒田日銀総裁といえども、タブーには触れないと思う。この意味では、通貨戦争にたとえるなら、BOJ(日本銀行)はECBに勝てない。
さらに、パリのテロ以降、ユーロはリスク回避先からリスク資産そのものと見なされるようになり、伝統的にリスク回避先としてみられている円の地位はさらに高まったとみる。
究極のリスク回避先として米ドルの価値と地位には及ばないものの、IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)に採用される通貨のうち、有事の時、円が米ドルに続き、2番目の地位を有するだろう。
■中国人民元がSDRに採用されると他通貨への影響は?
来週月曜日(11月30日)、中国人民元がSDRに採用されるかどうかについてIMFが決定する。中国の悲願が来週達成される公算は大きいが、従来の想定より、中国人民元のシェアが小さくなるといった見通しも多い。
ただし、新米の中国人民元がSDRに参加してくると、必然的にほかの通貨の比率を下げなければならない。また、IMFの決定に関わらず、市場は自らが調整に動くだろう。
最も弱い通貨が売られ、もっとも強い通貨が買われるのが市場の常だから、中国人民元のSDR入りがもたらす衝撃は、間違いなくユーロへのものが一番大きいだろう。場合によっては、長期に渡るユーロの地盤沈下につながっていく可能性も否定できない。
もっとも、中国人民元のSDR入り自体は…
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