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大統領の愛人問題も関係!? 南アランドが
1000pips暴落!取引所のレート消失事件も

2015年12月21日(月)12:41公開 (2015年12月21日(月)12:41更新)
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■学資保険代わりに積み立てていた南アランドが……!

 「学資保険代わりにと思って南アフリカランド(南アランド)を積み立てていたのだが、子どもの入学費用はどうすれば……」

「8月のチャイナショックでの急落はどうにか耐えたが、さすがに今回は耐え切れず損切りしました……」

 そんな悲鳴が上がっている。原因は南アフリカランドの急落だ。始まりは2015年12月9日(水)。8.500円を割り込んだ南アフリカランド/円は、3日間で一気に7.500円まで急落したのだ。

 南アフリカランドはケタがひとつ違うからわかりにくいが米ドル/円なら3日間で85円から75円に急落したようなもの。その衝撃の大きさがうかがい知れよう。 

南アフリカランド/円 日足
南アフリカランド/円 日足
 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:南アフリカランド/円 日足

■大統領の愛人問題も!? 財務相交代をめぐるドタバタ喜劇

 南アフリカランドと並ぶ、高金利通貨2トップの一角、トルコリラ/円もこの時期下落したものの、せいぜい2円程度。南アフリカランドの急落はケタが違った。何が南アフリカランドの急落を誘ったのか。

 「直接のきっかけは財務相交代をめぐる喜劇的なドタバタ。12月9日(水)にズマ大統領はネネ財務相の更迭を発表しました」

 そう解説してくれたのは、バークレイズ銀行などで活躍した元為替ディーラーで、ザイFX!の「FXほっとLINEで作戦会議」でおなじみの松崎美子さんだ。

【参考コンテンツ】
FXほっとLINEで作戦会議

 緊縮財政を進めたいネネ財務相と、2016年に大統領選を控え、公共投資を拡大したいズマ大統領の対立が南アフリカランド急落のきっかけだった。

 と、表向きは政策方針の相違がネネ財務相更迭の理由のようにもみえるが、それがあまりにも突然の出来事だったために浮上したのが、大統領の愛人問題説

 財政難により政府からの救済支援も受けている国営・南アフリカ航空、その会長である女性とネネ財務相が対立し、ズマ大統領は自分の愛人であるこの女性会長のためにネネ財務相をクビにしたという報道が盛んになされていた。

 ズマ大統領はこの報道を全面否定する異例の声明まで出したものの、真相はいかに。愛人問題が相場の大波乱に発展したのだとしたら、もはや喜劇ではなく、悲劇と言えるかも…。

 「12月4日(金)には、フィッチ・レーティングスが南アフリカの格付けをジャンク債寸前の『BBBマイナス』へ引き下げています。それもあり、緊縮財政派だったネネ財務相の更迭は財政の悪化、格付け低下へつながるのでは…と嫌気されたようです」(松崎さん)

 「ジャンク債になっちゃうかも」と懸念が高まっていたところに、財政を立て直そうとしていた財務相の更迭、これだけでも火に油を注ぐようなものだが、さらに悪材料が。

■著名ヘッジファンドの破綻も不安を誘った

 「約1兆円を運用していた著名ヘッジファンド『サードアベニュー』の破綻も問題でした。ジャンク債での運用を中心としていたサードアベニューの破綻で、低格付け債への不安が高まったことも、南アフリカランド暴落の一因となったようです」(松崎さん)

 ここまではファンダメンタルズの話。さらにテクニカル面の事情も重なった。下図は南アフリカランド/円の長期チャートだ。 

南アフリカランド/円 月足
南アフリカランド/円 月足

(出所:ヒロセ通商

 南アフリカランド/円は2008年10月、リーマン・ショックで7.563円の安値をつけたが、その後は8.500円のサポートラインを大きく割り込むことはなかった。今年8月のチャイナショックでも8.647円で反発、8.500円ラインは守られていた。

 このラインを損切りの目安にしていた投資家は安堵の息を漏らしたろうが、12月に入ると、ファンダメンタルズの悪化で防波堤の8.500円はついに決壊。一気に1000pipsの下落を誘った。

■南アフリカランド/円は95%が買いと大きく偏っていた

 「日本人は高金利好き。南アフリカランド/円では買いポジションの偏りも大きかったのでしょう。世界的にはドマイナーな通貨ペアですから、日本人が一斉に南アフリカランドを売るだけで影響は甚大だと思われます」(松崎さん)

 南アフリカランドの政策金利は以下のチャートのとおり、一時期よりはだいぶ下がったものの、今も6.25%はあり(2015年12月現在)、超低金利の主要国が多い中、その金利はまだまだ高い。

南アフリカ政策金利の推移
南アフリカ政策金利の推移

 そして、くりっく365の売買比率を見ると、圧倒的に買い優勢だったのは一目瞭然。ポジションの95%が買いだ。 

南アフリカランド/円(くりっく365)の売買比率
南アフリカランドの売買比率

(出所:「くりっく365」のデータよりザイFX!編集部が作成)

 買いに大きく偏ったポジション、長期的に守られていたサポートラインの決壊――その結果、売りが売りを呼ぶ展開となったことは容易に想像できる。 

南アフリカランド/円の取引数量
南アフリカランド/円の取引数量

(出所:「くりっく365」のデータよりザイFX!編集部が作成)

■「くりっく365」で起きたレート消失事件

 そのためか、くりっく365では「レート消失事件」が発生した。下記がくりっく365のウェブサイトに掲載されたお知らせだ。

「くりっく365の12月9日取引日において、世界的な株安・商品相場安の中、為替相場が急変し、南アフリカランド・円取引において一時的ではありますが、市場レートが非提示となる状況が発生しました」

くりっく365では南アフリカランドが暴落していた12月9日(水)の深夜、南アフリカランド/円の為替レートが見えない状態が発生していたようだ。

 原因は2つ。ひとつは上述したように損切り注文の激増。そして、もうひとつが「値幅制限超え」だ。「値幅制限超え」については解説が必要だろう。

くりっく365では銀行や証券会社などの「マーケットメイカー」6社が提示するレートからベストなレートが取引可能なレートとして掲示されている。くりっく365は公式にうたっていないようだが、これはいわゆる一種の「NDD」(ノンディーリングデスク)方式だろう。

【NDD方式に関する参考記事】
【徹底解剖】2014年大注目のNDD(1) NDDでマイナススプレッドが出る原理

 これが裏目に出てしまったのが、当サイトでも過去に何度か記事にしている2009年10月の南アフリカランド暴落事件。

【参考記事】
大事件か!??先週末に短時間で大暴落したくりっく365の南アフリカランド/円
くりっく365が投資家への救済措置を発表。南アフリカランド/円暴落事件の真相とは?

 端的に言えば、他のFX会社より3円も下のレートが掲示され、多くの投資家が損失を被った事件だ。

■「値幅制限」の措置が裏目に

 この反省があってか、くりっく365では現在、「一定幅を超える『安い買レート及び高い売レート』並びに『高い買レート及び安い売レート』の受け付けをシステム的に制限する措置」を取っている。異常レートの掲示を防止するよう、価格変動に「値幅制限」を設けてシステム的に処理しているわけだ。

 ただ、今回の急落局面では、値幅制限を超えるような値動きが発生して、レートが消失する事態になったと推定される。

 実は同様のレート消失事件は…

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