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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

猫も杓子もソロス!ソロス!李万ショックは
まだなのに市場がパニックした理由とは?

2016年01月22日(金)18:48公開 (2016年01月22日(金)18:48更新)
陳満咲杜

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■ネコも杓子もソロス! ソロス!で目先の危機は回避!?

 香港株の代表指数はハンセン指数であるが、同指数のPBR(株価純資産倍率)は1倍を割り込み、これは1998年以来の出来事となった。

ハンセン指数 日足
ハンセン指数 日足

(出所:CQG)

 中国の成長減速と資本流出の影響で、香港株が売られてきたこと自体に何も違和感はないが、この段階における安値打診、果たしてスピード違反にならないか? といった懸念もある。

 というのは、前回ハンセン指数のPBR(株価純資産倍率)1倍割れが起こったのはリーマンショック後のことだったからだ。現時点ではいわゆる「李万ショック」は、まだ市場に起こっておらず、マーケットが先に「パニクってる」とも言える。

 言い換えれば、マーケットが学習して、2008年危機の到来を想定しているからこそ、短期間でのオーバーシュートが起こったのだと思う。

 実際、ジョージ・ソロス氏を始め、ウォール街の大物たちは、2008年危機の再来を揃って指摘し、中国経済のハードランディングやFRB(米連邦準備制度理事会)のゼロ金利逆戻りを予想。

 さらに過激な見方として、「米QE4も想定しなければならない」と公言する著名ヘッジファンド幹部も出現した。

 ウォール街大物の言論は、基本はポジショントークと割り切る必要があるが、マスコミが彼らの言論を大きく取り上げ、短期スパンにおける相場の行き過ぎに加担したとも思われる。

 換言すれば、ネコも杓子もソロス、ソロスと言い出したら、目先の危機はいったん回避される公算が高いということである。

■チャイナリスク以外にも、中銀リスクに要注意!

 ところで、最近の為替市場の変動率には、いわゆる中国リスクのみではなく、中央銀行のリスクが大きく反映している。

 もっとも典型的な例は、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])であろう。

 同行総裁の発言を読み解くと、英国は米利上げに追随せず、利上げから遠のいたことになる。これが英ポンドのさらなる暴落を誘った。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足

 同じように、1月21日(木)のECB(欧州中央銀行)総裁の発言では、次回の量的緩和策が強く示唆され、ユーロの下落がもたらされた。

 また、この前はBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が意外にも利下げせず、加ドルの反騰をもたらしている。

米ドル/加ドル 4時間足
米ドル/加ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/加ドル 4時間足

 もっとも注目されるFRB、その内部でも利上げを継続すべきではないという論調が浮上しているとささやかれており、2016年、チャイナリスク以外で考えると、もっとも警戒すべきなのは中銀リスクであろう。

 そう言えば、念仏のように「躊躇なく行動」と言っている某総裁の行動からも目を逸らせない。

 最後に、リスクオフの一服があっても、それは基本は間違った判断をしていた方に、相場の女神が差し伸べた救いの手と考えるべきだと思う。

 これをいくら強調してもやり過ぎではない、ということを強調しておきたい。市況は如何に。

(15:00執筆)

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