■米雇用統計への反応は股裂き状態
先週、8月5日(金)の米雇用統計は予想以上に強い数字になりました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
ところが、米利上げを織り込んだのか、金価格は下がったのですが、米国株は上昇。
米雇用統計に対する反応が市場によって異なる「股裂き状態」になっています。
(出所:CQG)
(出所:CQG)
米ドルと逆相関の関係にある金は利上げ期待で売られたのでしょうし、一方で米国株は「利上げを織り込むほどではなく、米景気の強さを確認できた」ということで上昇したのでしょうか。
12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ織り込み度は上昇したとはいえ、まだ47%。相場観をガラッと変えるほどではない。
日本株は今週(8月8日~)は上昇して始まりましたね。
週末のNYダウが強かったというのもあるでしょうし、やっぱり、日銀のETF買い入れ6兆円は大きい。
【参考記事】
●日銀会合後から米ドル安の流れが鮮明に。利下げ見込む、豪・英中銀の発表に注目!(8月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
トヨタ自動車やファーストリテイリングといった大型株のチャートもいい形になってきました。
(出所:株マップ.com)
(出所:株マップ.com)
■2月SQショックの再来に要注意!
日銀が年6兆円もETFを買うのなら日本株は底堅いんでしょうね。
ただ、今週、8月12日(金)はSQ(※)。しかも前日(11日)は山の日で祝日です。
これは日経平均と米ドル/円が急落した今年(2016年)2月のSQショックと同じパターン。乱高下に警戒したいですね。
(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている。株価指数先物とオプション取引のSQが重なる日は「メジャーSQ」と呼ばれる)
【参考記事】
●行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー完成のドル/円は105円台へ下落の公算(2月12日、西原宏一)
●日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?(2月18日、西原宏一)
(出所:株マップ.com)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日本株は例年、8月、9月はパフォーマンスが悪い。この時期の高値追いは功を奏するでしょうか? 日経平均は底堅くても、米ドル/円の上値は重いですね。
日銀が9月に行なうとした「総括」についても、追加緩和どころか、「テーパリング(金融緩和の縮小)に向かうんじゃないか…」とみる向きも多いようです。
テーパリングなんてしたら、株も為替も大変なことになる。
黒田総裁の言葉どおり、「かつてない政策をとんでもない規模で行なっているので、今までの成果を総括しましょう」ということなのに市場が邪推するので、日銀内部では困惑している、とのウワサも聞こえてきます。
やっぱり、素直に金融緩和を継続する方向だと考えていいんでしょうね。
■アベノミクス相場の半値をブレイクできず、上値を追うか
日本株は底堅いし、米ドル/円もアベノミクス相場の半値戻しである100.50円を何度トライしてもブレイクできない。
オプションのボラティリティが急騰していた7月の日銀会合を通過しても、なお100.50円水準をブレイクできないということは底固めしつつあるのかなと思います。
【参考記事】
●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)
●ドル/円のボラティリティがリーマン以来の高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意(7月28日、西原宏一)
米ドル/円は、当面はレンジをこなしながら上に行く機会をうかがうんでしょうか?
9月にもしも日銀が追加緩和を打ち出せば上にドンと行く可能性もありそう。
今週(8月8日~)、もし、SQなどがきっかけとなって100円を割る場面があれば拾ってもよさそうですね。
今週(8月8日~)は上値を追っていく展開を想定したいですが、一方で米国債利回りが上がってこないこともあり重い。
(出所:CQG)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
トヨタ自動車も想定為替レートを8月に入り102円に落としてきました。米ドル/円が上昇するためには何か材料が欲しいですね。
今週(8月8日~)は1ドル=100円から105円程度の保ち合いでしょうかね。
米ドル/円が100円より上でウロウロしている限り、日経平均は強い。
(出所:株マップ.com)
政府・日銀にとっては今後、為替をどう持ち上げるかが重要になってきそうです。
しばらくはレンジかもしれませんが、米ドル/円が上値を追いかける展開に期待したいですね。
■NZドルは11日に利下げも織り込み済み
原油価格も先週(8月1日~)は一時、40ドルを割り込んでいますし、ガソリンの需要が思ったほど伸びていないため、戻り売りに押されそう。
そうなると、リスクオンという感じでもないですよね。
(出所:CQG)
ところが鉄鉱石は足元で75ドルと非常に強い。豪ドル/円を買ってもいいかなと思いますが、先日まで50ドル割れだったので上がり過ぎの印象もある。
鉄鉱石市場は中国マネーによる投機的な動きとなっているようです。バブル的な相場になっているので、はじけたときは怖い。
今週(8月8日~)のイベントとしては、11日(木)にRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])から政策金利が発表されます。
0.25%の利下げを100%織り込んでいるだけに、NZドルは発表後の「バイ・ザ・ファクト」(買い戻し)に警戒。
NZ政策金利は8月11日(木)日本時間午前6時の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 4時間足)
先週、8月4日(木)のMPC(英金融政策委員会)でも利下げを100%織り込みながら、資産買い入れなどの政策を発表し、英ポンドが下落しましたから、必ずしも買い戻されるとは限りませんが…。
【参考記事】
●日銀会合後から米ドル安の流れが鮮明に。利下げ見込む、豪・英中銀の発表に注目!(8月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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