■本邦輸出企業が想定社内レートを再び引き下げ
これに加えて、米ドル/円の上値を重くしている要因のひとつが、本邦製造業が米ドル/円の社内レートを102円台に引き下げたという報道です。
トヨタが早くも下方修正、「4割減益」の意味
トヨタ自動車は8月4日、2017年3月期の営業利益が1兆6000億円(前年比43.9%減)になりそうだと発表した。期初予想に比べても1000億円の下方修正となる。
主因は今期の想定為替レートを従来よりも円高に見直したことによる。年間ベースでは、1ドル=105円から102円へ、1ユーロ=120円から113円とし、これだけで1850億円の減額要因となる。前年実績との比較では、為替変動だけで実に1兆1200億円分の利益を押し下げることになる。
ただ、今回の下方修正を過度に悲観する必要はない。その理由の第1は、為替で1850億円の減額になるにもかかわらず、営業利益の下方修正幅は1000億円にとどまっていることだ。
出所:東洋経済オンライン
過去のコラムで、本邦企業の米ドル/円の想定社内レートが105~110円に下方修正されていることをご紹介させていただきましたが、今回、トヨタはいきなり102円に社内レートを修正。ユーロ/円は113円。
【参考記事】
●鉄鉱石急落で豪ドル下落! 市場はいつリスクオフに変貌しても不思議ではない!(5月26日、西原宏一)
これは、我が国を代表する輸出企業の財務部門が、米ドル/円の戻りは極めて限定的であると判断していると言えます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
北米比率の高いスバルも米ドル/円が1円違うと、100億円の収益変動となりますが、こちらはいまのところ変更なし。
アベノミクス以前の円高相場は、前述のように本邦輸出企業が想定社内レートを円高方向に修正することが、米ドル/円の上値を限定的にし、さらなる円高相場を引き起こすという展開だったのですが、今回もトヨタが想定社内レートを引き下げたことで、米ドル/円の上値は徐々に限定的に。
■ドル/円はアベノミクス相場の61.8%戻し、95円が次のメド
米ドル/円のサポートは、前述のようにアベノミクス相場の50%戻しである100.60円。ここを日足ベースで割り込んでくると、次の米ドル/円のメドは95円(アベノミクス相場の61.8%戻しは94.64円)。
【参考記事】
●英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!?(6月30日、西原宏一)
(出所:CQG)
注目された7月の日銀金融政策決定会合は米ドル/円のゲームチェンジャーとはなりえず。加えて、米ドル/円の想定社内レートを102円台に下方修正する輸出企業も登場。
戻しが徐々に限定的となってきた米ドル/円の行方に注目です。
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