■世界一の対外純資産が1ドル=200円を阻む
「しかし、いくらゴジラとはいえ、200円台はさすがにない。なぜなら日本の対外純資産は圧倒的な世界トップ。
破綻のリスクが高まるとはいえ、海外にある300兆円以上の純資産が不安をある程度緩和するでしょう。そのため、ロシアや韓国、アルゼンチンよりは穏やかな下落となるでしょう。
おそらくはアジア通貨危機での韓国ウォン急落よりも少しマイルドな程度、4割程度の減価で済むのではないでしょうか。1ドル=167円です」

200円シナリオよりは現実的だが、それにしても167円とは想像しにくい水準。
アベノミクス円安の高値は125.85円だから、そこからさらに40円以上の円安が進むことになる。「月足のボリンジャーバンドでプラス7シグマが位置するのが167円前後」といえば、どれだけ突き抜けた水準か伝わるだろうか?

(出所:ヒロセ通商)
■日経平均はゴジラショックでも1万円割れを回避!?
「株価についても同様です。東日本大震災で日経平均は約20%下落しました。
ロシア、アルゼンチン、韓国それぞれの株価指数は経済危機でざっくり5割から6割ほど下落しました。
不確実性という意味でゴジラは震災以上ですから、20%以上の下落は避けられないでしょうが、ロシアなどの経済危機ほど落ちるとも思えない。
そこから考えると日本株は『20%以上40%未満』の下落率となるのではないでしょうか」

上野さんは、ゴジラ上陸で日本株は「20%以上40%未満」の下落率になるとの見方だ
1万7000円を起点とすると20%の下落で1万3600円、40%の下落で1万200円。もしもゴジラが上陸してきたら、このあたりを目安にリバウンドを狙っていくのがいいのかもしれない。
■東証破壊でも証券取引は24時間以内に再開へ
……ん? でもゴジラに蹂躙された都心3区には大手証券会社のほか、東京証券所のある兜町も含まれている。証券取引は通常どおり、行われるのだろうか。
「日本銀行や証券会社、取引所などは自家発電装置や遠隔地などでのバックアップ態勢を整えており、都心南部直下地震などで被災しても24時間以内の証券売買復旧をめざすとしています」
たしかに政府作成の資料を見ると、そうした記述がある。
東京証券取引所では、データセンターや外部機関の被災等によって売買を一時停止することも想定されるが、可能な限り早期に売買を再開する。(バックアップセンターへ切替えた場合は、24時間以内の再開を目標とするが、当日中の売買再開は行わないことが見込まれる。)
出所:「首都直下地震の被害想定と対策について」(中央防災会議/首都直下地震対策検討ワーキンググループ)より引用
■日本売りの「ゴジラトレード」が始まる!?
この記述がゴジラにも当てはまるのであれば、東証の破壊から数日のうちには、取引が再開されるはず。しかし、そこでゴジラの次に襲来するのがヘッジファンドだ。
「イギリスがERM(欧州為替相場メカニズム)からの離脱を迫られたポンド危機、あるいはアジア通貨危機でも、ヘッジファンド勢は弱ったところを狙って狩り場としてきました。
ゴジラ襲来でパニックに陥った日本でも同じことが考えられます。彼らが仕掛けてくるとしたら日本売り、つまり、日本株売り・円売り・日本国債売りの『ゴジラトレード』でしょう」
【参考記事】
●ポンド危機:中央銀行がヘッジファンドに敗れポンドが暴落した「ブラックウェンズデー」

そうなれば政府・日銀だって黙っていないだろうし、東日本大震災による円高に対して協調介入が行なわれたようにG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)も動くかも。
「そこで政府・日銀が取りうる政策としては、為替を主軸に見れば、メキシコ中銀が年初に行ったような通貨防衛策としての利上げが考えられます。
金融緩和どころか、引き締めに転じるわけです」
急激な円安の進展は輸入品の暴騰をもたらす。2%インフレ…
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