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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

今週は日銀会合とFOMCの結果がすべて。
リークが多い日銀会合は3点セットに注目

2016年09月20日(火)11:49公開 (2016年09月20日(火)11:49更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■今週は21日がすべて!

今週(9月19日~)は21日(水)しかありませんよね。お昼に日銀会合、深夜3時にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されます。

21日(水)がすべてとしか言いようがありませんね。


日銀からいくと、コンセンサスは「マイナス金利の深掘り(マイナス幅の拡大)・イールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)(※)・物価目標『2年2%』の無期限化」の3点セット。

(※編集部注:償還期限が異なる複数の債券の利回りの変化をグラフにしたものが「イールドカーブ」で、利回り曲線と呼ばれる。「フラット」は長短金利差が縮小している状況で、拡大している状況が「スティープ」)

【参考記事】
FOMC発表後の米国株の動向に要注意! 米ドル/円は75日線の壁を破れるかに注目(9月15日、西原宏一)

日銀が市場との「対話路線」に舵を切ったのか、今回は事前のリークが多いですね。

【参考記事】
FOMCと日銀会合のイベント待ち相場へ。米9月利上げの可能性は? 日銀はどう動く(9月13日、西原宏一&大橋ひろこ


■外債購入などのカードは温存か

そのため3点セットは織り込まれつつあり、サプライズがなければ直後の反応は円高・株安が濃厚。対話路線で事前にリークしたことが得策となっているようには思えませんね。


サプライズとして考えられるのは、内閣官房参与の浜田宏一さんが提言しているような日銀による外債の購入。将来的にはあるのかもしれませんが、今回はどうでしょうね。

黒田さんとしても、ここでカードを出し切るわけにはいかないですもんね。


11月の米大統領選や12月の米利上げを待ってからカードを切っても遅くない。そうなると、今回の日銀はサプライズがないのかも。

日銀がリークどおりで新鮮味がなければ、銀行株が売られて日経平均も下がるのでしょうが、最近は株が落ちても米ドル/円が下がりにくい。やりづらいかもしれませんね。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:株マップ.com

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

■米大統領選から50日以内の政策変更は08年だけ

FOMCですが、もともと9月利上げの可能性は薄かった。


それが8月末のジャクソンホールで、FRB(米連邦準備制度理事会)のフィッシャー副議長が「上げる」といって、注目度が高まりました。


しかし、ブレイナード理事が否定、米雇用統計などの経済指標も弱かったため、OIS(翌日物金利スワップ)市場の織り込み度は20%しかなく、9月利上げは見送りがコンセンサスに。

米非農業部門雇用者数の推移

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移

もしも利上げすれば、市場は驚いて米国株は落ちる。

 

米ドル/円も日米金利差拡大から一時的には上がるのでしょうが、やがて株安への反応が勝って落ちる、といったイメージでしょうか。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:CQG)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:CQG)

1990年以降、米大統領選から50日以内に金融政策の変更があったのはリーマンショックの起きた2008年だけだそうです。


米大統領選は11月8日(火)なので、過去のデータからいくと9月21日(水)の利上げはない、ということになるんですよね。

もしも利上げすれば、しばらくは市場の混乱が続くかもしれません。しかし、そこから急激に下がっていくような気もしない。

 

コンセンサスどおりに利上げ見送りとなっても12月への期待が高まるだけなので、結局、あまり動かないかもしれませんね。

日本にしたって米大統領選を前に大胆なことはやりづらいでしょうし、日銀は3点セットのみ・FOMCは利上げ見送りで注目度の高さのわりに動かないのかも。

■高まるキャッシュ比率、次に資金が向かう先の見極めを

原油は9月26日(月)からアルジェリアで開催される国際エネルギーフォーラム待ちですし、ゴールドもレンジ。

WTI原油先物 日足
NY原油先物 日足

(出所:CQG)

NY金先物 日足
NY金先物 日足

(出所:CQG)

結局、21日(水)次第というのはコモディティも同じです。著名投資家の間ではリスクオフを警戒している人も増えていましたが、必ずしもそうならない気がしてきましたね。


一方、ヘッジファンドではポジションを整理して、キャッシュに戻す動きが活発化しています。このキャッシュが次にどこへ向かうのか、見極める時期なのかもしれない。

今年(2016年)の動きを振りかえると、メルマガ「FXトレード戦略指令!」でしつこく繰り返していたように、最強戦略は英ポンド/円の売りでした。

【参考記事】
微妙な米雇用統計でも9月利上げは濃厚? 織り込み度低く米ドル/円に上昇余地アリ!?(9月5日、西原宏一&大橋ひろ子)

英ポンド/円はBrexit(英国のEU離脱)を挟んで、昨年(2015年)の高値からすでに63円も下げています。


米ドル/円も英ポンド/円につられるようにして下げましたが、Brexitという予想だにしない歴史的な負荷がかかっても安値は99.02円。

英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足

Brexit以上のショックはそうそうありませんから、100円を割らない限り、意外と米ドル/円は目先の底をつけたのかもしれない。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

そんなに動かない相場がもう少し続くのかもしれませんね。

戦略を立てるのは9月21日(水)の結果を待ってからでいいでしょう。


いずれにせよ、21日(水)までにポジションはきれいにしておきたい。また、今週(9月19日~)はシルバーウィークで22日(木)は秋分の日。流動性が薄くなるので要注意ですね。

  (構成/ミドルマン・高城泰)

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