■もっとも注目される日、9月21日(水)を巡る憶測
前回のコラムでは、9月21日(水)が今月、もっとも注目される日となっていることをお伝えしました。
【参考記事】
●日銀追加緩和があっても効果は短期的! 若干ドル高・円安になったら絶好の売り場(9月8日、今井雅人)
それは、FOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀金融政策決定会合が同時に開催されるからですが、今週(9月12日~)は、日米金融政策を巡って、さまざまな憶測が台頭することになりました。
■ハト派がタカ派寄り発言! もう1人のハト派は…?
FOMCの利上げを巡る議論ですが、市場では9月9日(金)のNY時間に、ローゼングレン米ボストン連銀総裁が、「穏やかな金融引き締めを正当化する妥当な根拠がある。引き締め見送りの過剰な長期化は、リスク」との見解を示したことに焦点が当てられました。
持ち回りのFOMC投票メンバーの中でも「ハト派」で知られるローゼングレン米ボストン連銀総裁の「タカ派」寄りの発言を受けて、米長期金利が急騰。
(出所:CQG)
一気に「9月利上げ」への憶測が高まったのですが、週明け9月12日(月)には「ハト派」の代表格であり、しかも、2016年の大統領選挙でクリントン政権が誕生した場合の次期財務長官候補の筆頭が、急遽、講演を開催。
そのブレイナードFRB(米連邦準備制度理事会)理事は、講演「米国経済と金融政策」のなかで、「緩和解除では慎重さを維持する必要がある。予防的な引き締めのシナリオには説得力がない」などと、これまでの持論を改めて主張することになりました。
■ハト派によるハト派な講演が急遽開催された理由
市場では、ブラックアウト(※)直前でFOMCの意向を織り込ませる目的ではないか? との憶測が台頭していたワケですが、実際の講演内容を見る限り、「急遽」開催した意味はそこではないと考えられます。
(※編集部注:「ブラックアウト」とは、FOMC直前の一定期間において、当局関係者がコメントを差し控える期間のことをいう)
9月利上げの雰囲気が作られるなかで、FOMCの都合というよりは、自己の主張をきちんとしておかなければならないというブレイナードFRB理事本人の都合による講演だった可能性が高いです。
FOMC内部がこんな状況である以上、9月利上げのハードルがさらに上げられただけで、利上げの可能性は、ほぼなくなったと思っています。
■日銀の総括検証の内容が、リークされて…
一方で、日銀金融政策決定会合については、9月13日(火)の夕方に日経新聞が「財務省が40年債の増発を正式に決定した」と報じたほか、NY時間に入ってからは、日経電子版に14日(水)朝刊一面トップの記事が掲載されました。
そこでは、「決定会合の総括検証の内容」がほぼ網羅されていました。
マイナス金利政策を軸に据え、一段の深掘りも検討されるほか、国債購入では長短の金利差拡大(イールドカーブのスティープニング)を促すことになりました。また、2%の物価目標は堅持するものの、2年という時間軸は事実上撤廃する方針であることも判明しました。
そして、マイナス金利の深掘りは、翌14日(水)に「1%から2%に拡大」する方針であることがリークされたほか、「外債購入」は対象としないことも報じられています。
さて、為替相場ですが…
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