■ISM製造業景況指数は50を超えられるか?
ドイツ銀行問題もありますが、今週(10月3日~)は経済指標に注目ですかね。
ドイツ銀行について右往左往しても、最終的にはドイツ政府やECB(欧州中央銀行)が救済するだろうと思います。もちろん油断は禁物ですが。
米経済指標ではISMと雇用統計が注目ですね。
10月3日(月)に前回、50を割り込んだISM製造業景況指数、5日(水)にはISM非製造業景況指数が発表されます。
米ISM製造業景況指数は10月3日(月)23時の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
ISM非製造業景況指数は10月5日(水)23時の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
「ISM製造業景況指数の50割れが9月利上げを見送らせた一因」との見方もありますので、2カ月連続で50を割るようだと、年内利上げさえも懐疑的となり、米ドル売り圧力が高まりそう。
予想では50.3となっていますが、果たして……。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
10月7日(金)は雇用統計ですね。前回のNFP(非農業部門雇用者数)は15.1万人。
米雇用統計は10月7日(金)21時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
強い数字ではありませんが、特別弱くもなく、これをもって「イエレンは利上げに向けて腹をくくった」と見る向きもありました。
しかし、ISM製造業景況指数が50を割ったことで結局、見送りとなりましたね。
【参考記事】
●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
今回20万人は超えないにしても、前回8月分の15.1万人は超えてほしいでしょうね。
前回の数字を下回り2カ月連続で減少すると、景気の減速感が出てきます。
■テーパリングではなく、「ヘリマネの入り口」なのか
イベントでは、10月4日(火)からワシントンでG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)、IMF(国際通貨基金)・世銀の年次総会が開かれます。
日本からは黒田さん、麻生さんが出席。最近目立つのが、黒田さんが発言すると米ドル/円が落ちる傾向。そんな場面が先週(9月26日~)もありました。
少し黒田さんをナメすぎかなと思います。日銀の政策について先週(9月26日~)、米財務長官を務めたサマーズさんが来日し、「実質的にヘリマネ(ヘリコプターマネー)」と評価していましたし…。
前FRB議長のバーナンキさんも同じくヘリマネとの共通点を指摘していましたよね。
【参考記事】
●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
市場では、長期国債の買い入れ額を減額したことだけをピックアップしてテーパリング(※)だとはやしていますが、バーナンキやサマーズだけでなく、アナリストの間でも実質的なヘリマネだとする見方が少しずつ出てきた印象です。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●日銀決定はテーパリングへの道?それともヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ(9月29日、西原宏一)
長期国債をゼロ金利に誘導するイールド・カーブコントロールは、「政府がゼロ金利で資金を調達できる環境を日銀が整えた」とみることもできます。
【参考記事】
●マイナス金利の深堀りはなく相場乱高下! 日銀は金融政策の何を変更したのか?
あとは国債の増発で財政出動を強化してくれば、いよいよヘリマネだと市場は認識してくるのかも。
財務省がどう動くかは見ものですが…。時間がかかるかもしれません。
■悪材料続出のなか、異様な底堅さを見せる米ドル/円
それから米大統領選挙のテレビ討論会もありますね。
副大統領候補による討論会が日本時間で10月5日(水)朝10時から。来週、10月10日(月)にはヒラリーとトランプによる2回目の討論会が日本時間の朝10時から始まります。
週末、ニューヨークタイムスがトランプの確定申告書の一部を入手して公開しましたが、やはり、トランプを当選させたくない勢力があるのかなと思ってしまいますね。
先週のこの対談でも話しましたが、ドイツ銀行問題やトランプリスク、日銀がテーパリングを始めたとの評価――米ドル/円は悪材料ばかりなのですが、それでもBrexit(英国のEU離脱)安値の99.02円どころか100円すら割らない。
強いなと感じますね。上がる材料はとくにないのですが、あとから材料がついてくるのかもしれない。
【参考記事】
●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■原油減産は評価されていないが、チャートは強い
原油市場では先週、増産凍結どころか減産で合意したことがサプライズとなりました。
ただ、「内容を見るとたいした減産量ではないし、実効性も疑問、OPEC(石油輸出国機構)が減産しても原油価格が上がればシェールオイルは増産するだろうから市場に大きなインパクトは与えない」というのが市場のコンセンサス。
しかしながら、原油価格は落ちていません。チャート的にも日足のレジスタンスラインを上抜けしたし、週足は逆三尊(逆ヘッド&ショルダー)のようにも見えます。
(出所:CQG)
オイルが上がってくれば、今年(2016年)の米ドル/円を引っ張っている英ポンド/円を含め、クロス円全般が上がってくるでしょうね。
【参考記事】
●Brexitの影響により1年で約67円暴落したポンド/円が反発! 米ドル/円への影響は?(9月8日、西原宏一)
ドイツ銀行が最終的に救済されて、トランプリスクも現実化せず、原油は上がる――そう想定すれば、米ドル/円は、100円くらいまで買い下がってもいいのかもしれないですね。
IMM(国際通貨先物市場)を見ると、円ロングが増加していて米ドル/円の売り手も「なんで下がらないんだ」と焦っているでしょうし。円ロングの巻き戻しが始まると意外と上がるのかも。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
詳しくはメルマガ「FXトレード戦略指令!」で解説しますが、オプションを見ると、今週(10月3日~)前半は100.50円から102.50円くらいでのレンジとなりそう。
その意味でも100円台まで落ちる場面があれば買ってよさそうですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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