■米利上げ織り込むも、セル・ザ・ファクトは時期尚早
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、3月14日(火)~15日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)に向け、米利上げ織り込み度は急上昇。
【参考記事】
●FRB要人発言で利上げの可能性高まる! それでも今、豪ドルに注目するワケとは?(3月2日、西原宏一)
3月3日(金)に行われた、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長の講演が「景気の進展が続けば、今月の利上げを支持する」といったかなりタカ派な考えを示唆したことから、3月15日(水)の米利上げは事実上織り込んだといえます。

3月3日(金)の講演でかなりタカ派な考えを示唆したイエレンFRB議長。これで、3月FOMCでの利上げは事実上織り込んだといえる (C) Bloomberg
これを受け、今週(3月6日~)初めの米ドル/円は「米利上げは織り込み済み」との流れで小緩む局面もありました。
しかし、個人的にセル・ザ・ファクトは、実際に「15日に米利上げが行われる」という事実を受けてのセル・ザ・ファクトであり、米ドル/円が反落するのは時期尚早と考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■FOMCに向けて、金は下落、米ドル/円は上昇
ほかのプロダクツに目を向けると、米利上げを引き続き織り込む形で反落しているのが金(ゴールド)。

(出所:Bloomberg)
金は米大統領選後の2016年11月9日(水)に1337ドルの高値をつけて反落しています。
そしてFOMC後の12月16日(金)に1122ドルのボトムをつけて反発。
次に、2月28日(火)に1263ドルでトップアウトして反落。
この1263ドルはフィボナッチリトレースメントの61.8%戻しである1255ドルとほぼ同値。この61.8%戻しでトレンドを切り返しています。

(出所:Bloomberg)
加えて、日足のTDシーケンシャル(※)は9-13-9を終了し、ひと相場終了の様相を呈して、反落を開始しています。
(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)
■米ドル/円は薄い雲をブレイクし上昇する公算高まる
次のチャートは米ドル/円の日足。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円も金と同様のタイミングで、11月9日(水)に101.20円の安値まで下落、そして、12月16日に118.66円の高値に到達。
そして、金は反落しましたが、米ドル/円は、2月28日(火)に111.69円の安値をつけたあと反発しています。
米ドル/円が金の動きに追随すると想定すれば、米ドル/円も日足・一目均衡表の薄い雲をブレイクして上昇する公算が高まっています。

(出所:Bloomberg)
■米ドル/円は115円のオプションが上値を阻む
米ドル/円の上昇を抑制しているのが引き続き、115.00円のオプション(前回のコラムを参照)。
【参考記事】
●FRB要人発言で利上げの可能性高まる! それでも今、豪ドルに注目するワケとは?(3月2日、西原宏一)
115.00円のオプションは日を追うごとに、行使期限を迎え影響力は低下していますが、本稿執筆時点ではまだ30億ドル程度残存しているとのウワサで上値を阻んでいます。
【参考記事】
●イベント重なる3月15日に注目! FOMCで米利上げ決定、セル・ザ・ファクトとなるか(3月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
ただ、金の続落が、米ドルを総体的に押し上げており、マーケットは再び115.00円ブレイクに向けて上昇中。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
明日、3月10日(金)には米雇用統計というイベントも控えていますが、よほどひどい数字が発表されなければ、米利上げは変わらず。
この金の続落と米ドル/円の上昇は、3月15日(水)のFOMCまで続くと想定しています。
ただ、実際に15日(水)に米利上げが決行されれば、「セル・ザ・ファクト」で金と米ドル/円はいったん調整に入ると考えています。
来週、3月14日(火)~15日(水)に開催されるFOMCでの米利上げに向けて、続落する金、呼応して上昇を続ける米ドル/円の動向に注目です。
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