■15日FOMCで利上げ、セル・ザ・ファクトへ
先週(2月27日~)は、急速に米利上げの織り込みが進みましたね。3月利上げの織り込み度は、週初には30%ぐらいだったのに、週末になると94%まで高まりました。
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
来週15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げは、ほぼ確実でしょうね。
【参考記事】
●FRB要人発言で利上げの可能性高まる! それでも今、豪ドルに注目するワケとは? (3月2日、西原宏一)
●米国追加利上げ可能性がググっと高まる! なのに、米ドルを買いきれないのはなぜ? (3月2日、今井雅人)
ただ、3日(金)の深夜、イエレンさんがダメ押しのように3月利上げを強調すると、米ドル/円は上がるどころか、反落しました。セル・ザ・ファクト的な動きと考えていいんでしょうか?
まだ、実際に利上げしたわけではありませんし、週末ということで手仕舞いしていた人もいたのでしょう。個人的にも、米ドル/円と日経平均のロングはいったん手仕舞いました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
ですが、基本15日(水)までは押し目買い目線でいいと思います。先週(2月27日~)前半には3月利上げが絶望視され、米ドル/円は111円台ミドルでした。
週後半に急転回して3円以上も上げているため、まだ買えていない人も多いでしょう。最近は下げるときだけでなく、上がるときもスピードが早いですね。
■日足の雲から脱出も115円のオプションが上値を抑えるか
3日(金)の米ドル/円の高値は115円手前。112円から115円を中心にしたレンジを抜けていないですよね。
それに、「FOMCでの利上げをきっかけに円高へ転換」という動きは2015年12月にあり、2016年12月にもあったパターン。そんなにワンパターンになりますか?
(出所:Bloomberg)
金利次第かもしれないですね。最近の米ドル/円はNYダウにはさっぱり連動せず、もっぱら金利と連動しています。米短期金利や米長期金利が上がっていくのなら、115円を抜けて117円方向に上昇するのかなと。
先週(2月27日~)には米ドル建てのゴールドがトップアウトしたように見えます。これが、今後の米ドル高を示唆しているのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
ただ、依然として米ドル/円の115円には、40億ドル以上と目されるオプションが控えているようです。115円をブレイクするのはなかなか困難でしょう。
(出所:Bloomberg)
■ドル/円は75日移動平均線を上抜けないと上がれない
私は今週(3月6日~)、さらに米ドルが上昇するシナリオには懐疑的です。日足で見た、75日移動平均線も理由のひとつ。去年前半、75日線にさんざん頭を抑えられていましたよね。
今回も、まだ米ドル/円は75日線の下。これをはっきり抜けてくれないと上がれないのかなって。
(出所:Bloomberg)
テクニカルでいえば、一目均衡表の雲が今週(3月6日~)、ポイントになるかもしれないですね。先週(2月27日~)、一時は日足の雲を下抜けしかかったのですが、どうにか持ちこたえた。
今週8日(水)以降、雲が非常に薄くなるため、反対に上抜けしてくる可能性もあります。
(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●雲の中のドル/円、上抜けは3月上旬ごろ? なぜユーロ/豪ドルの下落に今注目なのか? (2月23日、西原宏一)
■15日のオランダ総選挙では極右政党が第一党になる可能性
9日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会もありますが、オランダの総選挙が15日(水)に控えていることもあって、政策変更など大きな動きはなさそうですね。
翌10日(金)は米雇用統計です。
米雇用統計でよほど悪い数字が出ない限り、15日(水)の利上げはほぼ確実でしょう。
もしも、米ドル/円に下げる場面があれば拾いたいですが、来週(3月13日~)以降も上がるのではなく、15日(水)のFOMCはセル・ザ・ファクトとなるかもしれない。
15日(水)はFOMC以外にもイベントが重なります。まずはオランダ総選挙。極右政党の自由党が第一党となる可能性も高まっていますが、オランダでは少数政党が乱立しているため、極右の自由党が連立相手を見つけるのは難しいようです。
米国の連邦債務上限の引き上げも15日(水)が期限ですよね。
ムニューシン財務長官が臨時措置による期限延長を明言したので多分、大丈夫。
むしろ、気になるのは東芝の決算です。2月14日(火)の発表延期の際に「1カ月以内に発表する」としていますので、おそらく3月14日(火)には出てくるでしょう。さすがに、さらなるネガティブサプライズはないと信じたいですが……。
【参考記事】
●東芝1兆円損失の可能性がドル/円に波及。115円付近が当面の高値となるかも… (2月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
■3月15日前後が相場の転換点となるか
16日(木)には日銀、BOE(イングランド銀行)の金融政策発表もありますし、15日(水)前後はイベントが集中しますね。
米ドル/円のシナリオとしては、利上げを織り込んでの上昇と、15日(水)FOMCでのセル・ザ・ファクトを想定し、今週(3月6日~)は押し目買いでいきたいと思います。
15日(水)前後にリスクイベントが集中しているので今週(3月6日~)は調整、米ドル/円の上昇は、イベント通過であく抜けした15日(水)以降から、というシナリオも考えられますよね。
(出所:Bloomberg)
いずれにせよ、重要な節目となるのは15日(水)。しっかりと自分の戦略を組み立ててトレードしてください。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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