■米ドル/円をサポートする新たな通貨ペア登場
そして、今週(5月8日~)になって、英ポンド/円に加えて米ドル/円をサポートする通貨ペアが増えています。
それは、ユーロ円。
ユーロ/円はフランス大統領選挙での、ルペンリスクが高まるに連れて、緊張感が高まり、一時急落。
4月17日(月)には、114.85円の安値に到達しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
それが、4月23日(日)のフランス大統領選挙、1回目の投票結果はマーケットが一番好感する「マクロンVSルペン」という結末となり、反発開始。
【参考記事】
●仏大統領選を無事通過してリスクオン再開。米ドル/円は115円に向けて反発する公算大(4月27日、西原宏一)
そして、5月7日(日)のフランス大統領選挙の決選投票は、予想どおりマクロン候補が圧勝しました。
その結果を受けて、ユーロ/米ドルや、ユーロ/円といったユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)はセル・ザ・ファクトで急落しました。
ユーロ/米ドルやユーロ/豪ドルは、その後も上値の重い展開が続いていますが、マーケット関係者を驚かせたのが、ユーロ/円の底堅さ。
ユーロ/円は一時122.99円まで急落しますが、その後、再び124円台まで反発しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
ユーロ/米ドル自体は1.1000ドル台の明確な回復に失敗し、本稿執筆時点で1.0870ドルで推移していますので、ユーロ/円の反発は、米ドル/円の上昇が急激であることを意味します。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
コモディティが弱いため、豪ドル/米ドルも下落していますが、豪ドル/円が底堅いのも米ドル/円の上昇が急激であるため。
フランス大統領選挙を終え、リスクを嫌った投資資金がいっせいにマーケットに回帰し、日経平均も2万円近くまで反発しました。
■米ドル/円は120円へ向けて上値余地拡大
米ドル/円は114円台前半で堅調に推移しており、米ドル/円の次のレジスタンスは、115円台ミドル。
先月(4月)の米ドル/円が115円台の回復に失敗したのは、このコラムでもご紹介させていただいたとおり。
【参考記事】
●米利上げ後の米ドル安継続、米ドル/円は110円割れへ。下値模索はなぜまだ続く?(3月23日、西原宏一)
(1)3月15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)での米国の利上げはマーケットが100%織り込んでいたため、セル・ザ・ファクトでの米ドル売りが持ち込まれたこと
(2)115円台にある巨大なオプションが米ドル/円の115円台を重くしたこと
まず、米利上げに関しては、次回6月13日(火)~14日(水)に開催されるFOMCでの米利上げを現在、マーケットが織り込んでいる過程なのでこれは米ドル買い要因。
問題は115円台のオプションです。
これに関しては、マーケット関係者にヒアリングしているのですが、いまのところ、3月のような巨大なオプションのウワサは聞こえてきません。
この2点から、今回の115円の意味は心理的な要因が大きいだけであり、ブレイクする可能性が濃厚。
あとは、日経平均が2万円台にしっかり乗せてくれば、米ドル/円も115円台を回復して、次は前回高値の118円が見えてきます。
(出所:Bloomberg)
フランス大統領選挙が無事に終了し、リスク環境が好転。
英ポンド/円のみならず、ユーロ/円も底堅くなり、米ドル/円をサポート。
日経平均も2万円回復目前となり、120円へと上値余地が拡大した米ドル/円の動向に注目です。
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