有名専業FXトレーダーも注目する「ポジション比率」
今回は、外為オンラインの取引システムに搭載されているポジションの片寄りがチェックできるツール「ディールスコープ」について紹介したい。
そのときのマーケット参加者が保有しているポジションが売りと買いのどちらに片寄っているかということは為替相場の先行きに影響を与えると言われる。
今回、紹介する外為オンラインの「ディールスコープ」はちょっと特殊なものなので当てはまらないのだが、一般的に、買いポジションが積み上がりすぎれば相場は下落のリスクが高まり、反対に売りポジションが積み上がりすぎれば相場が上昇するリスクが高まっていると考えられる。
【参考記事】
●ポジション比率を公表中のFX会社はどこ? みんなの逆指値の状況がわかる会社も…
このようなポジションの片寄りを示す「ポジション比率」の情報は、ひろぴーさんや田畑昇人さんといったザイFX!でもおなじみの専業トレーダーも注目しているところだ。
【参考記事】
●『東大院生が考えたスマートフォンFX』の著者が語ったFXで勝つための2つの武器
為替のマーケットは非常に大きく、すべての参加者の「ポジション比率」が発表されているわけではないが、CFTC(全米先物取引委員会)といった公的機関や一部のFX会社などが発表しているデータはある。そして、一部の参加者が建てたポジションなどのデータからでもマーケット全体のポジションの片寄りを推し測ることはできるだろう。
そんな「ポジション比率」はさまざまなFX会社などが発表しているわけだが、一般的に通貨ペアごとの買いと売りの割合だけが掲載されていることが多い。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
(出所:外為どっとコム)
ところが、外為オンラインの「ディールスコープ」は、一般的な「ポジション比率」とは違う、ちょっと珍しいデータを提供している。
ポジションの「比率」ではなく、「量」と「人数」が公表されているのだ。
1時間足以上の時間軸であれば、外為オンラインに口座を持っていてポジションを保有しているユーザーのうち、買っている人と売っている人のそれぞれのポジションの量と人数までを詳細に把握することができるのである。
データの更新頻度は、1時間足なら1時間ごと、日足なら1日1回というように、時間軸によって異なっている。
(出所:外為オンライン)
そして、ディールスコープは、外為オンライン「外為オンラインFX」で取扱いのある24通貨ペアすべてで使うことができる。
その中には、主要通貨ペアはもちろんのこと、英ポンド/豪ドルやユーロ/豪ドルといったちょっとマイナー通貨ペアも多数入っている。
(出所:外為オンライン)
(出所:外為オンライン)
ちなみに、この「ディールスコープ」については、かなり前になるが、2011年11月に公開した記事で、こちらもザイFX!ではおなじみ、有料メルマガやコラムもスタートした、FX専業トレーダー・バカラ村さんが紹介してくれていた。
【参考記事】
●大口トレーダーの売買も丸わかり! バカラ村流「ディールスコープ」の読み方
6本のラインで構成されているディールスコープ
それでは、実際のチャートでディールスコープを見ていきたい。
以下は、米ドル/円の日足チャートで、下段が「ディールスコープ」となっている。
(出所:外為オンライン)
ここで、ディールスコープの部分だけを抜き出して拡大したものも見てみよう。
(出所:外為オンライン)
こちらの画像をご覧いただくと、線が重なっていて少し見づらいところはあるが、ディールスコープは「6本のライン」から構成されていることがわかる。
0(ゼロ)のライン(以下、ゼロライン)の上には黒と青のラインがあるが、これは、黒ラインが買っている人数、青ラインが買っている人の総ポジション数となっている。
そして、ゼロラインより下にある黒ラインは売っている人数、青ラインが売っている人の総ポジション数となる。
さらに、真ん中付近に緑ラインと赤ラインがある。緑ラインは買っている人と売っている人の人数の差、赤ラインは買っているポジション総数と売っているポジション総数の差となる。
上のチャートについていえば、緑ラインも赤ラインもゼロラインより上で推移しているので、米ドル/円は買いが多いということだ。
ディールスコープは相場とともにどう動く?
さらに、以下の画像をご覧ください。
(出所:外為オンライン)
こちらは、米ドル/円の日足チャートの下段にディールスコープを表示させたものだが、相場の動きに合わせてポジションがどのように変化したのか、チェックすることができる。
また、ラインにカーソルを合わせると、ポジションの数と人数が別ウィンドウで表示されるようにもなっている。
(出所:外為オンライン)
たとえば、上のチャートでは、6月15日(木)は買いポジションの総数が14億1万1000ドルで、買っている人の人数は1万6919人となる。反対に、売りポジションの総数は5億7858万4000ドルで、売っている人の人数は7372人となっている。
そして、以下のチャートで米ドル/円とポジションの変化を見てみると、価格が下がるにつれて買っている人は多くなり、反対に、価格が上がるにつれて買っている人が少なくなっていることがわかる。
(出所:外為オンライン)
これは、以下の【参考記事】で、バカラ村さんも検証しているのだが、最近の相場を見ても、そのとおりの動きになっている。
【参考記事】
●大口トレーダーの売買も丸わかり! バカラ村流「ディールスコープ」の読み方
ディールスコープを活用するには?
では、この外為オンラインの「ディールスコープ」、どうやってトレードに活用したらいいのだろうか……なんて考えていた記者。
とりあえず、米ドル/円の週足チャートと買いポジション数(青ライン)と売りポジション数(青ライン)、さらにポジション総数の差(赤ライン)を表示させたディールスコープを上下に並べてみた。すると、あるポイントに気づいたのだ。
はじめに、以下のチャートをご覧ください。
(出所:外為オンライン)
このチャートでは、2カ所を赤丸で囲った。これは、アベノミクス相場とトランプ相場でつけた、米ドル/円の高値だ。アベノミクス相場では、2015年6月に125.80円台、トランプ相場では2016年12月に118.60円台の高値をつけている。
それを確認いただいた上で、そのまま下段のディールスコープのチャートをご覧いただくと、それぞれ米ドル/円が高値をつけた近辺で、赤ラインがゼロラインを割り込んでいることがわかる。
先ほど紹介したように、赤ラインはポジション総数の差なので、これがゼロラインを割り込むということは、買いポジションよりも売りポジションのほうが多くなったということを意味する。
これを見ると、ゼロラインを赤ラインが割り込む(=買いポジションより売りポジションが多くなる)ということは、米ドル/円の上昇がピークを迎える警戒サインとして使えるのではないかと思えてくる。
一般的なポジション比率の考え方とは逆に考える
日本の個人FXトレーダーは円売り・外貨買いを好む人が多いと言われている。また、以下の【参考記事】でバカラ村さんも述べているように、日本の個人FXトレーダーは逆張りを好む傾向があるとも言われている。
【参考記事】
●大口トレーダーの売買も丸わかり! バカラ村流「ディールスコープ」の読み方
この2つの日本人FXトレーダーの傾向がディールスコープにも表れているようだ。
すなわち、米ドル/円では、基本的に買いポジションの方が多い期間が長く、また、相場の上昇とともに買いポジションと売りポジションの差は縮小していく。そして、ついに売りポジションの方が多いところまで行ったなら、それは米ドル/円の上昇がピークを迎える警戒サイン──ということである。
冒頭でも紹介したように、ポジション比率を相場に活かす一般的な考え方では、相場が上昇するほど買いポジションの割合が増えていき、それは将来の決済の売りが増えることを意味するから、相場反落のリスクが増すと言われている。しかし、ディールスコープで見られることはそれとは逆というわけだ。
「ゼロライン割れの警戒サイン」も万能ではない…
ただし、この「ゼロライン割れの警戒サイン」という“法則”も、万能というわけではない。
次に紹介するのは、赤ラインがゼロラインを割り込んだにもかかわらず、米ドル/円の上昇がピークとならなかったケースだ。
(出所:外為オンライン)
こちらのディールスコープの、2013年11月~12月ごろと、2014年8月~10月ごろの赤丸で囲った部分をご覧いただくと、赤ラインがゼロラインを割り込んでいるのがわかる。
しかし、そのまま上のチャートの赤丸で囲った部分を見てみると、米ドル/円はそこで目立った高値をつけて、大きく反落しているわけではないともわかる。「ゼロライン割れの警戒サイン」がうまく機能していないのである。
では、先ほど紹介した「ゼロライン割れの警戒サイン」がうまく機能したケースとの違いは何だろうか?
先ほど紹介したチャートでは、赤ラインがゼロライン割れを起こす前の期間に相場がかなり大きく上昇していた。
しかし、今回の2つのケースは、どちらも長期間のもみ合いを経て、上方向にレンジブレイクした形となっている。
一般的に、レンジブレイクした場合、その方向にトレンドが出て、それについていけばよいという考え方がある。上方向にレンジブレイクしたのなら、買いポジションをとるということだ。
しかし、今回のケースの場合、相場が上昇すると、待ってましたとばかりに利益確定の売りを出すトレーダーが多かったということがわかる。少しでも上がったら利益を確定したいという投資家心理が働いていたと思われる。
その結果、買いポジションが激減し、ディールスコープを見ると、相場が上昇し、レンジをブレイクする前後では赤ラインがゼロラインを割り込んだ形になっていたというわけだ。
結局、「ゼロライン割れの警戒サイン」は長期間のもみ合いを経て、相場が少し上昇しただけで出た場合はあまりアテにならないと考えた方がよさそうということがわかる。
バーナンキショックのときのディールスコープはどうだった?
次に、以下のチャートの赤丸で囲んだ2013年5月ごろをご覧いただきたい。
この局面では、2012年11月ごろから始まったアベノミクス相場がどこまで行くのか? いつ終わるのか? といったことに注目が集まっていた。そして、その後、当時のバーナンキFRB議長がテーパリング(※)開始の可能性に言及したことで、いわゆるバーナンキショックが起こり、米ドル/円は急落したというわけだった。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
では、バーナンキショックで米ドル/円が急落する前に、赤ラインがゼロラインを割り込む警戒サインは出ていたのだろうか?
(出所:外為オンライン)
バーナンキショックは金融市場を揺るがした、かなりインパクトのある出来事だったが、上のチャートを見るとわかるとおり、残念ながらバーナンキショックの前に赤ラインはゼロラインを割り込んでおらず、警戒サインは出ていなかった。
【参考記事】
●ザイFX!で2013年を振り返ろう!(1)【相場編:前編】アベノミクスで円安進む!
とはいえ、ゼロラインにかなり接近はしていたので、注意しておいたほうがいい水準であったことは間違いないだろう。
ここまで過去の米ドル/円相場とディールスコープの動きを比較しながら、その活用方法を検証してきた。
すべてのケースで当てはまるわけではないが、結局、ディールスコープで赤ラインがゼロラインを割り込んだ場合、あるいは赤ラインがゼロラインに近づいた場合は、米ドル/円の上昇がピークとなる可能性を頭に入れてトレードしたほうがよいといえるのではないだろうか。
「チャート(Java版)」が立ち上がらないトラブルが…
このように、使い方がわかればトレードにもうまく活用できそうな、外為オンラインの「ディールスコープ」。
ただ、記者が外為オンラインの取引ツールにログインして、ディールスコープを使おうとしたところ、少しばかりトラブルに見舞われた。それについても、少し紹介しておきたい。
そもそも「ディールスコープ」を使うには、外為オンラインの取引ツールにログインして「チャート(Java版)」を立ち上げる必要がある。
実は、この「Java」(※)が今回発生したトラブルの根源となっていて、かなりのクセ者なのだ。
(※「Java」とは、1995年にサン・マイクロシステムズ社(現オラクル社)によりリリースされたプログラミング言語およびアプリケーション開発・実行のための環境のこと)
今回、記者がGoogleのウェブブラウザ「Chrome」の最新版で外為オンラインの取引ツールにログインして、「チャート(Java版)」を立ち上げようとしたところ、画面に何も表示されないというトラブルが起きてしまったのである。
最近、ヒロセ通商の取引ツールやチャートシステムを調査していた記者は、「Java」にすっかり不信感を持っていたので、真っ先に開発元であるオラクル社の公式ウェブサイトを探ってみた。
すると、「Chrome」ではJavaが使えなくなってしまったとのことがわかった。そのかわりにマイクロソフト社のInternetExplorerの使用が推奨されていた。
それではと、今度はInternetExplorerで外為オンラインの取引ツールにログインして「チャート(Java版)」を立ち上げようとしたところ、またしてもエラーが……。
そして次々に現れるエラー表示……。
これらの画面から察するに、どうやらJavaのセキュリティ設定によって、外為オンラインの「チャート(Java版)」は立ち上がらなかったようだ。
原因はわかった。でも、エラー画面を見ても解決策がわからない…。それなりにパソコンの知識があった記者は、Javaの設定画面を操作して、「チャート(Java版)」を立ち上げることができた。
でも、エラー画面が次々に表示されてしまったら、それほどパソコンに詳しくない人だと、パニックになってしまうのではないかとも思ってしまった。
「チャート(Java版)」のトラブルシューティング
ここまで読んで、「パソコンの操作は不慣れだし…」と、ちょっと不安になってしまった人がいるかもしれないが、その点はご心配なく。
外為オンラインの公式ウェブサイトに、この「Java」に関する説明がないか探してみたところ、「よくある問い合わせ」の中に載っていた。
でもせっかくなので、ここでInternetExplorerで外為オンラインの取引ツールにログインして「チャート(Java版)」をどうやって立ち上げたのかを紹介しておこう。
今回、発生したエラーはJavaのセキュリティ設定によるものなので、「Javaコントロール・パネル」を操作することになる。
「Javaコントロール・パネル」を表示させるには、Windowsのプログラムメニューの中にある「Java」の「Javaの構成」をクリックすればOKだ。
ここで、タブから「セキュリティ」を選んで、例外サイト・リストの「サイト・リストの編集」をクリックし、そこで「http://chartap.fx-asp.com」を追加する。
そして、「OK」を押して画面を閉じれば設定は完了となる。
そのあとで、InternetExplorerを立ち上げて外為オンラインの取引ツールにログイン。
(出所:外為オンライン)
メニューから「チャート」を選んで、「チャート(Java版)」をクリックすると、すんなり立ち上がった。もちろん、これでディールスコープも使えるようになった。
今回は、外為オンラインを対象にしたが、取引ツールのバージョンアップとJavaのバージョンが一致しないと起動しなくなるといった不具合は、ほかのFX会社でも発生しているようだ。
不具合の内容によって対処方法も変わってくるが、今回と同じようなエラーが発生した際は、参考にしてほしい。
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最後に、お得なキャンペーンを紹介。
「ディールスコープ」に興味があって、外為オンラインに口座開設を検討している人に、ぜひ活用していただきたいのが、ザイFX!限定タイアップキャンペーンだ。
このキャンペーンは、2020年9月30日までのキャンペーン期間中に、ザイFX!経由で外為オンラインに口座開設し、10万円以上を初回入金、新規1万通貨以上(南アフリカランド/円の場合は10万通貨以上)の取引を達成すると条件クリアとなり、もれなく書籍『一番売れてるマネー誌ZAiが作ったFX入門 改訂版』と現金3000円をもらうことができる。
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こちらのキャンペーン期間は、終了日未定(※終了日から起算して2週間前までにホームページで告知)となっている。
今回は、外為オンラインの「ディールスコープ」を中心に紹介してきた。「ポジション比率」を提供しているFX会社はいくつかあるが、ポジション総数や人数までわかるというのはかなり珍しい。
外為オンラインに口座を持っていれば誰でも使うことができるので、今後のトレードの参考にしてみてはどうだろう。
また、外為オンラインに口座を持っていないという人は、お得にキャッシュバックを受けられる、ザイFX!限定タイアップキャンペーンを活用するのをお忘れなく!
(※各種キャンペーンの詳しい条件、期間などについては、外為オンラインのウェブサイトなどで必ずご確認ください。キャンペーン条件が変更されたり、キャンペーン期間が延長されたり、キャンペーンが終了したりすることなどがあります)
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(ザイFX!編集部・庄司正高&井口稔)
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