■米ドル/円は6カ月サイクルでトレンド転換、今後は…
では、このFOMCをきっかけとした米ドル高が継続するかどうかを、テクニカル分析で検証してみます。
過去1年間の米ドル/円の流れが転換したポイントを日柄で考察してみましょう。
米ドル/円が99.02円の安値に到達したのが、昨年(2016年)のBrexit(英国のEU離脱)時の6月24日(金)。
【参考記事】
●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(2016年6月24日、西原宏一)
その後、FOMCの利上げを織り込む形で米ドル/円が118.66円に到達したのが、昨年(2016年)12月15日(木)。
ちょうど1年前になる昨年(2016年)の6月24日(金)に安値をつけ、6カ月後の12月15日(木)に高値に到達していることになります。
そして今回、FOMCが利上げとバランスシートの縮小を発表したのが6月14日(水)。
その直前に108.83円の安値に到達した米ドル/円はその後、急反発しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
この6月14日(水)というのは、前回の高値である118.66円に到達したのが昨年(2016年)12月15日(木)から、ほぼ6カ月経過していることになります。
【参考記事】
●半年サイクルなら、6月のドル/円は安値に到達!? そのカギは「FANG」銘柄が握る?(6月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
つまり、このところの米ドル/円は6カ月サイクルでトレンドを切り返しているということになります。
■米ドル/円は過去6カ月、FOMCをきっかけにトレンド転換
ここでもうひとつのポイントとなるのが、過去6カ月の米ドル/円はFOMCをきっかけに、マーケットがトレンドを切り返していること。
前述のように、昨年(2016年)12月15日(木)から米ドル/円が反落したのは、FOMCでの利上げがきっかけでした。
今年(2017年)の3月15日(木)前後に米ドル/円が115.51円の高値から反落したのもFOMCでの利上げがきっかけ。
今回のFOMCでも予想どおりの利上げが発表されたのですが、FOMCがバランスシートの縮小計画を発表したことで米ドル/円は逆に急騰しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
結果、6カ月という時間軸を経て、米ドル/円はFOMCのバランスシート縮小計画をきっかけにして、次の数カ月は反発に転じる公算が高まることになります。
■米ドル/円は数カ月反発に転じる公算高まる
以下のチャートが示しているように、米ドル/円の日足では、MACDもクロスし続伸を示唆。次の注目は200日移動平均線です。
(出所:Bloomberg)
4月はフランス大統領選挙と北朝鮮の地政学リスクが高まって反落した米ドル/円ですが、200日移動平均線がサポートしています(一時的には割り込みましたが…)。
【参考記事】
●地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か?(4月13日、西原宏一)
●仏大統領選を無事通過してリスクオン再開。米ドル/円は115円に向けて反発する公算大(4月27日、西原宏一)
そして今回のFOMC時の米ドル/円の反落も、200日移動平均線がサポートしています。
加えて、今回の安値は108.83円ですので、前回の反落時の安値より、安値が切り上がっていることになります。
以上のことから、今回の米ドル/円は6カ月サイクルで108.83円の安値到達。
そして、方向を切り返し、数カ月反発に転じる公算が高まっています。
(出所:Bloombeg)
米ドルが上昇する背景は、イエレン議長がコメントされているように、足元で強弱まちまちとなっている米経済指標は重視せず、金融政策の正常化に踏み切ると宣言したことです。
■ユーロ/米ドルは1.13ドルトライも失敗で調整入り…
一方、続伸していたユーロ/米ドルですが、1.1300ドルを何度もトライしたのですが、ブレイクできず。
今回、FOMCが利上げを決行した局面で、再び急騰しましたが、今回も高値は1.1295でブレイクできず調整入り。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
結果、対ユーロでも米ドルは反発に転じています。
6カ月という時間軸で、きわめて正確に流れを反転させつつある米ドル/円。
反転のきっかけも、過去6カ月同様、FOMCの決断。
108.83円という安値をつけて反発に転じている米ドル/円の動向に注目です。
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