■FOMCはタカ派、市場は継続的な利上げに懐疑的
6月14日(水)に、FOMC(米連邦公開市場委員会)の金融政策発表がありました。
市場予想どおり、政策金利にあたるFF(フェデラル・ファンド)レートを0.25%引き上げ、誘導目標レンジが1.00~1.25%となりました。
(出所:FRBのデータを基にザイFX!編集部が作成)
今後の利上げ予想を示すドットチャートに関しては、最近のインフレ指標に鈍化が見られていたので、下方修正される可能性がありましたが、前回3月とほぼ同じ内容となり、今年(2017年)は、あと1回の利上げが予想されています。
また、来年(2018年)は3回の利上げが予想されており、今後も利上げが継続される見込みです。
【参考記事】
●インフレ鈍化でFOMCは先行きに慎重か。利上げに向け、ドル/円上昇なら売りを狙う(6月13日、バカラ村)
●タカ派印象のFOMCなのに…ドル高ならず! 金利頼みの米ドル/円は、動きにくくなるか(6月15日、今井雅人)
イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は最近のインフレ指標の低下は一時的だと判断しており、利上げを継続していく意向を示しました。
しかし、市場は継続的な利上げに関して懐疑的に考えており、この点は市場とギャップができています。
また、バランスシート縮小の計画も公表されました。年内にスタートとありますが、早ければ9月から開始する可能性もあります。
今回のFOMCは、市場参加者のコンセンサスよりもタカ派な内容だったといえます。
■市場とのギャップが米ドル高へ
イエレンFRB議長は、来年(2018年)2月に任期が終わるので、それまでに金融政策の正常化の道を作ろうと、急いでいるように思われます。
まだ、市場はそれを織り込んでいないので、今後、米ドルが強くなっていくのではないかと思います。
【参考記事】
●FOMCの利上げは間違いとの意見多数! 米国株調整入りなら米ドル/円も下落へ…(6月15日、西原宏一)
正常化の道を織り込ませるために、FRBの要人発言にはタカ派な内容が多くなるのではないかと考えています。
6月19日(月)に、本来はハト派のダドリーNY連銀総裁は「利上げは金融市場を引き締めていない」、「景気拡大は長期間続くと確信」と発言しています。
これはタカ派な発言と言え、米ドル/円は111.56円、ユーロ/米ドルは1.1147ドルと米ドル高に推移(※)しています。
(※編集部注:本記事の原稿寄稿後、一時、米ドル/円は111.78円、ユーロ/米ドルは1.1137ドルまで米ドル高で推移した)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 30分足)
■ユーロ/米ドルを売り回転、下抜けに期待
相場の方は、6月14日(水)にFOMCがあっても、8日(木)に三大イベント(ECB理事会・コミー前FBI長官の議会証言・英国下院総選挙)があっても、米ドルやユーロはあまり動いておらず、資源国通貨だけ強い状態が続いています。
ユーロ/米ドルは約1カ月間、1.1109ドル~1.1295ドルの狭いレンジ内で推移しており、重要イベントがあってもほとんど動いていません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ただ、FOMCの内容を受けて、このもみ合いは下に抜けるのではないかと考えています。
ユーロ/米ドルの1.11ドル前半にはサポートがありますが、それよりも下の1.10ドルを目指すような動きが出てくるのではないかと考えています。
メルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」でも配信しましたが、トレードの方はユーロ/米ドルを売り回転しています。
以下はユーロ/米ドルの30分足チャートです。
(出所:サクソバンク証券)
FOMCを受けて、1.1300ドルを越えられなかったこともあり、ユーロ/米ドルを売りました(1つ目の矢印)。
ただ、オプションの影響から膠着がまだ続くと考え、一部を下がったところで手仕舞い(2つ目の矢印)しましたが、上がってきたので再度、手仕舞いした分をエントリーし直し(3つ目の矢印)、下抜けすることに期待しています。
■円安も追い風に米ドル/円は上昇か?
直近1カ月は、米ドルやユーロがあまり動いていませんが、円もあまり動いていません。
ただ、6月15日(木)の英国のMPC(金融政策委員会)で、前回は「7対1」で決定した政策金利の据え置きが今回は「5対3」となり、利上げ支持が3票あったことがサプライズとなって、英ポンド/円が上昇すると、それに連れて円売りの動きが出てきています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
過去3回、FOMCが利上げをしたとき、米ドル/円は下がりましたが、今回は、市場が予想した以上のタカ派だったこと、さらにMPCをきっかけにした円安で、米ドル/円の上昇も見込めそうです。
【参考記事】
●為替相場にトランプ・ラリー再来!? 米ドル続伸のサイン点灯、米国株もまだ崩壊しない!(6月16日、陳満咲杜)
●サイクル的に米ドル/円はいったん底打ち? 要人発言注目だが深く考えず押し目は買い(6月19日、西原宏一&大橋ひろこ)
市場はFOMCの内容にまだ懐疑的で、相場の方も動意づいていませんが、ユーロ/米ドルの下抜けに期待しています。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)