■景気が良くないときの利上げは中長期の売り材料
6月15日(木)の英MPC(金融政策委員会)で、8名のメンバーのうち3名が利上げを支持したことから、英国の利上げ観測が高まってきていました。
【参考記事】
●タカ派FOMCと円安でドル/円に上昇余地! ユーロ/ドルは下抜け見据えて売りで回転(6月20日、バカラ村)
しかし、6月20日(火)に、カーニーBOE(イングランド銀行)総裁がそれを打ち消すように「利上げは時期尚早」と発言し、英ポンドは下落しました。
英国では、6月9日(木)の下院総選挙で保守党が過半数を獲れず、政局が不安定な状態です。また、EU(欧州連合)離脱交渉が始まっていることなどもあり、今の段階での利上げはタイミングが悪く、それを見越して、カーニー総裁は利上げを否定したのだと思います。
ただ、6月21日(水)にホールデンMPC委員が、「年後半に複数の刺激策を解除することを支持」と発言したことで、一転して英ポンドは上昇しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
英国の消費者物価指数が前年比で+2.9%まで上昇していることや、MPCで据え置き票を投じたホールデン委員が利上げの可能性を示唆したこともあって、その後、英ポンドは上昇しています。
英国の利上げは、短期的には英ポンドの買い材料になります。ただ、経済が良くないときの利上げとなるため、中期的に英ポンドは売られるのではないかと考えています。
EU離脱交渉も、これから厳しい条件が出てくることが予想されます。英国に投資する向きも少ないのではないかと思い、英ポンドは売られるのではないかと考えます。
【参考記事】
●2017年内は英利上げなしと思った方がよい。英国発のブラックスワンを再度警戒!(6月23日、陳満咲杜)
本日、6月27日(火)の日本時間19時に、カーニーBOE総裁の会見があります。先日の発言を引き継いで、本日も、ハト派な内容になるのではないかと思います。
ハト派な発言をしても、市場もすでに予想している内容になるので、大きな動きにはならないと思いますが、英ポンドの上値は重くなるのではないかと考えています。
■英ポンドは半値押しブレイクなら61.8%トライも
以下は英ポンド/米ドルのチャートです。
まず、週足を見ると、下方向は1.2630~40ドル付近に21週移動平均線があります。この位置は先々週(6月12日~)の安値水準でもあります。

(出所:Bloomberg)
次に日足を見てみると、先週(6月19日~)の安値水準には、3月からの上昇幅の半値押しもあるので、これがサポートとして意識されるレベルとなります。
(出所:サクソバンク証券)
上方向に関しては、5月高値からの38.2%戻しが1.2763ドルとなり、6月26日(月)の高値が1.2758ドルになるので、この位置で上値を抑えられています。
また、1.2815ドルにもレジスタンスがあり、その上にはギャップ(窓)があるので、1.2900ドルもレジスタンスとして機能しそうです。
短期的に利上げ観測が高まれば英ポンド/米ドルは上昇しますが、中期的には下がるのではないかと考えており、3月からの上昇幅の半値押し1.2578ドルの水準を下回れば、61.8%押しの1.2467ドルをトライする動きも期待できそうです。
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