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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

ドル/円がレンジ相場入りしている理由は?
日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か

2017年07月20日(木)16:34公開 (2017年07月20日(木)16:34更新)
今井雅人

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■米ドル高になりきれず114円台で失速する米ドル/円

 ここ最近、為替相場は通貨によって、少しバラつきのある動きをしているので、整理してみたいと思います。

 まず、米ドル/円ですが、5月に一度114円台をつけたあと、失速して110円を割り込みました。その後、7月になって、もう一度114円台に乗せましたが、やはりそこでも失速して、現在は111円台と112円台をウロウロしています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

結局、米ドル高になりきれなかったということなのですが、そこには、どのような背景があるのでしょうか。それを考えるにあたって、まず、米国の状況を考えてみたいと思います。

■株高なのに米ドル安、その原因はトランプ政権!?

 現在の米国の金融市場は、非常にねじれた状況になっています。

 NYダウはここ最近、史上最高値を再び更新しました。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

 その一方で、米ドル相場は冴えません。どちらかといえば、米ドルは下落傾向が続いています。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

 これを、どう考えればいいかということなのですが、まず、その原因の一番はトランプ政権への不安が底辺にあると思います

【参考記事】
トランプ政権への不安がドル/円の重し!? たとえ戻りがあっても、頭は重くなりそう(3月23日、今井雅人)
ドル高にならないのは長期金利が原因! 利上げでも米国債が買われる理由は?(6月22日、今井雅人)

 本来は、株価もその影響を受けてもおかしくないのですが、企業業績が好調なので、株価は強い状態となっています。

 一方で、為替市場ではトランプ政権の不安定さから、米ドルより他の通貨のほうが好まれているという状況にあります。

 ロシア疑惑に関しては、トランプ大統領の長男が関与していたという報道が出てきたりしており、まだ先がまったく読めません。オバマケアの代替案も議会を通過する見通しが立たない状況が続いており、今後の経済政策も本当に進んでいくのか、大きな疑問符がつけられています。こうした状況が、米ドルへの下落圧力となっています。

■米ドル/円以外をみれば、米ドルの弱さは一目瞭然

 また、インフレ傾向が強まらず、米10年物国債の利回りは再び2.2%台へ低下してきています。長期金利が伸び悩んでいることが、株価にとってはプラス、一方、米ドルにとってはマイナスという状況を生み出しています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足
米長期金利(米10年債利回り) 日足

(出所:Bloomberg)

 米ドル/円だけを見ているとわかりませんが、たとえば、豪ドルや加ドルなどの対米ドルでの動きを見ると、米ドルが一方的に下落してきているのがよくわかります。

米ドルVS世界の通貨 日足
米ドルVS世界の通貨 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

 ユーロ/米ドルを見ても、豪ドルや加ドルほどではありませんが、米ドル安傾向、つまりユーロ/米ドルは上昇傾向になっています。

【参考記事】
ユーロ/ドルは心理的節目1.15ドルを突破! 明日のECB理事会で今後のスタンスに注目(7月19日、松田哲)

 チャートだけを見ると、ユーロ/米ドルは2015年8月に1.17ドル台まで上昇したことがあるので、そのあたりまでの上昇は期待できるのではないでしょうか。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(出所:Bloomberg)

■日銀の金融政策だけが別次元! 円キャリートレード継続へ

 米/ドル円に関しては、端的に言えば、レンジ相場に入り込んでいます。

 それは、やはり日本以外の先進国の金利が上昇傾向にある、あるいはこれから上昇しようとしている一方で、日本の金利が低水準のままであることが、米ドル安の中でドル円の下値を支えると同時に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での円安傾向を作ってきたからです。

 そして、本日7月20日(木)に日銀は、日銀金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策の継続を決定したと発表しました。

 同時に公表した「経済・物価情勢の展望」では、CPI(消費者物価指数)の上昇率が前年比2%程度に達する時期を、これまでの2018年度頃から、2019年度頃へ1年先延ばししました

 また、生鮮食品を除くコアのCPI見通しの中央値を、2017年度は前回4月時点の1.4%から1.1%へ、2018年度は同1.7%から1.5%へ下方修正しました。

 一部では、「ECB(欧州中央銀行)などと同様に出口を議論する」との思惑も台頭していましたが、日本の金融政策が他の先進国と比べてまったく違う方向を向いているということが、あらためて確認されました

【参考記事】
調整は買いの好機! 黒田氏が日銀総裁である限り、円安トレンド継続に疑いなし!?(7月14日、陳満咲杜)
引き締めに向かう主要国中銀が「密約」? ECB理事会でのテーパリングの行方は…!?(7月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
金融政策から米ドル買い・円売り揺るがず! 米ドル/円はさらに下がったところで買い!(7月18日、バカラ村)

 これを受けて、米ドル/円は112円台前半まで買い戻される動きとなっています。

米ドル/円 5分足
米ドル/円 5分足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 5分足

 今後も、クロス円を中心とした「円キャリートレード」を模索するような展開が続くとみていいでしょう。

【参考記事】
円キャリートレード継続! 金利先高感が強まった通貨を中心にクロス円チェック!(7月13日、今井雅人)


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