■「円高の極」は近いか
先週(8月7日~)は、9日(水)から円高が進み、11日(金)には一時、米ドル/円が109円を割り込む場面もありました。
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北朝鮮リスクの高まりもありますが、先週、8月7日(月)にお話した「3連休前のSQ」がまさに狙われましたね。
【参考記事】
●今週はSQ絡みの「円高・株安」にご用心! ドル/円よりユーロ/円を買うべき理由とは?(8月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
それに加えてCPI(消費者物価指数)など米経済指標が予想を下ブレしたことも上値を重たくしたようです。
今年(2017年)は4月以降、米ドル/円は108円から115円のレンジが続いています。レンジ下限は4月安値の108.14円。ここを下抜けしてしまうとテクニカル的には105円台が見えてきますが、「これ以上割れたらダメ」というギリギリの際で踏みとどまっていますね。
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今週(8月14日~)、15日(火)は米国債の償還、利払いがあり、円買いが発生しやすくなります。
ただ、ここを乗り切れば、今週(8月14日~)から来週(8月21日~)にかけて「円高の極」が終了する可能性がありそう。
読めないのは北朝鮮リスクですが、今週(8月14日~)、何の有事も起きなければ米ドル/円の買い戻しが始まりそうです。
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■ゴールドの1300ドルと米ドル/円の108円
米ドル/円で注目したいのがゴールドとの相関。
金(ゴールド)は今年(2017年)2回、1300ドルを上抜けできず反落しましたが、ほぼ同時に米ドル/円も円高から円安へと反転しています。
(出所:Bloomberg)
金は足もとで1300ドルを3回目のトライ中ですが、ここで反落するようだと米ドル/円も反発、上昇へと向かうことになりそう。
(出所:Bloomberg)
金と米ドル/円、たしかに、きれいに相関していますね。
もうひとつ、ポイントとなるのはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)かもしれませんね。
先週(8月7日~)も対米ドル以上に対ユーロや対豪ドルなどクロス円での円高が急でした。
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■17日のユーロ圏HICPに注目が集まる
やはり相場の中心はユーロであり、通貨ペアでいえばユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)なのでしょう。
今週(8月14日~)、17日(木)にはユーロ圏HICP(消費者物価指数)の発表が控えており、上昇基調が継続するのかどうか、注目が集まっています。
そして来週(8月21日~)後半になると今月(8月)のメインイベントであるジャクソンホール・シンポジウム。ドラギECB総裁の講演が待っています。
ドラギさんの講演ではテーパリング(※)についての言及が期待されていますが、まったく反対に「ECBの一部はユーロ高を懸念しているため、いったん冷やすのでは?」と観測する声もありますね。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
短期的にはユーロ安局面がありながらも、中長期的にはユーロ高へ向かっていくのでしょう。
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FRB(米連邦準備制度理事会)がテーパリングを始めたときもそうでしたが、金融政策の転換で一度買われだした通貨は、そう簡単にヘタれないはずです。
【参考記事】
●ECB緩和解除の思惑でスイスフラン安。ユーロ/スイスフランは、1.20フラン回復へ(8月10日、西原宏一)
■NZ中銀総裁「NZドルの下落が必要だ」
ここからの戦略は?
ユーロクロス上昇の流れは変わらないでしょうが、足もとでは調整局面入りしています。調整の終わりを待って、買っていきたいですね。
注目しているのはNZドル。先週(8月7日~)、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のウィーラー総裁は「NZドルの下落が必要だ」と通貨安志向を明確に示しました。
ECBと正反対の方向性ですから、ユーロ/NZドルの上昇余地は大きいのでしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/NZドル 日足)
米ドル/円はいかがですか? 今朝(8月14日)発表された日本のGDPは予想を上ブレ。
今夏は安倍首相へのバッシング報道が続き、内閣支持率も低下しましたが、そうしたムードが一巡、アベノミクスの成果が見直される場面もありそうですが…。
米ドル/円が上がるためにはユーロ/円の上昇、それに米国債利回りの上昇が必要なのでしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ただ、ユーロ/米ドルがさらに上昇していくようだと、米ドル/円の上昇余地は限られてしまうため、レンジが続くのかもしれません。
今はユーロ中心にトレードしたほうがよさそうです。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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