■日ごとに高まるトランプ大統領への不信感…
トランプ大統領への不信感は、日を追うごとに高まってきています。これは、決して逆に向かうことはないでしょう。
この政権が続く限り、米ドルは買いたくないとさえ思えてしまう状況です。
トランプ大統領は、頼みの経済界からもそっぽを向かれてきています。
【参考記事】
●ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを買えない一番の原因はトランプ大統領だ!(8月17日、今井雅人)
トランプ大統領は日本時間の8月23日(水)に、メキシコとの国境付近に壁を建設する問題で、政府閉鎖も辞さない姿勢を示したほか、これができなければ、NAFTA(北米自由貿易協定)から離脱するとも取れる発言をしました。
これを受けて23日(水)のNYダウは下落し、為替市場では米ドル安、円高が進行しています。

(出所:Bloomberg)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
■マーケットにネガティブな発言が一段と増える!?
こうした傾向は、これからも続くでしょう。それは、トランプ大統領の置かれている立場を考えてみれば、よくわかります。
トランプ大統領は、共和党支持者で、特に白人至上主義の人たちに押し上げられて大統領になっています。最近、一部メディアの調査でトランプ政権の支持率が、就任以来最低の34%となりましたが、この支持率を支えているのが、白人至上主義の人たちです。
つまり、34%はコアなトランプ支持者です。トランプ大統領の立場になって考えてみれば、これだけ世間の目が厳しくなってきている中、原点に返ってコアな支持者を大切にしようというマインドになることは想像に難くありません。

一部メディアによると、トランプ大統領の支持率は就任以来最低の34%に低下。世間の目が厳しくなる中、コアな支持者を大切にしようという姿勢が強まりそう… (C)Mark Wilson/Getty Images
であるとすれば、マーケットに対してネガティブな発言が今後も続く、あるいは、さらに増えてくると考えておくべきでしょう。
【参考記事】
●“アレ”に比べたら北朝鮮リスクもトランプ氏のゴタゴタも小粒! クロス円は一巡後上昇へ(8月18日、陳満咲杜)
●トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。今回の「リスクオフ」はホンモノではない!(8月14日、陳満咲杜)
■米ドルは低空飛行状態が続きそう
そうした状況下では、やはり米ドルを積極的に買っていくのは難しいです。
トランプ大統領の発言で、一時的に米ドルが過度に下落したところでの逆張りは機能するかもしれませんが、米ドルが上昇していくところ、あるいは円安が進んでいくところを追いかけていくのは危険です。
【参考記事】
●米ドル/円長期取引は111円近辺を明確に上抜けたら「売り」撤退!では短期取引は?(8月16日、松田哲)
●米ドル/円は重要なサポートゾーンで反発。でも、108円割れの可能性が残る理由とは?(8月15日、バカラ村)
現在は、そういう気持ちを持って、相場に向かうことが必要ではないでしょうか。
そうは言っても、トランプ政権に対する不信感が、すでにマーケットにかなり織り込まれているのも事実であり、このことによって、米ドルが急落するというイメージも持てません。
【参考記事】
●ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを買えない一番の原因はトランプ大統領だ!(8月17日、今井雅人)
中期的には、まだ米ドル安リスクや円高リスクはあるという認識を持ちながらも、短期的には、米ドルは安値圏で低空飛行状態が続くと考えておきたいと思います。

(出所:Bloomberg)
■今はレンジディールに徹するべき!
私も現在、そうした認識のもと、米ドル/円とユーロ/円でレンジディール(※)を続けています。
(※編集部注:「レンジディール」とは、一定の値幅の中を行ったり来たりする「レンジ相場」において有効な取引手法のこと。レンジの下限においては押し目買いスタンス、レンジの上限においては戻り売りスタンスがよいとされている)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
こうしたレンジディールを続けるにあたって、2つのことを注意しておく必要があると思います。
1つは、当たり前ですが、「下がったら買って、上がったら売る」という姿勢を維持し続けるということです。一度、その逆をやってしまうとリズムが崩れてしまい、レンジの中で裏目に出るトレードが続いてしまうことがよくあります。それを防ぐには、相場の雰囲気に振り回されないことです。
もう1点は、レンジをどちらかに抜けてしまった場合は、それはそれで諦めるという割り切りです。どうしても相場が上がってきたり、下がってきたりすると、今回は抜けて走ってしまうのではないかと思ってしまいがちです。しかし、そういう考えは持ってはいけません。これを持ってしまうと、レンジディールができなくなってしまいます。
いずれ、相場にトレンドが出てくるのは間違いないでしょうが、そうなれば、そのときにまた、頭を切り替えればいいだけのことです。それまでは、レンジと信じてトレードを続ける心構えを持ってほしいと思います。
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