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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを
買えない一番の原因はトランプ大統領だ!

2017年08月17日(木)12:45公開 (2017年08月17日(木)12:45更新)
今井雅人

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■米ドルは、よほどのことがない限り上昇しない!

 この1週間でよりはっきりしたことは、米ドルは、よほどのことがない限り上昇しないということです。

 8月4日(金)に発表された米国の7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が20万人台まで増加したほか、平均時給も高い水準を維持するなど、かなり強い結果となり、一時的に米ドルは上昇。

米ドル/円は一時、111.053円まで値を上げることとなりましたが、翌週(8月7日~)からすぐに失速しました。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■北朝鮮問題は、今後も相場に影響を与える材料となりそう…

 その直接的な原因となったのは、北朝鮮情勢の緊張感が高まったことでした。

 「グアム沖30~40キロメートル地点を弾道ミサイルで攻撃」する北朝鮮の計画が明るみなったほか、トランプ米大統領も挑発的な発言を繰り返すなど、一触即発の状態となりました。

 しかし、北朝鮮側が「米国の出方を見守る」という理由で「ミサイル攻撃」の実施を目先、取り止めたことが伝わると、緊張感がやや緩んだことで影響は急低下しました。

【参考記事】
北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい(8月10日、今井雅人)
トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。今回の「リスクオフ」はホンモノではない!(8月14日、陳満咲杜)

 ただ、この問題は今後もくすぶり続けるので、そのたびに、一時的にせよ相場に影響を与えることになるでしょう。

■一番の原因はトランプ大統領、米ドルは買えない

 それよりも深刻なのは、やはりトランプ政権に対する不信感です。

【参考記事】
米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)

 8月16日(水)、トランプ大統領は大企業幹部らが参加する大統領の諮問機関「米製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」を解散すると発表しました。

 そもそも、会議が積極的に開かれていた形跡もなく、事実上機能していなかったわけで、実際の影響という面では不透明なところはありますが、米製造業評議会のメンバーであった製薬大手メルク、半導体大手インテル、スポーツ衣料品大手アンダーアーマー、複合企業3M(スリーエム)、航空機エンジン・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズ、食品大手キャンベル・スープの各CEO(最高経営責任者)らが、トランプ大統領の白人至上主義に反発して相次いで辞任したため、解散に追い込まれたというのが実情です。

米製造業評議会と戦略・政策フォーラムは解散に追い込まれた格好に…。米ドルを買う気になれない一番の原因は、やっぱりトランプ大統領!? (C)Mark Wilson/Getty Images

 コーンNEC(米国家経済会議)委員長も「嫌悪感を覚えるとともに動揺している」とトランプ大統領を痛烈に批判。トランプ大統領の直近の支持率は、36%程度にまで低下してきています。

 これでは、とても米ドルは買えないというのが、投資家の正直な感想でしょう。

■年内の追加利上げにも疑問符が…

 さらに、8月16日(水)に公表された7月25日(火)~26日(水)開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では、「次回9月のFOMCで、FRB(米連邦準備制度理事会)の資産圧縮計画を発表」することは確実になったものの、「インフレ率の鈍感を懸念し、物価動向を注視する」声が多数あったことも明らかとなり、年内の追加利上げの可能性についても疑問符がつく状況です。

 こうしたことも、米ドルに下落圧力を与えています。

 今週(8月14日~)に入って、ダドリーNY連銀総裁が「経済が想定どおり展開すれば、年内にあと1回の利上げ実施を支持する」と表明したにもかかわらず、市場の利上げに対する見方が、再び不安定になってきたといえます。

米ドルVS世界の通貨 1時間足
米ドルVS世界の通貨 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足

 つまり、米ドルを取り巻く環境は厳しいということです。

■米ドルは当面低空飛行、一時的に上昇したら売り

 ただ、米ドルは、これまでにかなり下落してきていることも事実です。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

米ドルは、しばらく低空飛行を続ける可能性が高そうです。

【参考記事】
米ドル/円は重要なサポートゾーンで反発。でも、108円割れの可能性が残る理由とは?(8月15日、バカラ村)
米ドル/円長期取引は111円近辺を明確に上抜けたら「売り」撤退!では短期取引は?(8月16日、松田哲)

米ドルが一時的に上昇することがあれば、確実に売っておきたいと思います。

米ドル/円は、8月4日(金)高値111.053円を意識した、111.00円近辺が当面の上限と考えておきます。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足


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