(「仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!」からつづく)
■仮想通貨交換業者をFX業界関連か、そうでないかで分類
前々回、前回の記事で、このたび金融庁登録された仮想通貨交換業者11社をざっと紹介してきたが、これをFX業界関連か、そうでないかで分け、さらに資本金(※)の項目を加えて表を作ってみた。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(1) “記者会見合戦”が行われた歴史的瞬間
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!
<仮想通貨交換業者登録一覧>
<FX業界関連以外>
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
資本金 | 備考 |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00002号 |
QUOINE株式会社 | 約20億円 | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00003号 |
株式会社bitFlyer | 41億 238万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00004号 |
ビットバンク株式会社 | 11億 3100万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00008号 |
BTCボックス株式会社 | 8508万円 | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00009号 |
株式会社ビット ポイントジャパン |
4億 3000万円 |
|
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00002号 |
テックビューロ 株式会社 (取引所の名称は 「Zaif(ザイフ)」) |
8億 3013万円 |
<FX業界関連>
<FX会社および投資情報配信会社の系列会社>
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
資本金 | 備考 |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00001号 |
株式会社 マネーパートナーズ |
31億円 | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00005号 |
SBIバーチャル・ カレンシーズ株式会社 |
9億 8000万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00006号 |
GMOコイン株式会社 | 17億 5800万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00007号 |
ビットトレード 株式会社 |
1億 100万円 |
ビットバンクの 取引システムを 使用 |
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00001号 |
株式会社フィスコ 仮想通貨取引所 |
3億 8706万円 |
Zaifの取引 システムを使用 |
各社公式サイト、関連会社のリリースなどからザイFX!編集部が作成。資本金の数字には「資本準備金を含む」との記載がある会社もある。
資本金はその会社の現在の財務状況を表すものではない。資本金がたくさんあっても、その会社がビジネスで大きな赤字を出したことで、現在は財務状況が悪くなっているという可能性はある。
ただ、資本金が多ければ、今に至るまでにその会社の株主がその分、たくさん出資しているということなので、株主の力の入れ具合がわかるという面はあるだろう。
なお、改正資金決済法(通称:仮想通貨法)は、金融庁に仮想通貨交換業者の登録をする要件を、資本金については1000万円以上であることとしている。法律面での資本金のハードルはあまり高くない。
■今現在、存在感が高いのはFX業界関連以外の会社
FX業界関連の仮想通貨交換業者はFXトレーダーにとっては親しみやすい存在だが、仮想通貨の分野では遅れを取っていると思える。
前回述べたとおり、FX業界ではマネーパートナーズが早くから仮想通貨に積極的だったが、しかし、同社は仮想通貨の販売所や取引所は当面やらず、同社の発行するマネパカードに決済手段としてビットコインを取り入れるという形で仮想通貨ビジネスをやるという。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!
仮想通貨の販売所をやっているGMOコインもサービスを開始したのは2017年5月と比較的最近のこと。SBIバーチャル・カレンシーズについては、まだサービスインもしていない。
そして、FXトレード・フィナンシャル系のビットトレード、さらにFX会社ではなく投資情報配信会社系列になるが、フィスコ仮想通貨取引所は他社の仮想通貨取引システムを使用している。
これに対し、今回、金融庁に登録された仮想通貨交換業者で存在感が高いのは、bitFlyer(ビットフライヤー)やテックビューロなど、最初から仮想通貨事業をやるぞ~と数年前から参入しているベンチャー企業だ。
特にビットフライヤーが41億円超もの資本金を集めているのは目を引くところ。今回、金融庁に登録された11社のなかでは資本金が一番多い。ビットフライヤーが潤沢な資金を使って、グイグイと存在感を増し、目下、仮想通貨出来高世界一の取引所になっていることは前回お伝えしたとおりだ。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!
■コインチェックは仮想通貨が多すぎて、まだ審査中
なお、仮想通貨取引所の有名どころではコインチェック、kraken(会社名はPayward Japan)が今回の金融庁登録には入らなかった。この2社は金融庁へ登録申請書を提出し、受理はされている(※)。現在、金融庁がそれを審査中ということだ。
(※コインチェックは同社のリリース、krakenは直接の取材により確認)
なお、コインチェックはリリースのなかで「Coincheckサービスでは多数の通貨を取り扱っております関係上、比較的審査に時間を要する場合がございます」と説明。登録が遅れている理由として、取り扱っている仮想通貨の数が多いことを挙げている。
金融庁は2017年9月29日(金)現在で17社が継続審査中と発表していた。その後、10月2日(月)時点では19社が継続審査中と数字が変更された。
2017年3月までに仮想通貨交換業の営業を開始していた会社は2017年9月末までに登録申請をしていれば、9月末までに登録が完了しなくても、10月以降も審査の結果が出るまでの間は営業が継続できる(もしも、登録を拒否されれば、営業はできなくなる)。
コインチェックのリリースによると、このようにして営業可能なのは2カ月間とのこと。つまり、本当の期限は2017年11月末に来ることとなる。
なお、残念ながらまだ登録されていない主要取引所の1つ、krakenはザイFX!にビットコインのレートを提供してくれている。ザイFX!ではkrakenのレートを元に生成されたビットコインのチャートを掲載している。
【参考コンテンツ】
●FXチャート&レート:ビットコインvs主要通貨通貨 日足
●FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足
■JBAとJCBA、どちらが認定自主規制団体になるのか?
ここまでお伝えしてきたとおり、仮想通貨交換業者の金融庁登録第1弾が出たわけだが、その次は内閣総理大臣に認定される仮想通貨交換業者の自主規制団体がどこになるのかということに注目が集まる。
仮想通貨交換業者の業界団体としては日本ブロックチェーン協会(JBA)と日本仮想通貨事業者協会(JCBA)がある。
日本ブロックチェーン協会は日本価値記録事業者協会(JADA)が発展してできたものであり、代表理事を務めるのはビットフライヤー代表取締役の加納裕三氏となっている。
一方、日本仮想通貨事業者協会は仮想通貨ビジネス勉強会が発展してできたものであり、その会長はマネーパートナーズ代表取締役社長の奥山泰全氏だ。
日本ブロックチェーン協会と日本仮想通貨事業者協会のどちらが仮想通貨業界の自主規制団体と認定されるのか、端から見ると対立の構図にあるように思える。そして、両協会の代表者は前々回の記事に出てきた“記者会見合戦”を行った2社、ビットフライヤーとマネーパートナーズの代表者でもあるのだ。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(1) “記者会見合戦”が行われた歴史的瞬間
今回、仮想通貨交換業者として、金融庁に登録された11社のうち、ビットフライヤー以外の10社には共通点がある。日本仮想通貨事業者協会の会員には正会員、準会員、協力会員という区分があるのだが、10社はすべて日本仮想通貨事業者協会(JCBA)の正会員なのである。
そして、ビットフライヤーは日本仮想通貨事業者協会の何の会員にもなっていない。
<仮想通貨交換業者登録一覧>
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
JCBA 正会員 |
JBA仮想 通貨部門 会員 |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00001号 |
株式会社 マネーパートナーズ |
○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00002号 |
QUOINE株式会社 | ○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00003号 |
株式会社bitFlyer | ○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00004号 |
ビットバンク株式会社 | ○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00005号 |
SBIバーチャル・ カレンシーズ株式会社 |
○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00006号 |
GMOコイン株式会社 | ○ | ○ |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00007号 |
ビットトレード 株式会社 |
○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00008号 |
BTCボックス株式会社 | ○ | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00009号 |
株式会社ビット ポイントジャパン |
○ | |
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00001号 |
株式会社フィスコ 仮想通貨取引所 |
○ | |
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00002号 |
テックビューロ 株式会社 (取引所の名称は 「Zaif(ザイフ)」) |
○ |
■金融庁登録社数で見るか、合計出来高で見るか
一方、日本ブロックチェーン協会(JBA)の会員にもJBA仮想通貨部門、JBAブロックチェーン部門、JBA賛助会員といった区分があるが、このうち仮想通貨交換業者が属するのはJBA仮想通貨部門。
そして今回、金融庁に登録された仮想通貨交換業者でJBA仮想通貨部門の会員なのはビットフライヤーのほかにはGMOコインだけだ(GMOコインは日本仮想通貨事業者協会の正会員であり、なおかつ日本ブロックチェーン協会・JBA仮想通貨部門の会員であるということになる)。
日本ブロックチェーン協会の役員は計5名いるが、そのうち、仮想通貨取引所所属の役員は3名と思われる。代表理事のビットフライヤー代表取締役・加納氏のほかは、Payward Japan(取引所名はkraken)代表取締役のジェシー・パウエル氏が理事、コインチェック代表取締役の和田晃一良氏が監事となっている。
そして、Payward Japanとコインチェックの2社は先ほど述べたとおり、仮想通貨交換業者の金融庁登録第1弾には含まれていなかった。
いずれにしても、現段階までの仮想通貨交換業者の金融庁登録社数ということに関しては、日本ブロックチェーン協会よりも日本仮想通貨事業者協会が明らかに優位に立っているように見える。
とはいえ、日本ブロックチェーン協会には世界一の圧倒的出来高を誇るビットフライヤーという存在がある。正確な計算まではできないが、金融庁登録社の合計出来高で比較すれば、おそらく日本ブロックチェーン協会の方が優位だろう。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!
次に金融庁に登録される仮想通貨交換業者はどこかということと共に、仮想通貨交換業者の認定自主規制団体がどちらになるのかということにも注目していきたい。
(ザイFX!編集長・井口稔)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)