■金融庁と同じビルで緊急に重大な発表が…?
2017年9月29日(金)、月末最終金曜日。すでに死語になりつつあると感じるプレミアムフライデーの日だ。その日、午前10時40分すぎ、ザイFX!編集部へ1本の電話がかかってきた。
先日、あるイベントで名刺交換した大手仮想通貨取引所・bitFlyer(ビットフライヤー)の人からの電話だった。本日、17時15分から金融庁と同じビルで記者発表会をやるので来てほしいというのである。ただし、内容は今は言えないと…。
当日になってからの記者発表会の連絡。かなり急な話だ。ちょっと思わせぶりな雰囲気だし、金融庁と同じビルだとわざわざ言ってくるのも何やら意味ありげだ。緊急に重大な発表でもあるのだろうか?
じつはこの少し前、9月27日(水)にはマネーパートナーズから9月29日(金)の16時から仮想通貨関連の記者会見を行うとの連絡もザイFX!編集部に入っていた。マネーパートナーズは“マネパ”の愛称でFXファンにはもうおなじみの大手FX会社。なおかつ、仮想通貨への関心をFX業界ではもっとも早くから示し続けてきた会社だ。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:マネーパートナーズ「パートナーズFX」
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さらに、9月28日(木)になって、このマネーパートナーズの記者会見は、開始時刻が16時から17時30分に変更になったとの連絡が来ていた。
■ちょっとした“記者会見合戦”が行われている!?
2017年4月に改正資金決済法(通称:仮想通貨法)が施行されたが、そこで規定されていた仮想通貨交換業者の金融庁への登録猶予期間は2017年9月30日(土)までだった。9月29日(金)という日は登録猶予期間内の最終営業日に当たる。
これはいよいよ仮想通貨交換業者の金融庁登録が発表されるということだろうか?
16時からといったん設定されたマネーパートナーズの記者会見開始時刻が17時30分に変更され、そうかと思うと、ビットフライヤーはそれにぶつけるように、なおかつ15分だけ早い17時15分という、やや中途半端な時刻に記者発表会開始を設定してきた。
何やらちょっとした“記者会見合戦”が行われているような状況だ。
これはもしかすると、仮想通貨交換業者登録の情報解禁時刻が決まっており、しかし、情報解禁になったら、いの一番に記者会見をやりたいといったことがあって、このような展開になっているのかも…。筆者の脳裏にはそのような妄想も拡がった。
記者発表会の内容はこの時点ではまだ不明だったものの、これは歴史的な瞬間になるのかもしれない。行っておいた方がいいと思えた。
■仕事山積みの金曜!? プレミアムフライデーは誰が考えた?
しかし、ザイFX!編集部の中で、いつも仮想通貨関連のイベントに出席しており、仮想通貨のメイン担当となっている副編集長の向井はすでにマネーパートナーズの記者会見へ行く予定となっている。そして、時間帯が重なっているので、そちらに行ったら、ビットフライヤーの方へは行けないことになる。
他の編集担当者も夕方の時間帯には手が離せない業務がある。それほど大きな所帯でもないザイFX!編集部、月末最終金曜日の業務はすでに手一杯だった。
う~ん、仕方がない。山積みされた仕事を放り出し、筆者(井口)は当日になってから急に連絡が来たビットフライヤーの記者発表会に行くと決めたのだった。
月末最終金曜日、四半期末最終営業日、上半期末最終営業日。それが全部重なる日なら、ザイFX!編集部でなくとも一般的に言って、いろいろな業務があって不思議はないだろう。いったい全体、プレミアムフライデーって誰かが考えたんだろう?
■ビットフライヤーが金融庁に登録!
ビットフライヤーの記者発表会が行われたのは霞が関にある霞山会館という場所。霞が関の官庁街とさっぱり縁のない筆者だが、霞山会館を探して駅から歩いて行くと、やがて案内板が見つかった。
その一番上には「霞が関COMMON GATE」と書いてあり、そのすぐ下には「中央合同庁舎第7号館」と書いてあった。下の方には「霞が関コモンゲート西館/霞山会館」という文字も見える。
いったいこのビルは霞が関COMMON GATEなのか、中央合同庁舎第7号館なのか、霞が関コモンゲート西館なのか、霞山会館なのかハッキリしてほしい! よくわからん!?と思ったが、とにもかくにも案内板には「金融庁」という文字と「霞山会館」という文字が上下に並んでいたのである。確かにビットフライヤーは金融庁と同じビルで記者発表会をやるようだ。
ちなみにこの「霞山会館」では翌営業日に当たる10月2日(月)に日本仮想通貨事業者協会の記者会見が行われている。
筆者が霞山会館に無事たどり着き、会見場に入って待っていると、記者発表会が始まる前に司会の人から「本日は仮想通貨交換業者登録・記者発表会に起こしいただきまして、誠にありがとうございます」との発言が…。
始まる前からネタバレなのはどうかとも思ったが、その後、定刻の17時15分ごろ登場したビットフライヤー代表取締役の加納裕三氏は
「本日付けで、当社、株式会社bitFlyerは仮想通貨交換事業者として金融庁の登録を受けたことをこの場をお借りしてご報告いたします」
とあいさつしたのだった。
やはり、そうだったのだ。ビットフライヤーは金融庁に登録されたのだった。
■合計11社が同時登録。その発表は記者発表会のだいぶ前…
しかし、あとから確認してみたら、金融庁に仮想通貨交換業者として登録されたのはビットフライヤーだけではなかった。合計11社が同時に登録されていたのである。しかも、その発表は結構早くにあったようだ。
たとえば、日本経済新聞のウェブサイトには16時28分には仮想通貨交換業者として11社が金融庁に登録されたという記事が公開されている。ちょっとした歴史的瞬間を見に行ったつもりだった筆者としてはちょっと拍子抜けの展開だった。
この11社、下表のとおり、本社所在地によって9社が関東財務局での登録、2社が近畿財務局での登録となっているが、そのなかで「関東財務局長 第00001号」という登録番号をゲットしたのはマネーパートナーズ。ビットフライヤーは「関東財務局長 第00003号」だった。
<仮想通貨交換業者登録一覧>
所管 関東財務局【計9業者】
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
取り扱う仮想通貨 |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00001号 |
株式会社 マネーパートナーズ |
BTC(ビットコイン) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00002号 |
QUOINE株式会社 | BTC(ビットコイン) ETH(イーサリアム) BCH(ビットコインキャッシュ) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00003号 |
株式会社bitFlyer | BTC(ビットコイン) ETH(イーサリアム) ETC(イーサリアムクラシック) LTC(ライトコイン) BCH(ビットコインキャッシュ) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00004号 |
ビットバンク 株式会社 |
BTC(ビットコイン) ETH(イーサリアム) XRP(リップル) LTC(ライトコイン) MONA(モナコイン) BCC(ビットコインキャッシュ) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00005号 |
SBIバーチャル・ カレンシーズ 株式会社 |
BTC(ビットコイン) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00006号 |
GMOコイン 株式会社 |
BTC(ビットコイン) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00007号 |
ビットトレード 株式会社 |
BTC(ビットコイン) ETH(イーサリアム) XRP(リップル) LTC(ライトコイン) MONA(モナコイン) BCC(ビットコインキャッシュ) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00008号 |
BTCボックス 株式会社 |
BTC(ビットコイン)、 BCC(ビットコインキャッシュ) |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00009号 |
株式会社 ビットポイント ジャパン |
BTC(ビットコイン) ETH(イーサリアム) XRP(リップル) LTC(ライトコイン) BCC(ビットコインキャッシュ) |
所管 近畿財務局【計2業者】
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
取り扱う仮想通貨 |
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00001号 |
株式会社フィスコ 仮想通貨取引所 |
BTC(ビットコイン) MONA(モナコイン) FSCC(フィスココイン) NCXC(ネクスコイン) CICC(カイカコイン) BCH(ビットコインキャッシュ) |
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00002号 |
テックビューロ 株式会社 (取引所の名称は 「Zaif(ザイフ)」) |
BTC(ビットコイン) MONA(モナコイン) BCH(ビットコインキャッシュ) XCP(カウンターパーティー) ZAIF(ザイフ) BCY(ビットクリスタル) SJCX(ストレージコインエックス) PEPECASH(ぺぺキャッシュ) FSCC(フィスココイン) CICC(カイカコイン) NCXC(ネクスコイン) Zen(ゼン) XEM(ゼム(ネム)) |
金融庁の発表データからザイFX!編集部が作成。2017年10月4日現在
登録が発表されたのはあくまで11社同時。「第00001号」と「第00003号」に何か差があるのかはわからない。ただ、マネーパートナーズが「第00001号」という登録番号を取ったのは事実だ。
また、QUOINE(読み方は「コイン」。取引所名は「QUOINEX」)のウェブサイトを見にいったら、「金融庁登録 仮想通貨交換事業者 第1号」と誇らしげに表示してあった。「第1号」というのは、11社同時登録されたうちの1社という意味での「第1号」。1社単独の「第1号」ではない。ちなみにQUOINEは「関東財務局長 第00002号」であり、マネーパートナーズとビットフライヤーの間の登録番号を取っている。
QUOINEはシンガポールで創業された仮想通貨取引所だが、現在は日本に本社機能が移されているようだ。以前のこの会社は、先日、ザイFX!で紹介した「FXトレーダーフェスタ」の記事に登場した福寄儀寛さんがJapan CEOを務めていた。
【参考記事】
●200人のトレーダーが集結! ザイFX!が「FXトレーダーフェスタ」を潜入レポート
そして、QUOINEはみんなのビットコインに取引システムを提供している。みんなのビットコインは名前からもわかるとおり、みんなのFXを運営しているトレイダーズ証券と同グループの仮想通貨取引所。ただ、みんなのビットコインは今回の金融庁登録11社の中には入っていない。
ビットフライヤーの記者発表会に話を戻そう。
(「仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!」へつづく)
(ザイFX!編集長・井口稔)
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