(「仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(1) “記者会見合戦”が行われた歴史的瞬間」からつづく)
■ビットフライヤーの金融庁登録は単なる通過点?
bitFlyer(ビットフライヤー)の記者発表会に話を戻そう。
筆者の印象に残ったのは同社代表取締役の加納裕三氏がずいぶんとクールで淡々としていたことだ。
ビットコイン相場は分裂騒動などもあり、大きく下落した局面がときにありつつも、ここまで目覚ましい上昇を見せてきた。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 週足)
そして、大手取引所・マウントゴックスの経営破綻など、仮想通貨業界も本当にいろいろと紆余曲折がありつつ、ついにここに至ったはず。
【参考記事】
●ビットコインはなぜ、急落してから急反発? 8月1日だけでなく7月21日も注目の理由は?
●ビットコインは、8/1のハードフォーク後に最高値更新! ビットコインキャッシュとは?
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半ば門外漢の筆者にとっても、仮想通貨交換業者の金融庁登録は歴史的な瞬間と思えるイベントだった。筆者の想像では、マネーパートナーズに対して、ビットフライヤーの記者発表会が15分だけ早いという絶妙な時間帯に急遽設定されたのも当然、そういったことを意識したものと思えたのである。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(1) “記者会見合戦”が行われた歴史的瞬間
ところが、加納氏のあいさつは金融庁登録は単なる通貨点、いや通過点といった雰囲気で、高揚感のようなものが感じられなかったのだ。
実際、ビットフライヤーは日本だけでなく、世界4カ国に拠点を持ち、グローバルに拡がる巨大な仮想通貨決済市場に挑んでいくとのことなので、目標はまだまだ先にあり、といったところなのだろうか。
■ゴールドマン・サックスを辞めて、ビットフライヤーを起業
加納氏といえば、その経歴がスゴい。
東京大学大学院工学系研究科を修了後に入ったのがゴールドマン・サックス証券。そこでエンジニアを務めたあと、BNPパリバ証券に転じる。その後、再びゴールドマン・サックス証券に舞い戻り、デリバティブ・転換社債トレーダーをやっていたという。そして、その後、ビットフライヤーを起業することになるのだ。
東京大学大学院を出て、天下のゴールドマン・サックスへ…これは華麗なる経歴としか言いようがない。その上で、恵まれた地位を捨て、ビットフライヤーを起業し、業界最大手と形容されるまでに成長させたというのだ。この経歴などを見て、筆者は加納氏を天才肌のちょっとコワい人ではないかと勝手に想像してしまっていた。
しかし、記者発表会に臨んでみると、実際の加納氏は落ち着いた紳士的な感じの人に見えたのだった。

ビットフライヤー代表取締役の加納裕三氏(左)と取締役CFOの金光碧氏(右)。2人ともゴールドマン・サックス証券でデリバティブトレーダーだった経歴の持ち主だ。 9月29日のビットフライヤー記者発表会にて筆者撮影
■ユーザー数80万人超、仮想通貨の出来高は世界一!
そんなスゴい経歴を持つ加納氏率いるビットフライヤーだが、記者発表会ではユーザー数が80万人超、月間取引量が1.5兆円超との案内があった。
ユーザー数のカウント方法詳細はわからなかったが、80万人超というのはスゴい数字だ。日本のFX会社で口座数最多なのはおそらくDMM.com証券であり、2017年8月現在のその口座数は61万超(※)。
(※矢野経済研究所発表「有力FX企業16社の月間データランキング-2017年8月-」による。このほか、企業グループの合算としてはSBIグループが96万超の口座数となっている)
言うまでもなく、仮想通貨業界はFX業界よりもかなり歴史が浅い。それでこれだけの数のユーザーがいるというのはオドロキだ。
イメージキャラクターの成海璃子さんが登場するビットフライヤーのテレビCMは結構見かけるし、仮想通貨取引所のなかで非常にメジャーな存在だとは感じていたが、それにしても、ここまでユーザー数が多いとは筆者は不覚にも思っていなかった。
また、出来高についても、Coinhillsというサイトのデータによると、ビットフライヤーが世界一ということを記者発表会で発表していた。Coinhillsのデータはすべての取引所が完全に網羅されているものではないらしいが、おそらくビットフライヤーは世界一なのだろう。
筆者がCoinhillsを見に行った時点でも、ビットフライヤーが最上位となっていた。このデータを取得したときから過去24時間の世界の仮想通貨市場におけるビットフライヤーのシェアは約19%。かなりの大きさだ。
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