■衆院選は自公圧勝。米ドル/円はギャップアップ!
10月22日(日)の衆議院選挙では、自民党が284議席を獲得して圧勝しました。
公明党と合わせると、議席数は313議席となり、定数465議席の3分の2を上回ったこともあって、週明け23日(月)の米ドル/円はギャップアップでスタートしました。
【参考記事】
●台風の目は現れず自公圧勝。週明けのドル/円は一時114円台、日経平均15連騰へ!
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
米ドル/円は、すでに投開票前から与党有利との世論調査で上昇していて、さらに、10月20日(金)に米上院が予算決議案を可決したことで税制改革が早期に実行されるとの期待も高まったため、113.50円で先週(10月16日~)の取引を終えていました。
【参考記事】
●米大型減税の行方がマーケットの関心事。米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?(10月19日、西原宏一)
●「13日の金曜日」に混乱なし。ドル/円は調整完了! 選挙結果がどうあれ上値試しへ(10月19日、今井雅人)
9月中旬から、米ドル/円は終値で113円台に乗せることができない状況が続いていましたが、10月20日(金)にやっと、しっかり113円台に乗せてきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■米ドル/円は米長期金利頼みの展開に
ただ、米ドル/円の114円~115円は、今年(2017年)に入ってからの長期的なレジスタンスとなっています。
(出所:Bloomberg)
衆議院選挙で自民党が圧勝しましたが、すでに世論調査で与党勝利が伝わっていたため、米ドル/円はチャート上のレジスタンス付近ということもあり、10月23日(月)は利食いが多く入り、114.09円までしか上昇できませんでした。
日経平均が10月23日(月)時点で過去最長の15連騰となったことは、米ドル/円のサポート要因になりますが、今は日経平均と米ドル/円の相関性が低くなっており、米ドル/円を押し上げる材料としては弱いと考えています。
(出所:Bloomberg)
現在、米ドル/円との相関性が高いのは米長期金利で、米ドル/円の動きは米長期金利に左右されるといってもいいような状況です。
【参考記事】
●日経平均と逆相関、米長期金利と相関が高い直近のドル/円。トランプ氏訪日に警戒!?(10月17日、バカラ村)
(出所:Bloomberg)
■次期FRB理事は誰に? そのときの市場の反応は?
米長期金利が上昇するかどうかは、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長の人事が重要なポイントとなってきます。
【参考記事】
●日経平均は21年ぶり高値でも円安進まず。次期FRB議長をめぐる3つのシナリオとは?(10月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
現在、次期FRB議長候補は、パウエル現FRB理事、イエレン現FRB議長、スタンフォード大学のジョン・テイラー教授の3人に絞られてきています。
パウエル理事は、金融政策に対する姿勢がトランプ大統領と近く、選ばれる可能性が1番高いのではないかと考えています。
イエレン議長であれば、民主党との歩み寄りを狙っているのではないかと思われます。
来年(2018年)の米利上げを市場はまだ1回程度しか織り込んでいないことから、タカ派のテイラー教授が選ばれると米長期金利が上昇し、米ドル/円も上昇するのではないかと考えています。
パウエル理事が選ばれた場合は、ハト派との見方から米ドル売りとなりますが、FOMCメンバーの金利予想からは来年(2018年)3回の利上げが示唆されている一方、市場の織り込みは1回程度のため、相場への影響は小さいと考えています。
(出所:FRB)
■米ドル/円は114円~115円のレジスタンスを狙う形に
10月19日(木)に、パウエル理事が選ばれるのではないかという報道が出ましたが、その時の米ドル売りが限定的だったことからも、実際にパウエル理事が選ばれても、米ドル安は短期的な動きで終わるのではないかと思います。
この次期FRB議長の人事に関しては、いつ決まっても良いような状況になっていますが、トランプ大統領が11月3日(金)のアジア歴訪前までに決定すると述べていることもあり、遅くともそれまでには指名されるのではないかと思います。
衆議院選挙も終わり、市場の注目テーマは次期FRB議長人事と米税制改革になってきています。
テクニカル的には、米ドル/円はギャップアップしたこともあり、これまでレジスタンスだった113円がサポートとなりやすく、さらに、112.50円が厚い水準となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
次期FRB議長が誰になるかで動きは変わりますが、米ドル/円は114円~115円のレジスタンスを狙う形となっています。
【参考記事】
●現在のドル/円日足チャートはユーロ/ドルが6月に上昇し始めたときと同じサインが点灯!(10月20日、陳満咲杜)
■ユーロ/米ドルは上値が重く、下抜けの可能性の方が高い
今週(10月23日~)は、26日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会があります。
ECBは金融緩和策を続けてきましたが、今回の理事会ではテーパリング(※)の開始を示唆すると思われます。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
市場では、月間の資産買い入れ額を現在の600億ユーロから300億ユーロへ縮小し、2017年末の終了予定を9カ月間延長するという予想が多いように思えます。
もし、このとおりであれば、ユーロは若干上昇するかもしれませんが、すでに市場に織り込まれていることから、その後のドラギECB総裁の会見を待つことになります。
月間の資産買い入れ額が200億ユーロになるなど、縮小幅が300億ユーロより大きくなればユーロ高になりますが、スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題や、オーストリア下院選の結果からユーロ圏の右傾化が鮮明になってきていることなどもあり、テーパリングを緩やかに進めると予想され、ECBがユーロを上昇させるようなことはしないのではないかと考えています。
【参考記事】
●与党圧勝で海外勢の日本株買いが再開? 米ドル/円は目先114円台半ば突破がカギに(10月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
テクニカル的に、ユーロ/米ドルは1.1660ドル~1.1870ドルのレンジが続いていますが、1.19ドルから上のレジスタンスが厚いことから、上値は抑えられやすく、下へ抜ける可能性の方が高いのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
米ドル/円と同様に、次期FRB議長が誰になるかでユーロ/米ドルの動きも変わってしまいますが、レンジ下限を下抜けることになれば、次は1.1500ドルの心理的節目を狙う動きが予想されます。
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