■過去2年は12月FOMCがゲームチェンジャーに
週末(12月8日)の米雇用統計は、ほぼ予想どおりでしたが、市場が注目する平均時給は予想よりやや弱め。
ところが、米ドル/円は発表直後こそ売られたものの、週末に向けて買い戻されました。西原さんは、この結果をどう考えますか?
今週(12月11日~)13日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、利上げが確実視されています。
僕が今、米ドル/円に対してブルだったら、「13日まではロング目線でいこう」と考える。同じように考えた人が米雇用統計で落ちたところを拾ったのでしょう。

(出所:Bloomberg)
一昨年(2015年)、昨年(2016年)、そして今年(2017年)も、となれば3年連続で12月の利上げですね。
過去2年は、いずれも米利上げ前後でセル・ザ・ファクトとなりました。
特に、昨年(2016年)は、11月からトランプラリーで米ドル/円が18円上がってきた中でFOMCを迎え、セル・ザ・ファクトで下落。「一時的な押し目だろう」との予想が多い中、今年(2017年)の107円台まで円高が進みました。

(出所:Bloomberg)
■「リスクオフのクリスマス」となる可能性も
米ドルと逆相関の関係にある金(ゴールド)は、FOMCに向かって下落しています。
これがFOMCで反転上昇してくるようだと、米ドル安への転換をサポートする材料となりそうですね。

(出所:Bloomberg)
FOMCでの利上げは間違いないのですが、それに対する市場の反応は注目ですね。米減税法案が上院を通過し、利上げも行われると、目先はポジティブ材料が見当たらなくなります。
過去2年とも、12月のFOMCがゲームチェンジャーとなっているため、今回もFOMCをきっかけに下落するのではないかと考えています。

(出所:Bloomberg)
米減税法案は、上下両院案の一本化へ向けて作業中ですが、クリスマスまでにまとまらず、年明けにずれ込むのでは? との見方も出てきました。
また、クリスマス休暇に入ると在韓アメリカ人も母国へ帰る人が多く、米軍が対北朝鮮で動きやすいタイミングとの指摘も…。
クリスマス前後のリスクオフにも気をつけないといけませんね。
9月くらいまでは北朝鮮などの地政学リスクに嫌というほど反応していたのですが、足もとではアメリカのエルサレム首都移転問題にもまったく反応しなくなっていますね。
【参考記事】
●トランプ大統領が米大使館のエルサレム移転を決断! 中東リスク危惧で相場は…!?(12月7日、西原宏一)
アメリカの国連大使が、「平昌五輪に参加するかどうか未定」と発言するなど、これまでのオリンピックとは異なるムードで緊張が高まっている気がします。
大手銀行の2018年予想が出てきています。ゴールドマンサックスは1ドル=120円、モルガン・スタンレーは105円と反対方向ですが、方向はともかく、105円も120円もそう遠いターゲットではない。
ボラティリティが高まらないと多くの人が考えるのなら、来年(2018年)は意外と大きな値幅が出るのかもしれませんね。
(次ページではBrexit交渉や米ドル/円の戦略の話題が…)
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