(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(6)マウントゴックス事件はどんな事件だった?」からつづく)
■取引履歴は残っても、通常個人は特定されないしくみ
「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(6)」でお伝えしたように、ブロックチェーンを照会して、犯罪者の追跡が可能であるということは、逆に、一般のユーザーだってプライバシーが心配になってしまうかもしれませんね。悪いことはしていなくても、いくら持ってるかとか、どこに支払ったとか知られるのはちょっと…。
大丈夫です。ビットコインの送付に用いるビットコインアドレスは、たとえば下の例のような、「1」または「3」から始まる27~34文字の英数字なので、一般の人が履歴を見ても個人と結びつけることはできません。
<ビットコインアドレスの例>
「1A1zP1eP5QGefi2DMPTfTL5SLmv7DivfNa」
「【超初級】ビットコイン・仮想通貨入門(5)」でも紹介した、bitFlyer(ビットフライヤー)が運営する「chainFlyer」というサイトでは、実際のビットコインの取引履歴を見ることができますよ! 下の画像は、49万8984個目のブロックに入っている取引履歴のデータです。
(※一部ザイFX!編集部にて加工済み)
ご覧のように、取引のあったビットコインアドレスがすべて公開されて、一覧で表示されています。右側には取引されたビットコインの額も記載されていますね。
ということは、自分のビットコインアドレスをビットコインの送り先として取引相手に教えたら、それが誰のアドレスでどんな取引をしているかなんて簡単に特定されちゃうでしょ? そう。上述のとおり、取引の内容は誰でも見ることができるワケですから、自分のビットコインアドレスを知られている相手には、どんな取引をしているのかが簡単にわかってしまいます。
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(2)「電子マネー」と「仮想通貨」の違いとは?
そこで、個人の特定を防ぐために、複数のビットコインアドレスを使いわけることが推奨されています。ということは、ビットコイン版銀行口座のようなものである「ウォレット」も複数用意しないといけないの? それは面倒くさいような…。
ご安心ください! 多くのウォレットには、セキュリティ対策として、取引のたびに新たなビットコインアドレスを生成するというしくみが備わっているようです。ですから、基本的には取引相手にしかその取引の内容はわかりませんし、その後、受け取ったビットコインを別のアドレスに分散して移してしまえば、取引相手だって追いかけるのはかなり難しくなります。
■唯一特定されてしまうアドレス!? ビットコインの起源!
唯一の例外とも言えるのが、先に掲載したビットコインアドレス。実はこれ、一番初めに生成されたビットコインのアドレスなんです! ということは、所有者はビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモト氏なのかも!?
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(4)ブロックチェーンって結局、何なの!?
先ほども紹介したbitFlyer(ビットフライヤー)の「chainFlyer」で、ブロックチェーンのビジュアルの最初に黒い「GENESIS(起源)」というブロックがあります。

これを展開していくと、先ほどのナカモト氏のものかもしれないアドレスが記載されている画面に辿りつきます。
左下隅にはなんと、ナカモト氏からのメッセージと思われる言葉も! この「Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks(英タイムズ紙・2009年2月3日・大蔵大臣2度目の銀行救済措置の瀬戸際に) 」というのは、2009年2月3日の英タイムズ紙の見出しの文言だそうです。
こちらのアドレスには、なぜかたくさんのビットコインの送付がなされており、2017年12月14日(木)現在、その額約17BTC。皆さま、ナカモト氏への寄付なのでしょうか…? 中には、「Give Me Bitcoin」のメッセージとビットコインアドレスをいっしょに送っているツワモノも…。
でも、このアドレスのビットコインは誕生以来動かされておらず、真相は結局わからないんですけどね…。そもそも、ナカモト氏さえ誰だかわかっていないんですから…。
■匿名性が超高いだけに、送り間違いには要要要注意!
ところで、こうした匿名性の高さが、ビットコインの特徴であるとともに、最大ともいえる難点にもつながってしまうということには注意が必要です。
それは、ビットコインの送り先を間違えたまま、送付できてしまったら、二度と回収できない可能性が高い、ということです。
ビットコインアドレスは、文字の組み合わせのパターン数から考えると、事実上、無制限に作り出せると言われているくらいなので、1文字間違えたくらいで誰かのビットコインアドレスになってしまうことは通常では考えられず、「送信エラー」になることが多いみたいですが…。
でも、送付できてしまう可能性はゼロではないので、間違ってもアドレスを手打ちで入力する、なんていうのは避けた方が良いでしょう。実際は、コピペするかQRコード化されたものを読み込むのがセオリーみたいですよ。
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(8)ビットコインはどうやって手に入れるの?」へつづく)
(ザイFX!編集部・上岡由布子)
【目次】 【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門
■【第1回】 そもそも、ビットコインとは何なんですか?
■【第2回】 「電子マネー」と「仮想通貨」の違いとは?
■【第3回】 円などの「法定通貨」と「仮想通貨」の違い
■【第4回】 ブロックチェーンって結局、何なの!?
■【第5回】 マイニングとはいったい何をしているのか?
■【第6回】 マウントゴックス事件はどんな事件だった?
■【第7回】 ビットコインアドレスはなぜ匿名性が高い?
■【第8回】 ビットコインはどうやって手に入れるの?
■【第9回】 ビットコインの値動きの要因は何だろう?
■【第10回】 利益に税金はかかる? 詐欺や盗難に注意
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