■英ポンドの値動きが限定的だった理由とは?
英BOEの決定も市場の予想どおりだったが、EU離脱交渉の進展から考えると、声明文に対してよりタカ派の色合いを期待していた一部の市場関係者にとっては、やや肩透かしを食わされた格好だ。
とはいえ、BOE政策に関する期待や思惑が大きくなかったから、英ポンドの値動きも限定的であった。
つまるところ、為替マーケットにとって、年末年始において「決定打」となる材料にかけ、動きづらい状況であることが確認されている。その分、拮抗状態というか、バランスの維持も微妙になっているから、何らかの突発的な材料をもって目先の均衡が破られ、大きく動き出す可能性も大きい、といえるかもしれない。
■相場の拮抗状態は、チャートを見ても一目瞭然
ドルインデックスの日足を観察すればわかるように、12月12日(火)の高値を早期に上回れなければ、10月高値を「ヘッド」とする「ヘッド&ショルダーズ・トップ(※)」のフォーメーションが形成される恐れがある(黄の表示)。
反面、昨日(12月14日)の安値前後を守れば、11月安値を「ヘッド」とする「ヘッド&ショルダーズ・ボトム(※)」といったパターン(紫の表示)が形成される可能性もあるから、形成された場合、前記「ヘッド&ショルダーズ・トップ」の打破につながるだろう。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ・トップ」とはチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。「三尊天井」とも呼ばれる。))
(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「逆三尊底」とも呼ばれる。)
(出所:Bloomberg)
「拮抗しながら、微妙なバランスを保っている」という目先の相場の大きな特徴がうかがえる。
同じような微妙な拮抗関係や均衡局面が米ドル/円でもみられるだろう。
(出所:FXブロードネット)
12月12日(火)に付けた高値を早期にブレイクできなければ、日足における「三尊天井」(黄で表示)が形成される恐れがある一方、ここから「深押し」できない限り、11月安値を「ヘッド」とした「逆三尊底」が形成される可能性もあるわけだから、目先ブレイク待ちでまた次のブレイクは極めて大きな値動きをもたらすことを覚悟できる。
■9月の米長期金利の下放れは、「ダマシ」だった!?
もっとも、米利上げのタイミングで昨年(2016年)12月(A)、今年(2017年)3月(B)、6月(C)の3回が米長期金利(10年物国債利回り)の反転をもたらしてきた経緯から考えると、今回も然り、のはずだ。
(出所:Bloomberg)
昨年(2016年)12月と今年(2017年)3月の利上げは米ドル安をもたらしたのだから、6月利上げが米ドル高をもたらしたことに、より注目すべきだと思う。
この変動リズムなら、今回も米ドル高につながるはずだ。単純にリズムのみの問題ではなく、米長期金利が9月に安値更新した意味合いを考えた方が、よりおわかりいただけるかと思う。
つまるところ、米長期金利は9月にて一時安値更新したものの、10月にて5月、7月高値のブレイクを果たしたのだから、9月の安値更新、特に6月安値に対する一時の下放れが「ダマシ」だったわけだ。
「ダマシ」ほど確率の高いサインはないから、今回の利上げは米ドル安ではなく、米ドル高をもたらすのではないだろうか。目下はそのタイミングに来ているから、前出のドルインデックスおよび米ドル/円チャートで言えば、「紫の勝利」となる確率が高いと思う。市況は如何に。
執筆13:30
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